「成績優秀者」は社会で必ずしも成功しないのか?
学業がキャリアの成功を予測する判断材料にならないことは、あらゆる業界調査で明らかになっている。偉業を成し遂げた建築家たちを調査したところ、もっとも独創的な建築家は平均してB評価の成績で学校を卒業していたという。かたや全教科でAを取った建築家たちの多くが、正しさにこだわり、保守的な考え方や慣行を再考したがらなかった。
同様のパターンは、大学を首席で卒業した学生を対象にした調査でも見られたという。「卒業生総代が将来、先見の明がある人物になる可能性は低い」と教育学研究者のカレン・アーノルドは述べている。「そのような人たちは通常、既成システムの一部になり、それを改革することはない」と。IQよりはEQ(心の知能指数)が大事らしい。
学校で優秀な成績を収めるには、たいてい古い思考方法をマスターする必要がある。一方で、素晴らしいキャリアを築くには、常に新しい考え方不可欠だ。ダニエル・ゴールマンは、ビジネスのパフォーマンスを上げるためには、EQが知能指数(IQ)よりも重要であり、経営幹部陣が成功をおさめる要因の「ほぼ90%」をEQが占めると主張している。
ただ聴いてもらうだけで人は安心して素直になれる。親身に、公平な態度でじっと耳を傾ける人と対話することで、人々の不安は軽減され、自己防衛が緩和されることが、複数の実験で明らかになっている。人々は思考の矛盾を避けようとするプレッシャーをあまり感じなくなり、それにより自分の意見を熟考し、心の内のニュアンスに気づき、思ったことを率直に述べられるようになったという。
このような傾聴法の利点は、1対1の対話に限られるわけではない。グループの議論でも有用とのこと。政府機関、テクノロジー企業、そして学校を対象に、スティックを持つ人だけに発言権が与えられ、他の人は傾聴するというルールでグループの議論を実施する実験を行ったところ、人々の考え方はより多面的になり以前ほど偏ることがなくなった。
心理学者は、気持ちや扱い方を理解するのに困難を感じることがある相手と膝を交えて話し合う時などに、このスキルを使ってみることを勧めている。それは、発言者の主張を正しく理解するように努め、発言者の主張に興味を持ち、そして発言者の主張を遮ることなく数分間、黙って聞くために、それらがきわめて有効だから。
多くの人は話をする時、自分を賢く見せようとします。それに対し、優れた傾聴者が賢く見せようとするのは、自分自身ではなく対話の相手です。優れた傾聴者は、相手が自身の考えを謙虚さ、疑念、そして好奇心を持って掘り下げるように手助けします。そうすると、相手は自分の考えを表現する機会を得た時、新しい発見を見出すことが多いのだと。
※参考文献:『THINK AGAIN 発想を変える 思い込みを手放す』(アダム・グラント著/三笠書房刊)
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