« 2023年2月 | トップページ | 2023年4月 »

2023年3月

2023年3月27日 (月)

好意は先に伝える、そして言葉は短めを心掛ける

照れくさい気持ちもあるかもしれませんが、やはり好意は後出しではなく、先に伝えておく。先に自己開示しておくことで、30分なり、1時間なり同じ時間を一緒に過ごすにしても、ゼロからスタートしてひとつずつギアを入れていくステップを踏まずに、三段飛ばしでよい印象を持ってもらえることもあります。

「そもそも人は飽きやすい。その興味をそそり、持続させるのはなかなか大変」。どんな状況でも、最初に耳に飛び込んでくる一文が長すぎると、人は「わかりにくい話」と判断し、理解することをやめてしまう。SNSなど、気軽に触れられる「短い尺のもの」が好まれている中、私たちは「長尺の何か」に対してどんどん耐えきれなくなっています。

短い一文で始めれば、「これからこんな話をしますよ」という全体像を相手に掴んでもらいやすくなります。相手も「そんな話をするんだな」と聞く準備ができて、続く話の内容を受け取りやすくなります。しかも一文一文が短い話であれば、「まあ、あと少し聞いてもしんどくないか」と「聞く耳」を持ってもらえるのです。

オンライン会議では、話している人の邪魔にならないように自分の声を「ミュート」するのがマナーですが、話し手としてみれば、まったく聞き手のリアクションが返ってこない状況は不安になります。そこで、声で「なるほど」とあいづちを打ちたくなったポイントで大きく頷いたり、相手の話に合わせて自然と湧いた感情を素直に表情に出してみます。

ゼロから意識的に「顔を作ろう」とすると、わざとらしくなって逆効果ですが、相手の話で引き出された感情を5割増しぐらいで上乗せすると、画面越しでもしっかり相手に伝わりますし、不安にさせません。こうして視覚的な〝あいづち〟を重ねていくと、話している相手はそれが後押しになり、自信を持って自分のペースで話を進めてくれます。

生活の中で意識的に声を使い分けてみると、職場や家族の関係にもうれしい効果があります。相手が疲れている様子なら、頃合いを見ながら落ち着いたときに、いつもの自分の声より少し低めの声でゆったりとしたテンポで話しかけます。「そういえば…」と先ず前置きしましょう。ワンクッション作ることで相手の受け入れ態勢も変わってきます。

途中のプロセスにおいて、「?」と思ったときこそ、言葉にして確認する。あらゆるトラブルにおいて「言った」「言わない」は永遠の問題ですが、結局お互いの思い込みが食い違いの「火種」となります。指示を受ける側も、「つまり…」「だったら、このように…」と前向きに提案しながら、自分と相手の頭の中のイメージを言葉で形にしていきましょう。

出典:『なぜか聴きたくなる人の話し方』(秀島史香著/朝日新聞出版刊)

Leaf Wrapping 山本志のぶ ホームページはこちらです

研修講師のチョットいい話/stand.fm

|

2023年3月20日 (月)

第一印象を裏切ると、評価は逆転する

二つのジューサーを比べた面白い実験があります。「薄っぺらい」ジューサー(比較的小さくて、単純な丸みを帯びた形状で、白と透明のプラスチックでできている)と「頑丈な」ジューサー(背が高くて、垂直な形状をしていて、なめらかな曲線の形状で、シルバーメタリックと黒の組合せ)の動作中の動画を被験者に見せました。

「薄っぺらい」ジューサーから頑丈なしっかりした音が出ると誰もが驚きます。見た目が安っぽいので、「チープな音しか出ないだろう」と思っているのですが、実際にはしっかり動くので、「なかなかいいね」と納得します。一方、これもまた驚くのですが、「頑丈な」ジューサーから安っぽい音が出ると、こちらは落胆します。「見かけによらない」と。

つまり、私たちはまず見た目でどんな音が出るかを予測し、その予想がいい方に裏切られると高い評価をし、悪くなると低い評価になります。その予想を裏切られた感覚が製品そのものの評価に転嫁するのです。このような消費者の反応は「丈夫」な掃除機と「かわいい」掃除機を比較した実験でも同じような結果が得られています。

印象によって行動が影響を受けるのは見た目だけではありません。BGMのテンポがゆっくりだと、顧客の店内移動をゆったりとさせ、売上高を増加させることができます。しかし、レストランでは滞在時間が長くなってしまいます。同じように食べているときに聴いている音によって味覚が変わることを、航空会社の機内食の例で見てみましょう。

食べているときに聴いている音によって、味覚が変わります。「ソニックシーズニング」、これは、食べているときに聴く音楽によって味覚に影響を受ける現象です。有名なのはイギリスの航空会社であるブリティッシュ・エアウェイズ(BA)の取り組みです。気圧は味覚に影響を及ぼし、気圧の低い上空では塩味と甘味がわかりにくくなるのです。

地上では食欲をそそる料理も機内では味気ないものになってしまうため、航空会社は調味料を変えたり、味を濃くしたりなどの工夫を凝らしています。BAでは、そうした取り組みに加えて、ファーストクラスでは食事の際に料理に合わせてBGMを変えています。ソニックシーズニングでは、低温は苦みを、高音は甘味を強く感じるとされています。

辛口のシャンパンを提供するときには低音で、かつ炭酸を感じる音を流すと効果的とか。「ほかの航空会社」よりもBAの機内食はおいしい」という調査結果もあるほど。「元々の料理がおいしいのでは」と思われる方もおられるでしょうが、実はBAJALも機内食の製造元は同じです。環境によって人間の感覚が変わる一例といえるでしょう。

出典:『SENSE インターネットの世界は「感覚」に働きかける』(堀内進之介&吉岡直樹著/日経BP刊)

Leaf Wrapping 山本志のぶ ホームページはこちらです

研修講師のチョットいい話/stand.fm

|

2023年3月13日 (月)

ユーモアは人間心理と行動に重大な影響を及ぼす

米国の世論調査で、「最近の出来事」の記憶とその情報源を調べると、新聞やお堅いニュース番組より、バラエティ―番組のような「ニュース番組」との回答が多かった。また、「ストーリーにデータを効果的に盛り込む方法」という講義を笑いながら受講した学生のほうがコンセプトをその後の授業にも応用し、8週間経っても内容を確り覚えていた。

真面目さと陽気さは相反しない。近年のユーモア研究者たちの発見は、それこそ至るところで、「真面目さと陽気さは相反する」という誤った思い込みを覆し、陽気でいきいきとした生活がもたらす大きなメリットを明らかにしています。そうした研究成果が解き明かしたことがあるとすれば、深刻な事態に対処するために、自分自身が深刻になる必要はないということなのです。

ユーモアのセンスは筋肉に似ている。身体と同じように、ユーモアのセンスも定期的に使わないと衰えます。このことは、学生やエグゼクティブ対象の講座で「最近、あなたが腹の底から笑ったのはいつですか?」と質問すると、ほとんどの人が思い出せないことからも裏付けられます。ユーモアは遺伝信号によって決まるのではなく、トレーニングと実践によって強化されるスキルなのです。

仕事上のユーモア、4つの効果(行動科学の研究より)仕事上のユーモア効果は、①パワー:地位が高く知性が優れている人という印象を与え、相手の行動や意思決定に影響を及ぼす。②つながり:知り合ったばかりでも信頼感が生まれ、打ち解けることができる。③創造力:それまで見落としていた関連性に気づきやすくなる。④レジリエンス:ストレスが緩和され、挫折から立ち直りやすくなる。

あるユーモア実験の感想評価から。参加者はいくつかの項目において評価を求められた。すると、ユーモアのある感想を述べた人たちのほうが、「有能である」印象を与えた割合が5%高く、「自信がある」印象を与えた割合が11%高く、「地位が高い」印象を与えた割合が37%高いことがわかりました。コメントの後半のふざけたフレーズによって、評価が大きく分かれたとのこと。

オバマ大統領のユーモアに満ちた2011年の一般教書。大統領は、政府の効率性を向上させるべき分野として次の例を挙げました。「サケが淡水にいるときは内務省の管轄です。しかし、サケが海水にいるときには商務省の管轄になります」。そして、ひと呼吸置いて「問題がさらにややこしくなるのは、スモークされたときです」で会場は爆笑に包まれ、聴取者にはサケに関するスピーチが記憶されました。

『マネー・ボール』著者(マイケル・ルイス)と娘さんのトレーニング体験。8歳の娘を2日間の子ども向けユーモアレッスンに通わせ、彼も大人向けのレッスンを受講した。午前中3時間のレッスン後、昼休みに外に出たとき父親は、もう汗びっしょり。ところが、教室から出てきた娘は満面の笑みを浮かべて、こう言った。「すっごく楽しかった! めちゃくちゃ簡単だった!」と。これが子どもと大人の違いなのかと彼は思った。

出典:『ユーモアは最強の武器である』(ジェニファー・アーカー&ナオミ・バグドナス著/東洋経済新報社刊)

Leaf Wrapping 山本志のぶ ホームページはこちらです

研修講師のチョットいい話/stand.fm

|

2023年3月 6日 (月)

3人の大物タレントが制作現場で発揮する人間力

202210月のTwitterツイートから。「朝、上司が『おはよう』と声がけしても無視する部下。考えた末に、上司が『○○君おはよう』と名前を添えてみたところ、その日を境に挨拶を返すようになった」というお話でした。今回は、よい人間関係を築くために、制作現場で見事なパフォーマンスを発揮している3人の大物タレントを紹介します。

一人目は、お笑い・司会者・俳優・映画監督として活躍中のコンビ「ウッチャンナンチャン」のウッチャンこと内村光良さん。関係者の間では有名なエピソードではあるらしいのですが、内村さんは現場で関わる様々なスタッフの「名前」を覚えて呼びます。一見些細なことのようですが、これが実はチームモチベーションにとって効果覿面なのだと。

テレビ収録や舞台で関わるスタッフは数十人からときに100人を超え、全員の名前を記憶することは容易ではありません。その点、内村さんは番組ディレクターなどはもちろんのこと、アシスタントや照明スタッフに至るまで、それぞれのメンバーの名前を覚え、「○○さん、おはよう」「〇〇さん、これってどうですか?」というように話しかける。

リーダーが働く仲間、チームメイトを名前で呼ぶことは、相手の尊厳を尊重する行為とみなされる。そもそも人にとって「名前」とは、あなたがあなたであることを認められる〝アイデンティティ〟の根幹。だからこそ、リーダーがメンバーの「名前」を覚えて呼ぶことは「他の誰でもないあなた」を特定することになり、親愛や敬意の表明に繋がります。

次は、昨年のNHK大河『鎌倉殿の十三人』で主役を演じた小栗旬さん。鈴木奈穂子アナが番組公式インスタグラムで、《100人以上いるスタッフの顔と名前を覚えるなど『どの現場でもいつも通り。自分ができることをしている』とサラッとおっしゃっていたのが頼もしくて。小栗さんのようなリーダー、職場に1人いてほしい!》と興奮気味に投稿。

その一方で、小栗さんは「毎日、出演者やスタッフに配るマスク(小栗さんの遊び心)にひと言メッセージを書いていたそうです。“今日は何が書かれているのかな?”と楽しみにしている人も多かったとか。小栗さんのこのようなスタッフへの気遣いは、ご自身がまだ20代前半のとき、『人の名前はちゃんと覚えなさい』との父親の教えに基づくそう。

最後はこのところ存在感を高めている吉高由里子さん。2023224日(金)の『朝日新聞』朝刊「撮影5分前」に「恋され愛される座長」(番組プロデューサーのコラム記事より)が掲載されました。そのまま引用すると、「現場が恋する人がいる――。ドラマ『星降る夜に』で産婦人科医・雪宮鈴を演じる我らが座長・吉高由里子のことだ。」

「彼女はすべてのスタッフの名前を記憶している。撮影初日からスタッフ表を片手に読みがなを確認する姿に、驚かされた。極寒の過酷なロケで緊迫した時も、あえておどけて現場を笑いに包んでくれる。自分の疲れを見せることはなく、誰かの疲れは見逃さない。それでいてカチンコが鳴った瞬間に涙を流し、息をのむような芝居を見せる。」

Leaf Wrapping 山本志のぶ ホームページはこちらです

研修講師のチョットいい話/stand.fm

|

« 2023年2月 | トップページ | 2023年4月 »