「変わりたいのに変われない」のジレンマに向き合う
「ニ―バーの祈り」は、アメリカの神学者「ラインホールド・ニーバー」が1943年にマサチューセッツ州西部の山村の小さな教会でのお説教したときの祈りとされています。「平静の祈り」、「静穏の祈り」とも呼ばれ、第二次世界大戦中に兵士たちに広まり、その後、世界中で広く知られるようになりました。その全貌(大木英夫氏訳)は以下の通りです。
神よ、変えることのできるものについて、それを変えるだけの勇気をわれらに与えたまえ。
変えることのできないものについては、それを受けいれるだけの冷静さを与えたまえ。
そして、変えることのできるものと、変えることのできないものとを、
識別する知恵を与えたまえ。
「変えることのできるものを変える勇気」とは
「他人と過去は変えられない」との考えに沿えば、「自分と未来」は変えられる可能性があるでしょう。しかし、アナトール・フランスによれば「変化はそれが周囲から祝福される性格のものであっても苦痛を伴う」ようですから、変えるのには勇気がいるのですね。
「変えられないものを受けいれる冷静さ」とは
「風水盆に返らず」の故事もありますが、世の中には自分の力や努力だけでは変えられないものもあります。そうした事柄にいつまでも執着しない冷静さが大事なのでしょう。
「変えることのできるものとできないものを識別する知恵」とは
キルケゴールの著作に『あれかこれか』がありますが、単純な二者択一も哲学者のテーマになるのですね。識別する知恵を身につけるのが人生の目的のひとつなのかも。
さて、Twitterにシリーズで「変わりたいのに変われない」をツイートしましたが、その1回目に変える勇気の好事例として、数年前の世界的ベストセラー『嫌われる勇気』を取り上げました。この本は、企画書上では『なぜ、あなたは変わりたいのに変われないのか』がタイトル案だったそうです。それが出版直前で『嫌われる勇気』となりました。
「嫌われる」と「勇気」という普通、組み合わされることのない単語を組み合わせることで、化学反応が生み出されている素晴らしいタイトルですが、決定までには「嫌われる」が刺激的過ぎて曲折があったとのこと。候補に上がったのは、『無意味な人生に意味を与えよ』『自己を啓発せよ』『劇薬の人生論』『普通であることの勇気』などだったそうです。
最後はシリーズ2回目の「守破離」です。世阿弥の『風姿花伝』出典説もありますが、ここでは千利休『茶の湯の心得』を取り上げました。守(維持):教えを守り、基本を身につけるため「型」を手本とし反復模倣。破(小変化):基本を応用し、試行錯誤しながら個性や特性の発揮を目指す。離(大変化):新しい独自の「型づくり」に取組み「新境地」を拓く。
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