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2023年6月12日 (月)

超合理的天才夫婦の脳、騙されやすい脳、不可解な脳

マリーとピエール・キュウリ―が結婚した時の逸話はよく語られています。経済力のなかった二人は、 結婚式のドレスを極力地味なものにして、式で一度きり着るのではなく、実験室にも着ていくことができる実用的なものにしました。新婚旅行は祝儀で購入した自転車で出掛け、旅行から帰るとマリーは真っ先に家計簿を購入しました。

合理的な科学者らしい選択だといえますが、これを美談として、マリーを家庭的な良妻賢母でもあった、と彼女を持ち上げるのはいかがなものだろうかと、『脳の闇』の著者は書いています。仕事も一流、家庭人としても一流、そしてノーベル賞を受賞した娘イレーヌ・キュリーを育てた母としても一流で、これは誰にでも真似できるものではない、と。

脳は「騙されやすい」らしい!? NY市立大学パルーム校研究グループの実験グループが面白い実験を行いました。実験の場はマクドナルドの模擬店舗です。研究グループは2種類のメニューリストを用意しました。一方にはサラダなど、健康を連想させるメニューが載っていて、もう一方には載っていません。客として現れた被験者には、その2種類のメニューのいずれかが渡されます。

その結果、サラダが掲載されたメニューリストを受け取った客は、そうでない客よりも、明らかに最も太りそうなメニュー(ビッグマック)を選ぶ人が約50%まで増加(通常は約10%)しました。サラダを買うわけでもないのに、ヘルシーさを演出する食べ物がリストに載っていただけで、無意識に最もカロリーの高いメニューを購入してしまうのです。

脳科学者を感心させた信号待ち姿勢 フランスの大学が、25歳の男性の服装をスーツ、キレイなTシャツ、穴の開いた汚れたTシャツに着替えさせ、赤信号を無視するマナー違反に人はどう追随するかの実験をしました。結果は、スーツにネクタイ姿につられて渡ったのは信号待ちの人のうち55%。そしてキレイなTシャツだと18%、穴の開いた汚れたTシャツだと9%でした。                                                              

人はこのように状況に左右されるところがありますが、今回の参考文献(脳科学者・中野信子著『脳の闇』新潮社刊)には、どのような状況下でも、信念をもって信号待ちをする女性の話が登場します。彼女は、ほとんど人や車の通らない道路でも、決して信号を無視せず、ルールを守って、横断歩道の前で待ち続けるのだそうです。

気になって、この人が信号を守る理由を、なぜですか? と聞いてみると、予想外の返事が返ってきました。「自分は、ズレを楽しむために、わざわざ赤信号に従っている」というのです。「信号が青になるまでの数十秒の間、そのわずかな時間のズレによって起きるかもしれない運命のいたずらを楽しんでいる」のだと。

この信念で信号待ちをする人のことは、著者の中野さんがたまたまネットで見かけたそうです。マスコミ露出度の高い超売れっ子の脳科学者の中野さんは「なんという楽しみ方だろう」と、感心したと書いています。そして、何かを待つ楽しみがより増えるのではと、ご自身もぜひこの考え方を採りいれようと思われたそうです。

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