梨園に嫁した藤原紀香さんの相手に合わせた手紙術
藤原さんは2016年に歌舞伎役者の六代目片岡愛之助さんと結婚し、女優業をおこないながら夫を支える充実した日々を送っています。その梨園での奥様業のひとつに、後援者など日頃お世話になって方々からのお礼状や挨拶状へ、返信をしたためるお役目があるそうです。そのご様子が『趣味の文具箱Vol.45』に紹介されていました。
プロフィールの趣味の筆頭に「書」とあり、昔から書を習う藤原さんは、毛筆の使い手でもあるそうです。そして細やかな心くばりは、「手紙の返信を書くときは、相手からいただいた手紙の筆跡に近い筆記具を選びます。そして、墨でくださった方には毛筆で、インクでくださった方には万年筆で、という風に使い分けているとのこと。
さらに驚かされるのは、その筆記具に合った線を描ける紙を選ぶのだそうです。お礼状や挨拶状には、くださった方の思いがこもっているとの考え方から、お相手の選んだものに合わせて用紙にまで気くばりする。なかなかできない配慮ですが、ご返信をいただいた方々は、人気女優さんのそうした心のこもった返信を嬉しく思わないはずはありません。
兵庫で生まれ育った藤原さんは神戸への想いもひとしおで、神戸の印刷会社・大和出版印刷が展開するステーショナリーブランド・神戸派計画のダイアリーやノートを長年愛用しているとのこと。「グラフィーロの紙質が素晴らしくて。万年筆でぬらぬらと快適に書けますし、インクの色も綺麗に出るところが嬉しいです」と。
本稿の最後は、「SNSの時代にあえて『手紙』の話」のTwitterシリーズ①②で書いたことを簡単に取り上げます。①は向田邦子さんの「どんなにみっともない悪筆悪文の手紙でも、書かないよりはいい」でした。向田さんは書かなくてはいけない時に書かないのは、目に見えない大きな借金を作っているのと同じなのである」と書かれています。
②はタピオ(店名は靴下屋)の創業者・越智直正氏が修行時代の苦難を訴えた手紙に、お兄様が返した不思議な手紙につてです。その手紙には、たった二行「山より大きな猪はいない 海より大きな鯨はいない」と。越智氏は、当初、兄は何か勘違いをしたのでは…と思いますが、それが兄から弟への、愛情のこもった戒め(いましめ)であることに気がつきます。
いくらガタガタ泣き言を書き連ねても、実際はお前が言うほどのことはない。黙って自分に与えられた職務をまっとうしなさい。そうすれば、いずれ自分の道を切り開くことができるだろう。それまで頑張りなさい、とお兄さんが諭してくれていることに気付いたのでした。この兄にしてこの弟ありですね。豊富な品揃え、リーズナブルな靴下にも感謝です。
参考文献:『趣味の文具箱Vol.45』(枻出版社刊)
『1日1話 読めば心が熱くなる 365人の 仕事の教科書』(致知出版社刊)
『折れない言葉Ⅱ』(五木寛之著/毎日新聞社刊)『少しぐらいの嘘は大目に――向田邦子の言葉』より
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