絵文字を契約のサインと認めた裁判所!
スマホなどのメッセージでよく使われる、親指を立てた「いいね」を意味する絵文字が、「契約の同意」、つまり、この内容で契約することに同意しました、という意思表示をしたことになるという、驚くべき裁判所の裁定があったことを、7月10日の『朝日新聞・夕刊』が報じました。
アメリカのCNN放送やカナダ中部のサスカチワン州の裁判所の文書によりますと、カナダの穀物取り扱い業者が農家に対し携帯電話で、作物の買い付けを求める内容の契約書の写真とともに、「確認してください」とのメッセージを送信しました。これに対して、農家は親指を立てた「いいね」の絵文字で返信しました。この返信を穀物業者は「契約成立」と理解したので、期日までに作物が納品されなかったことに対して、損害賠償を求めて農家を裁判所に訴えました。
呼び出された裁判所で、農家は『親指を立てる絵文字は、ただ契約書を受け取ったことを確認しただけで、契約条件への同意を確認したわけではない』と反論しました。この農家の反論に対して、穀物業者はこの農家とこれまでに少なくとも4回、メッセージで契約を交わしていた事実を明らかにしました。
裁判所の判事は、「絵文字は単に契約書を受け取って検討するという意味ではなく、契約への同意を示している。穀物業者と農家の間に契約の同意があったとの客観的な理解が出来る」との判断を示しました。
スマホのメッセージのやり取りで、笑ったり泣いたりする表現として使われる絵文字は1996年に日本のテクノロジー専門家の栗田穣崇(くりたしげたか)氏によって発明されました。2010年に文字コードの業界標準規格Unicode(ユニコード)に登録され、世界中に普及するようになりました。絵文字(Emoji)という日本語ことばも、翻訳されることなく世界中で使われるようになっています。ある調査によると、アメリカでは、1人が1日に96の絵文字を送っているそうです。
カナダの裁判所が、親指を立てた「いいね」の絵文字を契約同意のサインと見なしたのには、このようにSNS上でメッセージ表現の一部として認知されていることが背景にあったと思われます。日本発の世界語としては、マンガ(Manga)、アニメ(Anime)、アイドル(Idol) 、コスプレ(Cosplay)などがしられてきましたが。最近では 絵文字(Emoji)がナンバーワンだそうです。このところ多くの項目の世界ランクで日本の地盤沈下が続いている感じがしますが、絵文字に代表される日本文化の健闘は誇らしいですね。
| 固定リンク
「マーケティング・その他」カテゴリの記事
- 町工場の携帯向け金型が世界を制する!(2023.11.27)
- 伝統を大事にした二代目の中村吉右衛門(2023.11.23)
- 身近な「鍋」に纏わる3つのエピソード(2023.11.09)
- 新聞広告のユニークな「人材募集」と「商業広告」等(2023.10.22)
- 存在感ある宝塚出身の女優たちとその生みの親(2023.10.17)