年末に「カレンダー」のこと考えてみる
初は地球カレンダーから。地球の誕生を1月1日とすると、生命が誕生したのが4月8日、それから11月1日までは単細胞生物しかおらず、最初の魚類が出現したのが12月25日、人類の祖先が現れたのが12月31日の午後8時10分です。エジプトやメソポタミアに最初の文明が誕生してからは、わずか30秒しか経っていません。
ソビエト連邦時代のカレンダー改変による失敗 1929年8月、1週間を7日ではなく5日にし、4日働いて1日休むというプランが発表された。重要なのは、みんなが同じ日に休まないことだ。労働者は黄、緑、オレンジ、紫、赤の5色にグループ分けされて、それぞれ違う日に休みが割り当てられた。そうやって、つねに4つのグループが工場で働いているようにした。
ソ連当局によれば、これは労働者にもメリットの大きい政策になるはずだった。休日が増え、客足が分散して、文化施設やスーパーマーケットの混雑が緩和されるからだ。ところが実行してみると、ソ連の一般市民の生活はぼろぼろになった。作家のジュディス・シュレビッツによると、社交の機会が奪われて、社会が断絶されてしまったためだ。
グループが違うと同じ日に休みが取れない。これは夫婦間でも同じ。交代カレンダー制は1940年まで継続されたあと、機械のメンテナンスに支障をきたすという理由で廃止された。しかし、ソ連政府の実験は、時間の価値が良で決まるのではなく、大切な人と過ごせるかどうかにかかっているという真実を図らずも実証した。
「カレンダー」と「時間」にまつわる3話 ある地方の40代の若い経営者が、会社の規模はそれほどではないのに、地元のいろいろな会の役員をされていた。なんでこの人が、と観察すると、その方の社長室には7枚のカレンダーが貼ってありました。しかも、すべて違う会社の名前が入ったカレンダー。人のつながりをとても大事にする方だったのです。
あるメーカーがアップルの「ニュートン」を買ったお客に電話をかけ、どんな機能が欲しいか意見を聞いた。その中に、「ごちゃごちゃした予定を整理して、いくつものカレンダーを一つにまとめ、予定を一括管理できる製品が欲しい」があった。これを聞いた調査元はライバルは、ほかのコンピューター製品ではなく、卓上カレンダーだと気づいた。
「僕たちはけっして時間を手に入れることができない。なぜなら僕たち自身が、時間だからだ」とハイデッカーは言った。自分が時間そのものだとしたら、時間の上に立とうとか、支配しようとかいう考えは意味をなさない。何かを支配するためには、そこから離れて、外側に足場を見つけなくてはならないからだ。でも、時間の外に出ることなんて…。
※参考文献:『不愉快なことには理由がある』(橘玲著/集英社刊)
『限りある時間の使い方』(オリバー・バークマン著/かんき出版刊)
『仕事は99%気配り』(川田修著/朝日新聞出版刊)
『20歳のときに知っておきたかったこと』(ティナ・シーリグ著/阪急コミュニケーションズ刊)
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