「目隠しテスト」で垣間見る消費者心理
流通用語辞典によると「目隠しテスト」(別名ブラインド・テスト)は、商品についているメーカー名、あるいはブランドを伏せて、被調査者に与え、商品のよしあし、メーカー名あるいはブランドを当てさせる方法。被調査者がもっているイメージ、メーカー・イメージなどを取り除くことができ、純粋に近い形でテストができる特色がある。
「目隠しテスト」の代表的な事例としては、「コーラ」のブラインド・テスト(ペプシチャレンジ)があります。米国では1970年代、日本では1980年代に実施された「飲み比べキャンペーン」がそれです。中年以上の方であれば、日本では珍しいタイプのTVマーシャルがあったことを、記憶している方もいらっしゃることでしょう。
「ペプシチャレンジ」は、一般消費者を対象に、ペプシコーラと別のコーラ(もちろん、「コカ・コーラ」でしたが)をブランド名称を隠した形で飲み比べしてもらい、どちらが好きかを言ってもらいました。結果はテストに参加した70%が「ペプシ」を選びました。自称「コカ・コーラ愛好家」でさえ「ペプシのほうが好き」と答えた方が多かったのです。
この調査でわかったことは、味の評価ではペプシに軍配が上がっても、消費者の多くが「コカ・コーラ」を選んでしまうという現実でした。コカ・コーラはNYで20万人対象の味覚テストでペプシコーラより味がよいが、「クラシック」はまずいと判定されたため、「ニューコーク」を発売したが、数か月後に撤回するという大失態を演じることになった。
ブラインド・テストはコーヒーでも行われている。マクドナルドは、バーガーキングとともに、『コンシューマーレポート誌』が実施したコーヒーの味覚テストで、スターバックスとダンキンドーナツを打ち負かした。同誌は、マクドナルドの「プレミアムローストコーヒー」には「欠陥がない」と宣言し、財布にやさしいと宣言したとのこと。
「マクドナルドを試してみてください。マクドナルドが一番安くて最高でした」とConsumer Reportsは3月号で述べています。スターバックスは、カフェインの群衆の中で最も声の大きいファンクラブを持っているかもしれませんが、「強いが、目を開けるどころか涙が出るほど焼け焦げて苦い」と報告書に書かれているとか。
ブラインド・テストの意味について、スタンフォード大学の神経経済学者であるバーバ・シブは、「商品に対しての予想がいったん動き始めると、実際、人の行動に影響を及ぼすことになります。理性的な脳が現実を歪め、他の選択肢を考えられなくするのだ。感覚的な脳から生まれた信用できる意見に耳を貸さず、自ら間違った仮説に従ってしまう」と。
日本の事例としては、東京都の水道水とミネラルウォーターの飲み比べキャンペーン(2017年実施結果より)がある。東京都水道局は、数万人に目隠しテストを行い、毎年結果を公表している。2017年は約3万人が参加し、結果は「水道水の方が美味しい」39.1% 「ミネラルウォーターの方が美味しい」41%、「どちらも美味しい」19.8%だった。
※参考文献等:■https://www.seminarjyoho.com/article/setsuyaku/3599
■https://www.seattletimes.com/nation-world/a-bitter-shot-for-starbucks-mcdonalds-wins-taste-test/
『売れるもマーケ 当たるもマーケ マーケティング22の法則』(アル・ライズ&ジャック・トラウト著/東急エージェンシー出版部刊)
『一流のプロは「感情脳」で決断する』(ジョナ・レイラー著/ アスペクト刊)
『なんで、その価格で売れちゃうの?』(永井孝尚著/ PHP研究所刊)
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