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2024年3月

2024年3月27日 (水)

身近にある店員さん達のホスピタリティ

ホスピタリティは高級ホテル・高級品取扱店舗・医療機関などの専売特許ではありません。今回紹介するのは、行きずりの客が、たまたま訪れた「空港の和食店」、「街のお蕎麦屋さん」、「病院近くのファストフード店」で受けたステキな対応についてです。どれも心温まるお話で、日本人が本来持っていた接客のスタンスが色濃く表れた例だと思います。

高知空港施設内の和食店での「弔いのホスピタリティ」

妻を亡くした元校長から高知の日本料理店へ感謝状が届きました。彼は四国巡礼を終え、高知空港で待ち時間にそのお店に入り、ビール1本と高知名物のかますの姿鮨一人前を注文しました。加えて「申し訳ありませんがグラス2つで」と。注文を受けた若いウエイトレスは、どうしてグラスが2つ必要なのだろうと不思議に思いながら指示に従います。

まずビールとグラスを2つ出しましたが、グラスのことがどうしても気になったので席に目を向けます。すると客は、女性の写真をテーブルの中央に置き、その前のグラスにビールを注ぎました。続いて手にしていたグラスにビールを入れ、乾杯をしました。そこで彼女は

お鮨が出来上がって運ぶときに箸と箸置きを二組、小皿を二枚持って行きました。

元校長の手紙には、次のように書かれていました。「四国への旅は、家内の写真と一緒に出かけ、食事には一緒にビールを飲みました。しかし、お箸と小皿を2人分出して頂いたのは、            おたくの店が初めてでした。驚きました。感動で体が震えました。帰りの飛行機の中では、涙が止まりませんでした。ほんとうにありがとうございました」と。

たかが、お水。されど、お水。心憎い気遣いに脱帽

持病があって、旅先でも薬が手放せない人が、東京の神楽坂に友人を訪ねた時のことです。夕食に、「おいしそうなそば屋さんがある」と連れていかれました。食後、いつものように薬袋を取り出します。お水をお願いするのも面倒なので、今日はお茶で飲もうか、それともそば湯で・・・などと考えつつ錠剤を1回分手にした瞬間のことでした。

目の前にコップが置かれたのです。多分、お店の経営者の奥様なのでしょう、彼女は私の様子を見ていて、頼んでもいなのに気を利かせてくれたのでした。うれしいことに、氷が入っていません。「ありがとう!」と言いました。そして、口に含んでから、さらに驚きました。ほんのり温かいではありませんか! なんと、それは「白湯(さゆ)」だったのです。

若い女店員の心憎いばかりの思い遣り

店には、女性の店員が一人でした。朝のメニューにはテリヤキバーガーがないので躊躇していると、彼女は注文を聞き、「少しお時間をいただければ…」と言ってすぐに準備を始めました。その時、入院中の子供に持っていくことを話しました。このような店には、マニュアルとおざなりの対応しかないものと思っていたので、彼女の対応がとても驚きでした。

注文の品を受け取り、店を出ようとする客に、彼女は、「おだいじに」と声をかけてくれそうで、客は年甲斐もなく、ジーンとしてしまったそうです。そして、さらに驚いたのは、病院で子息の前で袋を開けてみると、中にはメッセージカードが入っており、「早くよくなってくださいね」と書かれてありました。

※参考文献:『ザ・お客様相談室 売上高貢献率120億円!』(岸正則著/文芸社刊)

『あなたが創る顧客満足』(佐藤知恭著/日経ビジネス刊)

『毎日が楽しくなる 17の物語』(志賀内泰弘著/PHP研究所刊)

『お客様からの感謝状』(佐藤寛著/ 実務教育出版刊)

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2024年3月20日 (水)

ただ眠るのでなく、いかによく眠るか

「ひらめき」と「思いつき」は違います 睡眠中には、起きているときに解けなかった問題が解ける「ひらめき」の機能があります。知識を詰め込んで詰め込んで考えが詰まったときに、関係ない分野のヒントで、すべての知識がつながって解決するのが、ひらめきです。睡眠は、脳の中の資源をフル活用して、記憶を質的にも変化させているのです。

睡眠中の情報処理によって、前日の経験は「使える記憶」に作り替えられます。ところが、睡眠の質が悪いと、記憶を整理するために必要な神経の活動が見られなくなってしまいます。ただ眠ればよいというわけではないのです。では、睡眠の質を高める方法とは? 

質の良い睡眠に重要なのは、実は夜ではなく、昼間の過ごし方なのだそうです。

「隠された規則」が「ひらめく」と非常に楽に解ける数学の問題を3グループで実験

第一のグループ…まず朝に問題を考え、8時間ほかのことをして、夜に再度考える。

第二のグループ…夜に問題を考え、8時間睡眠をとってから、朝また考える。

第三のグループ…夜に考えて、そのまま徹夜して、朝また考える

その結果、第一のグルーブと第三のグループでは、「隠された規則」に気付く割合は、大差ありませんでした。しかし、第二のグループだけ、「規則に気づいた人の割合」がほぼ2倍に跳ね上がったのです。この結果から、「規則に気づく(ひらめき)」のに睡眠が役立ったのは、単に「寝不足を解消したから」ではなかったことが分かりました。

ぐっすり深く眠れる波の音のゆらぎパワー 揺らぎとは、完全な規則性と完全な不規則性のちょうど中間にあると考えられています。このゆらぎは、脳の視床下部に作用し自律神経のバランスを整えます。自然の中で波の音に耳を傾け、そよ風を頬で感じていると、心は落ち着き癒されます。その原因の一つが、波やそよ風が持つ1/fのゆらぎなのです。

1/fのゆらぎとは、波のそれぞれの周波数成分(パワースペクトル)が、周波数の逆数、つまり1/fに比例するという性質です。導体に電気を流す実験を行なったところ、抵抗値が一定ではなく不安定にゆらいでいることから発見されました。その後、さざ波や風など、自然界の音の中の様々な現象に1/fのゆらぎが認められることも判明しました。

睡眠中の人の心拍数は70前後 バッハの『G線上のアリア』は60拍で、これを聴くと次第に気持ちが落ち着き、心拍数も下がり、脳波中のα波が増え、やがてθ波も増加して眠気を催します。これが「心が休まる状態」。反対に、120拍以上のダンスミュージックのようなテンポの曲は、活発な精神状態を優位にするβ波が脳波中に増えてしまいます。

神経の緊張を緩める4000Hz(ヘルツ) モーツアルトには、この高周波音周辺を多く含む楽曲が多いことで知られています。2つの関連サイトを検索したところ、各推薦10曲の中で共通して登場したのは、『ピアノ協奏曲第21番 ハ長調 K.467 2楽章』

『ディヴェルティメント第15番 変ロ長調 K.287 4楽章』の2曲でした。   

※参考文献:『あなたの人生を変える睡眠の法則』(菅原洋平著/自由国民社刊)

『「脳力」を伸ばす快適睡眠術』(吉田たかよし著/PHP研究所刊)

『あの人の声はなぜ魅力的なのか』(鈴木松美著/技術評論社刊)

『仕事脳を強化する記憶HACKS』(佐々木正悟著/技能評論社刊)

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2024年3月14日 (木)

「お財布」に纏わる3つの興味深い物語

大岡越前守の「三方一両損」:ある正直ものが、道で三両入った財布を拾った。男は律儀に落とし主を探し、カネを返そうとした。ところが落とし主は、財布は受け取ったが、三両は拾った男にやると言い張った。どちらが受け取るかで大喧嘩になり、決着がつかず奉行所へ持ち込まれた。このときの南町奉行所の奉行は大岡越前守だったが、果たして…。

桜吹雪のお奉行の裁定は、「それぞれの申し出、天晴である」と評したうえで、奉行が二人に提示したのは「拾い主に、三両の中から一両を奉行に差し出しなさい。そして、落とし主からも一両回収。この裁定だと計四両が必要となり、一両不足するが、その一両はわしが負担しよう。そうすると裁定にかかわった3名それぞれに一両損になる」がどうかと。

財布を落としたときの守り神:ハートフォードシャレー大学の心理学者リチャード・ワイズマンはスコットランドのエジンバラで写真の入った財布をたくさん落とした。落とされた各40個の財布で一番持ち主に戻ったのは「笑う赤ちゃん」の写真で88%、次が「かわいい子犬」で53%、「家族」は48%、「年寄り夫婦」は28%だった。

財布を忘れたときの守り神:ある調査で「誠にすみませんが、家に財布を忘れて出まして、75セントないと家に帰れないのですが…」。これをネクタイなしのスーツのみで1時間、ネクタイ着用で1時間したところ、最初の1時間は7ドル23セントもらい、ネクタイ着用後の1時間では26ドル稼ぎ、中には新聞を買うお金まで都合してくれる人もいた。

財布のトリックから身を守る方法:昔、一人のロンドンの商人が、ある金貸しから莫大な借金をして困っていた。もし借金が返済できない時は、監獄に放り込まれるという時代である。年老いた醜い金貸しは、その商人の美しいティーンエージャーの娘に目をつけて、ある取引を提案した。もし娘をくれるなら、借金を帳消しにしてやろうというのである。

途方にくれる商人と娘を前に、善人を装った金貸しは、運を天に任せようと言って、財布に中に黒白二つの小石を入れるから、娘にその一つをつかみ出せと言った。もし娘が白い石を選んだ時は、借金を帳消しにしてやろうというのである。拒めば、父親は監獄送りになり、娘はたちまち食べていけなくなってしまうので、商人は仕方なしにこれに同意した。

そこで金貸しは、商人の庭の小石を敷きつめた小道から、二つの小石を拾って財布に入れた。ところが、娘は金貸しが財布に入れた石が二つとも黒石だったのを、目敏く見つける。さあ石を選べといって容赦なく迫る金貸しに対し、もしあなたが不運な娘だったとしたら、どうするだろうか? と『水平思考』の考案者エドワード・デボノ博士は問いかけます。

博士のアドバイスは、娘さんが財布から石を取り出した瞬間「アッ!」と叫んで石を落としてしまえばよいと。金貸しが石を拾った小道には白黒の石が入り混じっており、落とした石が白か黒かの判断はつかない。そこで娘さんが「申し訳ありません」と詫び、袋に残った石の色で自分が取り出した石の色が判断できますよね!」と切り返せばよいと。

※参考文献:『瞬間説得 その気にさせる究極の方法』(ケヴィン・ダット著/NHK出版刊)

『ビジネスマン 成功のための服装学』(ジョン・T・モロイ著/ジャテック出版刊)

『問題解決の思考技術』(飯久保廣嗣著/日経ビジネス社刊)

『水平思考の世界』(エドワード・デボノ著/きこ書房刊)

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2024年3月 6日 (水)

出番少なくもハートに響くコインの物語

マー君の「大きな十円玉」

生まれながらの障害をもっていたマー君は不登校でしたが、四年生に上がる頃、両親が話し合い中学生になるまで全寮制の養護学校に預ける事に。先生が一対一で主要教科を一年生にまで遡り丁寧に教えると、マー君は。その日習った事を、毎日毎日母親に電話で報告していました。覚えた漢字も沢山になると、少し難しい本も読めるようになりました。

 

マー君をずっと教えていた先生が、ある日お金の問題を出します。『ここに、五百円玉、百円玉、十円玉があります。どのお金が、一番大きなお金ですか?』。すると彼は「十円玉」と答えます。先生が「五百円なのよ」と、教え直しても答えは変わりません。そこで理由を聞くと「十円玉は、電話が出来るお金。電話をするとお母さんの声が聞ける」からと。

 

大震災の命綱となった「コイン」

元日の能登半島地震から思い起こされるのは29年前の阪神淡路大震災。能登半島地震はこれから「ご馳走」を楽しもうという1640分頃に激しい揺れに襲われたが、阪神淡路大震災は127日の未明、546分だった。このため、ほとんどの被災者は寝床で激しい揺れに襲われ、家屋の倒壊直前に、着の身着のまま家を飛び出した。

 

命拾いはしたものの、能登半島ほどではないにせよ、真冬の夜明け前は寒さも応える。そして能登と同じように電気も水道も使用不可。そのような悲惨な状況の中で、ドリンク自販機が横倒しになっても利用可能なものがあったという。これで飲み物が…と思いきや、群がった人の中にコイン保持者は皆無。眼前にドリンクがあるのに眺めているだけ。

 

中には、腹立ち任せに自販機を蹴とばす人も出る惨状を、たまたま視察中の日銀神戸支店長(遠藤勝裕氏)が目撃する。彼はその瞬間「このままでは暴動も」との危機意識から急遽銀行に戻り、銀行協会と調整の末、百円玉9枚と十円玉10枚を入れた千円の袋を4千個用意。この袋を抱え避難所に出向き「銀行協会からの義援金です」と渡して歩いた。

 

こうしたきめ細やかな被災者支援の傍ら、遠藤氏は生活者&企業支援にも乗り出す。支店長判断で、通帳や判子がなくても身分証、免許証を提示したらお金が借りられる、半焼けの紙幣は普通の紙幣と交換する、といった金融特例措置を独断で、震災当日に実行。加えて、遠藤氏は、損壊を免れた日銀神戸支店内に、各金融機関の窓口開説の便宜を図った。

 

戦後を象徴するコイン「五円玉」

五円玉の表面のデザインは、左から右に、穂をたれている稲穂で農業を、穴の周りの歯車で工業を、「五円」の文字の背景の線は水・波を表し漁業(水産業)の、戦後の産業を表している。裏には、日本の神木のヒノキの双葉がデザインされている。双葉は「新生」「再生」「復興」を意味し、表と裏のデザインで、戦後の荒廃からの復興を願ったとのこと。

 

明治政府は1869年(明治234日)に金銀銅の円形貨幣を鋳造する円貨の制度を定めたが、五円玉はこの範疇を超えた黄銅貨で、銅が6070%、亜鉛が3040%で、重量は3.75g、直径2.2㎝となっている。その理由が今日ではとても意味深で、五円玉は戦後使われなくなった砲弾や薬きょうを溶かし、平和を願ってつくられた硬貨なのです。

 

※参考文献:『心に残るとっておきの話〈第1集〉』(潮文社編集部編/潮文社刊)

『1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書』(藤尾秀明監修/致知出版社刊)

『社会科教師のための「言語力」研究』(片上宗二著/ 風間書房刊)(1431字)

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