ただ眠るのでなく、いかによく眠るか
「ひらめき」と「思いつき」は違います 睡眠中には、起きているときに解けなかった問題が解ける「ひらめき」の機能があります。知識を詰め込んで詰め込んで考えが詰まったときに、関係ない分野のヒントで、すべての知識がつながって解決するのが、ひらめきです。睡眠は、脳の中の資源をフル活用して、記憶を質的にも変化させているのです。
睡眠中の情報処理によって、前日の経験は「使える記憶」に作り替えられます。ところが、睡眠の質が悪いと、記憶を整理するために必要な神経の活動が見られなくなってしまいます。ただ眠ればよいというわけではないのです。では、睡眠の質を高める方法とは?
質の良い睡眠に重要なのは、実は夜ではなく、昼間の過ごし方なのだそうです。
「隠された規則」が「ひらめく」と非常に楽に解ける数学の問題を3グループで実験
第一のグループ…まず朝に問題を考え、8時間ほかのことをして、夜に再度考える。
第二のグループ…夜に問題を考え、8時間睡眠をとってから、朝また考える。
第三のグループ…夜に考えて、そのまま徹夜して、朝また考える
その結果、第一のグルーブと第三のグループでは、「隠された規則」に気付く割合は、大差ありませんでした。しかし、第二のグループだけ、「規則に気づいた人の割合」がほぼ2倍に跳ね上がったのです。この結果から、「規則に気づく(ひらめき)」のに睡眠が役立ったのは、単に「寝不足を解消したから」ではなかったことが分かりました。
ぐっすり深く眠れる波の音のゆらぎパワー 揺らぎとは、完全な規則性と完全な不規則性のちょうど中間にあると考えられています。このゆらぎは、脳の視床下部に作用し自律神経のバランスを整えます。自然の中で波の音に耳を傾け、そよ風を頬で感じていると、心は落ち着き癒されます。その原因の一つが、波やそよ風が持つ1/fのゆらぎなのです。
1/fのゆらぎとは、波のそれぞれの周波数成分(パワースペクトル)が、周波数の逆数、つまり1/fに比例するという性質です。導体に電気を流す実験を行なったところ、抵抗値が一定ではなく不安定にゆらいでいることから発見されました。その後、さざ波や風など、自然界の音の中の様々な現象に1/fのゆらぎが認められることも判明しました。
睡眠中の人の心拍数は70前後 バッハの『G線上のアリア』は60拍で、これを聴くと次第に気持ちが落ち着き、心拍数も下がり、脳波中のα波が増え、やがてθ波も増加して眠気を催します。これが「心が休まる状態」。反対に、120拍以上のダンスミュージックのようなテンポの曲は、活発な精神状態を優位にするβ波が脳波中に増えてしまいます。
神経の緊張を緩める4000Hz(ヘルツ) モーツアルトには、この高周波音周辺を多く含む楽曲が多いことで知られています。2つの関連サイトを検索したところ、各推薦10曲の中で共通して登場したのは、『ピアノ協奏曲第21番 ハ長調 K.467 第2楽章』
『ディヴェルティメント第15番 変ロ長調 K.287 第4楽章』の2曲でした。
※参考文献:『あなたの人生を変える睡眠の法則』(菅原洋平著/自由国民社刊)
『「脳力」を伸ばす快適睡眠術』(吉田たかよし著/PHP研究所刊)
『あの人の声はなぜ魅力的なのか』(鈴木松美著/技術評論社刊)
『仕事脳を強化する記憶HACKS』(佐々木正悟著/技能評論社刊)
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