椅子の良し悪しで人生が左右されるかも
テレワークをはじめた人の多くが悩むのが、長時間作業による腰や肩、首などへの負担。背板や座面が固い椅子を利用している場合はなおさら。そこで有力な選択肢となるのが、オフィス家具メーカーの椅子。オーソドックスなオフィス向けのほか、長時間の利用を想定し通気性に優れた素材にこだわった製品、著名なデザイナーによる高級製品もある。
その設計には通気性のある素材の採用、エルゴノミクス(人間工学)に基づいたデザインなどの工夫が施されている。機種によっては、マッサージ機能を備えたものや、休憩や仮眠時には背もたれを倒してほぼフラットになるもの、オットマンやフットレストがついたものなどがある。長時間作業をしたままでも疲れにくいと、テレワーカーの間でも評判。
フロイト椅子へのこだわり ナチスから逃れるための逃避行時に携行が許されたのはひと家族でスーツケース一つ分の必需品だった。しかし、このときのフロイトの持ち物は椅子だった。彼の娘マティルデによると、フロイトはいつもの姿勢、つまり「両足を片方の肘掛からだらりと垂らし、上体を後ろに傾けて本を上に掲げて」座っているときに、最もくつろいで見えたそうだ。
彼は、背もたれと同じように肘掛けも二重構造にした特別な椅子を、職人につくらせていた。超現代的な見た目の椅子だ。人間は一人ひとりが特異であり万人が使えるものなどない、というフロイトの思想がよく表れたエピソード。当時、精神病患者には標準化された治療が一律に施されたが、彼は患者の病歴、生活環境、性格を考慮に入れた治療を用意した。
椅子の座り方(非言語情報)だけで自在に感情表現 タモリさんの「いいとも!」を思い出すと、彼はゲストを紹介し、ゲストの着座後、プロフィールを質問してみたり、現状について質問したりします。入り方のパターンは多彩ですが、ほぼ共通しているのは(相手との面識が薄いときは特に)、柔らかい口調で、ゆっくり話すこと。また、椅子にもたれてゆったり座ることが多かった。これは、自分がリラックスしていることを示し、相手にも緊張せずに話してもらいたいから。
そして、話が展開していくうちに、「ここだ!」という場面では、斜めにのけぞったり背筋を伸ばしたりしながら、高く強い口調で興味を示す。柔らかく平静な状態から変化を見せるので、相手はハッと集中する。ただ、必要以上にハイテンション表現を続けない。
そのため、視聴者には大げさではない自然なやりとりに観える。さらに盛り上がって大きく笑う時は、相手側に前のめりになってから大きくのけぞって笑ったり、体をまわしながら観客席を見て笑ったり。客席を見るのは、みんなを笑いの共感に巻き込みたいから。若手芸人のようにバタバタとは動かないが、ポイントとなる場面で大きく体を動かす。
また、必要に応じて手の動きも入れ、立ち上がって動作をマネたりも。様々なパターンがあり飽きさせない。このように、ごく自然に雑談を交わしながら、相手を乗せて視聴者まで楽しませる。そのために、いろんなノンバーバル(非言語)テクニックが取りこまれている。それがごく自然なので、あまり気づかれない。これが、タモリさんのすごさ。
※参考文献:『テレワーク大全』(小林暢子著/日経BP刊)
『天才はしつこい』(ロッド・シャドキンス著/CCCメディアハウス刊)
『タモリさんに学ぶ雑談の技術』(難波義行著/こう書房刊)
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