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2024年5月

2024年5月21日 (火)

抗菌力など、人を癒す「木の7つの力」

人類(とくに日本人)は木材を利用してきた。日用品や住宅資材など生活の中でありとあらゆるものに木材を利用し、「森と木の文化」を育んできた。なかでも日本には豊かな森林に恵まれ、最も身近なものとして木材があった。そして、豊富な樹種に恵まれたことから木の特性を理解して上手に使い分け、無駄なく利用し、何度も再利用してきた。

 

調湿性・呼吸している木(抗菌性に優れる)

住環境の快適さを左右する要素は温度、風速、湿度の3つといわれる。住宅の内装材に木材を用いた場合とビニールクロスを用いた場合とを比較すると、後者の住宅では1日周期で大きな湿度変化を繰り返す。対して木材の住宅では湿度が50%前後で一定する。これは木材が室内の湿度調節(高ければ湿気を吸い、低ければ吐き出す)を行っているから。

湿度は人間の衛生面とも深い関係がある。病因となる細菌類、カビ類、ダニ類といった微生物は、彼らに都合のよい湿度のときにほこりなどを栄養源として繁殖していく。調査によると、空気中のほこり1グラム当たりに一般の細菌数が64千個、大腸菌が4800個、黄色ブドウ球菌が2700個、セレウス菌が2800個、緑膿菌が210個も発見されたという。

これら浮遊菌は、湿度が高いときや湿度が低い状態では長い間生き続けることができるが、湿度が50%前後では短時間で大半が死滅してしまう。同じようにカビ類は、湿度が80%以上にならなければ増殖を防ぐことが可能となり、ダニ類は湿度が70%以下になるとほとんどいなくなる。壁などの内装に木材を使えば、健康的な生活が保証されるようだ。

 

断熱性・熱が伝わりにくい木

人間の皮膚の表面温度は、環境によって敏感に反応する。コンクリート、塩化ビニールタイル、木材の3種類の材料の床に立った際の足の甲側の皮膚温の変化を測定すると、皮膚温の低下はコンクリートが最も大きく、木材が最も小さくなる。長時間立って作業する台所などでは、足の冷えを防ぐため木材の床が最適といえる。

 

吸音性・人間の耳に優しい木

室内で発生する音は、住宅の内装材で吸収することができる。木材や畳は音を適度に吸収してくれるが、コンクリートでできた部屋では、音が吸収されずに、いつまでも室内に残ってしまう。このように室内の吸音力が小さいと、反射音が大きく、音が響きすぎて耳障りに感じてしまう。反対に吸音力が大きすぎても音が聞きづらく不快感を与えてしまう。

 

緩衛性・衝撃を和らげる木

ただ歩くだけでも、足の裏は膝、腰などに衝撃を受けており、その程度は床の材料によってかなり違ってくる。割れやすいガラスの玉に砂を詰めて落下させ、どのくらいの高さから落としたときにガラス玉が割れるかを調べた実験がある。木材の上に落とした場合は3540㎝だったが、プラスチックの場合は20㎝、大理石では15㎝で割れてしまった。

 

視覚特性・目に優しい木

光の感じ方には、色相、明度、彩度といった要素が関係している。木材の色は種類によってそれぞれだが、一般に黄赤系の暖色と呼ばれる色が多く、暖かいイメージがある。明度は物の重量感が影響するが、黄色っぽい木材は一般に明度が高く軽快ですっきりしたイメージ。赤っぽい木材は明度の低いものが多いことから重厚で深みのあるイメージになる。

 

触感性・歩きやすい木の床

摩擦の度合いを表す数字には、静摩擦係数(止まっている物体が動き出すとき)と、動摩擦係数(滑っているとき)がある。これらが大きすぎると疲労が増え、少なすぎると滑りやすくなり、両係数の差が小さいほど歩きやすく感じる。ヒノキやカエデの床では、摩擦係数が適度に大きく(両係数ともほぼ同じ)が、塩化ビニールタイルの床では差が大きい。

 

芳香性・快適さを感じる香しい木

木材の成分を抽出したものが精油。一つの木には50以上もの種類の成分が含まれる。ヒノキやヒバ、トドマツの精油は、アンモニアでは90%以上、亜硫酸ガスでは100%の脱臭率を示す。脱臭に加え、樹木成分には、殺ダニ効果にあり、屋久杉の精油は3日後までに90%以上を、桜の成分のクマリンは1日で全滅させる効果がある。

※参考文献:『恵みの森 癒しの木』(矢部三雄著/講談社刊)

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2024年5月13日 (月)

詩歌に詠みこまれた「母の日」の記憶

『角川 現代短歌集成 第2巻 人生詠』20091130日初版発行 角川学芸出版刊より

◆家族 「母」 327341頁 329首中 「母の日」が詠み込まれている短歌は6

八十五の翁となれど母おもへば

ただになつかし今日は母の日  窪田空穂『木草と共に』(64年)

「なまみづ」や「なまきず」という音感と

ゆらゆら棲みぬ母の日きのう  米川千嘉子『たましひに着る服なくて』(98年)

 

母の日も母の姿は常のごと

茄子畑の草這うやうに引く  今野金哉『究竟頂』(00年)

母の日のバラの花首萎えたれば

五月の風に吊るしておくなり  黒沼春代『ゆりかごのうた』(03年)

 

母の日に母なかりしよ一木に

添いてゆうらり草の風鐸  百々登美子『風鐸』(05年)

ははの日を祝う母無しふらここの

夕べ緑の風に軋みぬ  吉濱みち子『春灯』(09年)

 

『秀句350 34 「母」』 伊藤敬子編 199441日初版 蝸牛社刊より

「Ⅰ 春」より「母(はは)の日」の登場する12句及び「母(はは)」の登場する6句

母の日や母亡く母と呼ぶ子なく 山下直子

母の日や息子が造る手巻き寿司 皆川貞子

母の日の母連れて来ぬ百花園 北澤瑞史

母の日の母を饒舌たらしめむ 佐久間慧子

母の日の島を遠目に足浸す 吉田鴻司

母の日や何もせずとも母とゐて 大橋敦子

 

母の日や大きな星がやや下位に 中村草田男

母の日や紡ぐごとくにハープ弾く 赤松蕙子 

母の日に亡き母と聞くほととぎす 広瀬釣仙

母の日や大方の母けふも疲れ 及川 貞

母の日や何もせずとも母とゐて 大橋敦子

母の日に提げてごくらくいろの花 長谷川双魚

 

春著着し母の外出に目ざとき子 稲畑汀子

もう誰もははを叱らず桐の花 菅原鬨也

やや派手を母にすすめて花衣 中村明子

手のひらに母の温もり蓬餅 内藤 豊

傷舐めて母は全能桃の花 茨木和生

立春や母の小包日の匂ひ 柴田左田男

 

2024512日にXに投稿&stand.fm(vol.94)の 葉 祥明作『母親というものは』学習研究社刊より3

嬉しいことがあった時 一番先に 知って欲しいのは 母さん

悲しいことがあった時 一番初めに 知って欲しいのも 母さん

 

大きかった 母さんが 小さくなり 小さかった 私が 大きくなった

でも

こころの中の 母さんは今でも大きくて 私は 小さな子どものままです

 

母さんが いなくなったら 故郷(こきょう)に帰る 理由がなくなりました 

母さんの いない故郷になんか 帰る気がしません

「故郷」って 母さんのことでした!

 

※参考文献:『角川 現代短歌集成 第2巻 人生詠』(角川学芸出版刊)

『秀句350 34 「母」』(伊藤敬子編/蝸牛社刊)

『母親というものは』(葉 祥明作/学習研究社刊)

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2024年5月 2日 (木)

運命の本に出合うための図書館の活用法  探している本に出合うのは難しい⁉

100万回死んだねこ 覚え違いタイトル集』(福井県図書館(講談社)という本があります。これはネットで話題になった図書館関係者の「覚え違いタイトル」の実例を集めたもの。たとえば、タイトルにある「100万回死んだねこ」ですが、正しい本のタイトルは『100万回生きたねこ』。ロングセラーとして有名な絵本です。

近年、タイトルの長い本の出版が増えていますが、その典型といえるかもしれない例が同書籍に紹介されています。それは「『年だから解雇よ』みたいな本…」ありますか?」です。これだけの情報をもとに図書館司書が行き当たったのは、『トシ、1週間であなたの医療英単語を100倍にしなさい。できなければ解雇よ。』だったとのこと。実に奥深い。

検索は「全文ひらがな」と「助詞抜き」がオススメ  福井県立図書館の場合、司書が検索するとき、タイトルならば基本的に全文ひらがなで入力するとのこと。図書館の検索システムはGoogleなどの検索エンジンとは仕様が違うため、正しくはひらがな表記のところを漢字にしてしまうとヒットしないらしい。ところが、ややこしいことに、著者名は逆に漢字で検索したほうが見つかりやすくなることがあると。

たとえば福井県立図書館の蔵書検索で開高健の著作を探すときに間違って「かいこうけん」と入力しても見つかるが、図書館によっては正しく「かいこうたけし」で検索しないとヒットしない場合があるとのこと。このあたりは導入している検索システムによって異なるので、レファレンスカウンダ―でその図書館のシステムの確認はしておきたい。

それからもうひとつ〝助詞の罠〟にも注意。『NHK出版から出ている、「感性と哲学」はないですか?」の問い合わせに、福井県立図書館では、「かんせい てつがく」と間にスペースを入れて検索する。検索システムが「てにをは」を間違っているとヒットしないためで、助詞を抜き、複数のキーワードから探すと正しい『感性の哲学』に到達する。

なおGoogleで調べる場合、検索対象が多く、「かんせい てつがく」ではなかなか書籍情報にたどり着けないらしい。対して、図書館の蔵書検索は基本的に書籍しか登録されてないため、こうしたやり方が合理的とのこと。Google検索をよく使う人ほど勝手の違いから戸惑いは大きいようだが、図書館検索術を身に付けるとヒット率は格段に向上すると。

上記以外の勘違い問い合わせ例  「手術はしたけど首から下が動きません」という本を探しているんだけれど…このようなケースでの図書館司書の利用者へのレファレンス・インタビューは「どんな話ですか?」「どこで本の存在を知りましたか?」「日本の本ですか?」「新しい本か古めの本か、わかりますか?」。レファレンスにおいてはこの過程がとても大事だとか。

このケースでは、「そういえば、以前この図書館の闘病記コーナーに置いてあった」との情報を手掛かりに、「手術はしたけど首から下が動きません 闘病」をGoogleでも検索。その結果『命の授業 30万人が泣いた奇跡の実話』に行き着いたそう。なお、この本の帯に「手術はしたけど首から下が動きません」と似た文言の記述があったとのこと。

※参考文献:『100万回死んだねこ 覚え違いタイトル集』(福井県図書館編/講談社刊)

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