病気発症時間帯など生活と時間の関係性
代謝の低い朝方は、心的時間のペースよりも物理的時間の進み方が相対的に速くなる。他方、夕方に向けて代謝が激しい時間帯になると、心的時計のペースも速くなるので、時間がゆったり流れるように感じ。このため、記憶力は夕方、論理的判断力は午前中に高まる。精神活動に関しても、24時間の周期性があることが知られています。
私たちの心の状態が身体の影響を受けることを考えれば、身体と同様に精神活動にも1日の時間帯に対応した周期性があることはそれほど不思議ではない。短期記憶や計算能力、注意を必要とするような課題の成績は、体温の高い時間帯(午後4時頃から8時頃)に最もよくなり、論理的な判断は10:00~14:00頃に比較的良い状態に至ります。
病気を発症しやすい時間帯
サーカディアンリズム(24時間の身体変動リズム)は、作業の効率だけではなく、さまざまな疾病の発症とも関係があります。たとえば心臓発作や脳卒中、片頭痛、花粉症による鼻炎は午前中におこりやすく、歯痛は夜間に、ぜんそくの発作や死、出産などは早朝、未明の時間帯に生じやすいのです。
このように疾病の発現しやすい時間帯があるという特性は、身体時計がつかさどる身体の内分泌系の変動リズムと対応していると考えられています。私たちの身体の状態は常に一定ではなく周期で変動します。そのために、薬効も時間帯によって違うため、薬効が生じやすい投薬のタイミングを操作する手法は「時間医学」において実施されています。
一日の始まりを正しく迎える
研究によれば、人間のストレスホルモンの大半は、目覚めてから数分のうちに分泌される。それは、「闘争・逃走」本能が刺激され、血液中にコルチゾールが分泌されるからだ。試しに、目が覚めたら、横になったままで2分間、自分の呼吸を意識する。これからの1日のことが頭に浮かんだら、意識をそこから逸らして自分の呼吸に注意を戻すようにする。
出社したら仕事に取りかかる前に10分間、マインドフルネスの短いエクササイズをして脳の力を高めよう。目を閉じてリラックスし、背筋を伸ばして座る。そして全意識を自分の呼吸に集中させる。一連の意識の流れを、息遣いだけに向けるのだ。吸って、吐いて、吸って、吐いて…。呼吸に集中しやすいように、息を吐き出すたびに回数を無言で数えよう。
集中する時間のつくり方
2014年、イギリスのメンタルヘルス・ファンデーションが実施した調査で、長時間働いているとどんな変化が生じるか尋ねたところ、従業員の58%が「怒りっぽくなる」、34%が「不安になる」、27%が「気分が落ち込む」と回答した。誰もが責務を背負っていて、プレッシャーを感じているのだから、ストレスを感じることもあるだろう。
だが、注意深くセルフマネジメントをおこなえば、大切にしている目標に集中するための時間を捻出できるようになる。そのために、次の点を心がけよう ⦿「ノー」と言えるようになる ⦿「より長く」働くのではなく、「より賢く」働く ⦿メールと距離を置く ⦿終業時刻がきたら、かならず仕事を切りあげる ⦿「完璧」にこだわらない
参考文献:『「時間の使い方」を科学する』(一川 誠著/PHP研究所刊)
『マインドフルネス』(ハーバード・ビジネス・レビュー編集部編/ダイヤモンド社刊)
『SWITCH CRAFT 切り替える力』(エレーヌ・フォックス著/NHK出版刊)
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