「ホスピタリティ」と「サービス」の違い
「サービス」serviceの語源
ラテン語のservus(奴隷)という言葉から生まれ、英語のsalve(奴隷)、servant(召し使い)、servitude(苦役)という言葉に発展している。サービスにおいては、顧客が主人であって、サービスの提供者は従者というわけである。ここでは上下関係がはっきりしているから、従者は主人に服従し、主人のみが充足感を享受することになる。
「ホスピタティ」Hospitalityの語源
ラテン語のHospes(客人の保護者)に由来する。本来の意味は、巡礼や旅人を寺院に泊めて手厚くもてなすという意味である。この語源から派生して、長い年月をかけて英語のHospital(病院)、Hospice(ホスピス)、ホスト(Host)といった言葉が次々に生まれていった。ゲストとホストは常に相互信頼、共存共栄という同じ目線の中に存在理由がある。
サービスとホスピタリティの対比
「協同・協創・協働」(co-operation)の「協」に対し、「共同・共創・共働」(collaboration, interrelation)の「共」が同じように使われる場合が多い。しかし、「協」と「共」とは本質的に異なる。「共」は共に同じ土俵で、同じ目線で行動する対等性に重心がある。しかし、「協」は三位一体性を強調しているが、必然的に「3つの力」には上下の格差が存在する。
「協」の3つの力のうち、協働には主体間にタテ組織による主従関係が含まれている。主従関係が見られるサービスの語源の場合は「協」が有効となる。これに対し、上下関係となる「力」が介在することのないホスピタリティでは、ヨコ組織となる「共」が適切となる。ホスピタリティとは双方が共通の土俵に立ち、対等にキャッチボールし合うこと。
信用と信頼はサービスとホスピタリティの違いに置き換えることができる
サービスで大事なのは、言われたことをきちんとやり続けることです。サービスとは「約束」だからです。提供すべきものを提供し続ける。これは会社やホテルの信用につながります。
これに対して「ホスピタリティ」とは、一人ひとりのお客様に自分の気持ちを寄り添えたときに、自然と導き出される「おもてなし」を意味しています。
たとえば、「ふだんはテーブルに花を置くけれど、このお客様はテーブルでお仕事されるようだから、違う場所にお花を置こう」
「ふだんはソファをテーブルの方に向けるけれど、このお客様は夜景を楽しみながらソファに座るようだから、少し外側に向けておこう」
ホスピタリティの3つの要素
「セイフティ(Sefety/安全であること)」とは、安全を確保することです。命にかかわることであり、サービスの上で最も基本的なことです。客室のドアを二重ロックにするとか、バスルームに手すりをつけるとか、人々にとって、きめ細かい安全が配慮された状況をさしています。
「コーテシーCourtesy/心くばりのあること)」とは、客の立場で役に立つことを考えることです。これは客に対して心をこめて接することを表しています。
「アメニティ」(Amenity /快適であること)とは、「快適さ」を指しています。これは「気が楽になり快適に生活できる」ことです。ホスピタリティは、「厚くもてなす」という心をこめた言葉と理解できます。
参考文献:『「真実の15秒」で個客をつかむ』(浦郷義郎著/光文社刊)
『ホスピタリティ・ビジネスの人材育成』(山上徹著/ 白桃書房刊)
『たった一言からはじまる「信頼」の物語』(高野登著/日本実業出版社刊)
『もてなしの習慣 みんなで観光まちづくり』(福留強著/悠雲社刊)
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