「雑談・会話・対話」と3つの「きく」
コミュニケーションの3段階
「雑談」は、ただのおしゃべりや井戸端会議など、その場だけの話ですむ場合です。特に結論を出す必要もなければ、少しぐらい話がずれても支障がないことが多いのです。この場合は「聞く」でいいのです。いちいち詳しく聴かれ(聴かれ)たり、気持ちにまで入ってこられては、相手も自分も困ることがあります。
「会話」は、情報の交換や社交の話し合いなど、「雑談」よりは少し関りが深くなります。「聞く」と「聴く」を適当に取り混ぜて成り立っていると言えるかも。もちろん訊く(質問する)ことも大事です。責任や主体性が「雑談」より少し要求されるかもしれません。時々「聴く」姿勢を入れていくと関係がより深まったり、盛り上がったりするでしょう。
「対話」は、互いの意見や考え、感情をやり取りする深い話し合いになります。信頼関係に基づき、お互いを理解しようとする、意味深い話し合いです。この「対話」のレベルで話し合うには、お互いに「聴く」ことが必要になります。なお、日常生活では、軽いやり取りで、楽しく過ごしたいだけの「雑談」のレベルで十分なことも多いのです。
カウンセリング初心者の陥りやすい対応
「聴く」ことに目覚め、いついかなる時も聴こうとします。しかし、相手がそれを望んでいるとは限ません。時に、相手は軽いおしゃべりの積りでいるのに、気持ちまで分かろうとされることは、侵入されてしまうと感じることもあるでしょう。準備ができていないのに探られるようで、不快な感じになることもあります。関係を深めるには段階が必要なのです。
いつまでたっても深い関係が持てないときは
「雑談」や「会話」から「対話」へ深めたい時には、「聴く」は有効です。聴くことで、信頼関係は形成されます。しかしあくまでも対等な関係ですので、自己開示も重要になります。また、相手が何をどう言えばいいか困っている時は、「聴く」姿勢に切り替えると、それが相手の助け舟となり、言いたかったことがはっきりすることがあります。
3つのキク
・聞く(hear):音が耳に入ってくるといった受動的な聞き方です。漢字のごとく、門を閉じて中を隠す、中がよくわからない意を含むのだそうです。平原に門があってその門が開いたり閉じたり、入ってきたり入らなかったり、聞き捨てたり聞き流したり……。半聞きができるのが「聞く」です。
・聴く(listen):「聞く」に対して「聴く」は、真っ直ぐに耳を向けてきき取ること。「聞く」が受動的なのに対して、「聴く」は積極的なきき方になります。カウンセリングの基本に積極的傾聴というものがありますが、まさにそのことです。そして、一生懸命に「聴く」ということは、実はものすごくエネルギーを使うので疲れます。
・訊く(askあるいはquestion):自分のききたいことを相手に訊く、こちらの知りたいことが決まっていて、そのことを訊くという質問になります。会話を深めるために質問という意味の「訊く」ことが必要です。しかし「訊く」場合でも「聴く」を組み合わせないと、「探られた」という感じになり、訊問(interrogate)と錯覚されかねないので要注意です。
参考文献:『アサーション・トレーニング 深く聴くための本』(森川早苗著/日本・精神技術研究所刊)
『こころの声を「聴く力」』(山根基世著/潮出版社刊)
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