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2025年5月15日 (木)

犬の嫉妬⁉ と知っておきたい愛犬家心得

『作家と犬』(平凡社編集部編著) 

犬の嫉妬

セツタア種の子持ちの牝犬が、新しく買われて来たセパアド種の仔犬への嫉妬の余り、鉄道路線へ自分の子共を銜(くわ)へて行って、母子心中を企てたという騒ぎが、さきごろ私の知人の家にあった。やはりほかの犬への嫉妬から、家出をしたという犬の話も稀には聞く。

愛犬家心得(本文掲載順)

・血統書ばかりでなく、親犬の習性を良く調べた上で、仔犬を買う。

・決して放し飼いしない。

・犬を訓練所に入学させ、また、犬猫病院へ入院させるにも、預け先の犬の扱いをよく知っておく。

・一時の気まぐれやたわむれ心から、犬を買ったり、貰ったりしない。

・数を少なく、質をよく、そして一人一犬を原則とする。  

・犬も家族の一員のつもりで、犬の心の微妙な鋭敏さに親しむこと。

・犬に人間の模型を強いて求めず、大自然の命の現れとして愛すること。

・純血種を買うこと。

・病気の治療法を学ぶよりも、犬の病気を予知することを覚える。

・まず牝犬を飼って、その子供を育ててみる。

・犬を飼うというよりも、犬を育てるという心得をどこまでも失わない。

アングラ演劇の祖・唐十郎『盲導犬』という演目冒頭部分より

新宿のコインロッカーの前を5匹の盲導犬を伴った五人の愛犬教師が歩いている。ゆっくりとそして厳粛に。時おり立ち止まると、犬の胴輪でその犬を厳しく打つ。すると稚い質問がまるで子供か大人か分らぬ時の息吹で、天井から聞こえてくる。犬と共に歩きながら五人の男はそれに誠実に答える。まるで、子供の時間の無着成恭のように……

天井からの声 盲導犬とはどんな犬ですか?

五人の愛犬教師 生まれながらの盲導犬というものはありません。盲導犬となるための訓練を正しく受けた犬を、正規の歩行指導を受けた盲人が使用した時、初めて盲導犬と言います。

天井からの声 盲導犬とはどんな働きをするのですか?

五人の愛犬教師 まず、盲人の「第二の目」として、盲人の歩行を助けます。特殊な胴輪をはめて、主人の左側につき、主人の安全を確かめながら誘導します。命令に従っては危険だと犬が判断した時は、命令に従いません。これは利巧な〝不服従〟といえます。さらに主人の歩行の自由を助けることによって精神的独立と勇気を蘇らせ、社会復帰の可能性を最大にすることが盲導犬の使命です。

天井からの声 盲導犬は主人の行先を知っていて誘導するのですか?

五人の愛犬教師 そうではありません。犬は「目」の役割を果たすだけで、どこへ行くかという意思は盲人自身にあるわけです。犬は道の分かれ目でからずとまり、主人の〝ライト〟〝レフト〟〝ストレート〟の命令に従って動くのです。知らない場所へ行くときには、晴眼者と同じで、あらかじめ地図を調べたり、または聞きながら行きます。

天井からの声 どうして命令は英語なのですか?

五人の愛犬教師 日本語には男言葉と女言葉があります。男女どちらが使ってもよく、他の人が聞いてもあまりきつい感じがしない短い言葉というので英語を使用しています。

天井からの声 盲導犬はどのように訓練されるのですか?

五人の愛犬教師 まず服従することを教えます。

参考文献』:『作家と犬』(平凡社編集部編/平凡社刊)

『唐十郎 全作品集 第三巻』(唐十郎著/冬樹社刊)

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