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2025年6月13日 (金)

ミシンも20世紀の名曲も「夢」の中から

ミシンの発明は恐ろしい夢から

夢の中でひらめくアイデアは、視覚的なメタファーの形をとることも多い。たとえば、イライアス・ハウがミシンの発明に取り組んでいたときのこと。機械に固定した針が簡単に布地を通るようにするにはどうしたらいいか途方に暮れていた。それというもの、ハウは手縫いで使う針のように糸穴は頭にあるものと決めてかかっていたからだ。

ある晩、ハルは、体に彩色を施した未開の部族に取り囲まれ、処刑される夢を見た。部族の戦士たちは槍を手にしていたが、見るとその槍は尖った先端に穴があいていた。ハウは夢から目覚めたとき、針の糸通しの穴の位置は、頭でも真ん中でもなく、針の先端に穴を開けることに気がついた。このちょっとした修正によって、ミシンが現実のものとなった。

ポール・マッカートニーが目覚めるとイエスタデイができていた

1965年5月のある朝、ポール・マッカートニーが目を覚ますと、頭の中に音楽が流れていた。それはとても心にしみるメロディーだった。マッカートニーは起き上がって、ベッドのそばにあるスタンドピアノでその曲を弾いてみた。いい曲だなあ。どこで聞いたんだろう…。当時、ビートルズは映画「ヘルプ!」の撮影中で、彼はロンドンにある母親の家にいた。

マッカートニーはその曲のタイトルを調べてみたが思い当たらない。人に聞かせると、誰もが聞いたことがないという。それどころか、メロディーの感じでは、君が作った曲のようだと言われる。それでも、マッカートニーは夢の中で曲想を得たなどとはどうしても信じられなかった。だから、そのメロディーに遊び心でナンセンスな歌詞をつけてみた――

自分のオリジナルだとようやく確信が持てると、マッカートニーは作曲に着手し、できあがったのが「イエスタデイ」だった。それから40年経った今日でも、「イエスタデイ」は「世界で最も多くカバーされた曲」としてギネス・ワールド・レコーズに認定され、1999年のBBCラジオ2の世論調査において「20世紀最高のベストソング」にランクイン。

ひらめきは休息の後に

難しい問題を前に、徹夜して考えに考え、ついに素晴らしい解決に到達した……そんな経験をしたことはない! 考えすぎると、大抵はつまらない結論に飛びついてしまう。特に、夜更かしして考え続けた場合がそうだ。良いアイデアは、あまり頭を使っていないときに、ふと思いつく。こうした傾向は、脳の仕組みによって説明できる。

脳には繊維状の神経細胞が数多く存在し、シナプスを介し相互に接続し信号を伝達する。特定のシナプス接続が強化されると、同パターンの神経興奮が起きやすくなり、記憶の形成に繋がる。シナプス接続の強化が生じるメカニズムにはいくつかの種類があるが、簡単に言えば、同じことをずっと考えていると、決まった思考パターンにとらわれてしまう。

最も効果的な休息は、おそらく睡眠である。参考文献の著者・吉田伸夫氏は、毎日10時間くらい寝るようにしていると。眠っているのはその半分ちょっとだが、それでも、存分に睡眠をとった方が、脳はよく働いてくれる。面白いアイデアは、覚醒してから23時間の間に思いつくことが多い。夜中にふと目覚めた際の閃き用に、枕元にメモ帳を用意と。

参考文献:『脳は眠らない 夢を生み出す脳のしくみ』(アンドレア・ロック著/      ランダムハウス講談社刊)

『アイデアのおもちゃ箱』(マイケル・マハルコ著/ダイヤモンド社刊)

『この世界を科学で眺めたら』(吉田伸夫著/技術評論社刊)

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