地方創生をリードする「漫画作品」とは
2025年1月1日『日本経済新聞』「漫画から描く 地方創生」より
日本の漫画市場は4年連続で過去最高を更新している。紙媒体と電子媒体を合わせた販売額の総額は推定7000億円(2023年時点)に迫り、国を代表する巨大産業に成長した。こうしたなか、作者ゆかりの地で活性化を図る取り組みが各地で盛り上がりを見せる。漫画を通じた地方創生の挑戦を追った(新聞掲載事例は後段に)。
尾田栄一郎さん『ONE PIECE』 熊本「聖像」100体 巡礼続々
熊本県内には世界的な人気漫画『ONE PIECE(ワンピース)』のキャラクター「麦わらの一味」の10体の銅像が点在し、聖地ならぬ「聖像」巡礼が熱を帯びる。作者の尾田栄一郎さんは県内出身。2016年の熊本地震の復調を支援すべく、被害が大きかった地域に銅像を配置した。
「SNSで公開している映像で予習をしてから来た」。関西からの40代夫婦は、県庁前に立つ「ルフィ像」を様々な角度から撮影しながらうれしそうに語る。既に訪れた人によるSNSへの投稿が、次なるファンの訪問へと連鎖する。同県は、現在、台湾積体電路製造(TMSC)進出に湧くが、麦わらの一味は仕事で熊本を訪れるファンも魅了する(以下略)。
モンキー・パンチさん『ルパン三世』 北海道 秋にフェス、コスプレも
太平洋沿岸に約5300人が暮らす北海道浜中町は『ルパン三世』の生みの親、故・モンキー・パンチさんの故郷。過疎化のなか、町や商工会は2009年から「モンキー・パンチ&ルパン三世de地域活性化プロジェクト」を進めている。作者出身の霧多布市を歩くと、町の主産業にちなんだ魚師姿のルパン、石川五右エ門らの等身大パネルや道路案内が街角に立つ。
民家などに並んで、峰不二子と次元大介が〝経営〟するパブやバーも現れる。空き店舗に看板を掲げただけだが、店頭には『ルパン以外お断り』(不二子)、「旅に出るぜ」(次元)といった張り紙があり、眺めるだけでも楽しめる。目玉は記念施設「モンキー・パンチ・コレクション」。実物原画や愛用の木製机など寄贈品を含め約千点の展示物が並ぶ(以下略)。
富樫義博さん『HUNTER×HUNTER』 山形 街全体がミュージアム
2024年12月、山形県新庄市万場町のハナヤ花店にチリ人観光客が訪れた。目当ては、同市出身で『HUNTER×HUNTER(ハンター×ハンター)』や「幽☆遊☆白書」などで知られる富樫義博さんのイラスト。店舗は23カ所の店舗や公共施設からなる「新庄まちなか漫画ミュージアム」の参加店舗の一つだ。
ミュージアムは5月に始まった。地域ゆかりの漫画家のサインなど約130点を展示する。店の人は来街者と交流し、店によっては自前のコレクションも展示する力の入れようだ。
ハナヤ花店の軽部望さんは「漫画ファンと思われる観光客がきたら声をかけている」という。「商品を買わなくても、気軽に店に入って展示を楽しんで」と訪問を歓迎(以下略)。
「漫画から描く 地方創生」掲載14事例 地域ゆかりの主な漫画家と代表作
北海道浜中町『ルパン三世』モンキー・パンチ(上記)
北海道羽幌町『君に届け』椎名 軽穂
宮城県石巻市『仮面ライダー』石ノ森章太郎
山形県新庄市『HUNTER×HUNTER』富樫 義博(上記)
新潟市『犬夜叉』高橋 留美子
川崎市『ドラえもん』藤子・F・不二雄
静岡市『ちびまる子ちゃん』さくら ももこ
石川県輪島市『マジンガーZ』永井 豪
兵庫県宝塚市『鉄腕アトム』手塚 治虫
島根県北栄町『名探偵コナン』青山 剛昌
鳥取県境港市『ゲゲゲの鬼太郎』水木 しげる
北九州市『銀河鉄道999』松本 零士
大分県日田市『進撃の巨人』諌山 創
熊本県『ONE PIECE』尾田 栄一郎(上記)
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