『アルプスの少女ハイジ』の深遠な物語
作品の背景
『アルプスの少女ハイジ』は、スイスの作家ヨハンナ・シュピリ(またはスピリ)の児童文学作品。1880年から1881年に執筆された。原題は『Heidis Lehr- und Wanderjahre』(ハイジの修行時代と遍歴時代、1880年出版)および『Heidi kann brauchen, was es gelernt hat』(ハイジは習ったことを使うことができる、1881年出版)。
なお、『アルプスの少女ハイジ』の描かれる100年ほど前のスイス・アルプスは、一般のヨーロッパ人にとって、ひどく不気味で、なにも生み出さない不毛の地の象徴であったという。それが、イギリス人によって観光としての価値が見出されたことと、『アルプスの少女ハイジ』作品によって、ヨーロッパ屈指の景勝地として知られるようになったという。
日本のTVアニメ史上最大のヒット作『アルプスの少女ハイジ』
この作品は、1974(昭和49)年1月6日から12月29日まで、フジテレビ系列で毎週日曜19:30 ~20:00に全52話が放送され、初回放映から100回以上の再放送! テレビCMなどでも大活躍のハイジは、アニメ界の巨匠(スイス及びドイツにおける現地調査に主要スタッフとなる高畑勲、宮崎駿、小田部羊一及び中島順三を派遣)たちが参加した。
もう一人の主人公(クララ)のリハビリ物語
参考文献(※)によると、足が不自由な12歳クララの日常は、「朝食後10時に家庭教師との勉強」「昼食後午後2時まで勉強」「昼寝後夕食まで自由時間(ハイジ来訪後はハイジと過ごし、その後就寝)」。クララは勉強のときも自由な時間もそのほとんどを書斎で過ごし、周りはみな大人ばかり。そんな退屈な毎日を打ち破って、突然ハイジがやってきます。
クララの病気は何だったのか?
原作には「片足が麻痺しているうえ、身体が弱い」ため、車いす生活を強いられていると。
なお、参考文献には「クララは幼い頃にかかった椎間板ヘルニアのため、身体が弱ってしまった。もうヘルニアは治ったのに、心理的な要因で『歩けない』と思い込んでいたのでは」
片足が麻痺しているということから、椎間板ヘルニアのような脊髄の病気が疑われます。
もう一つは、クララの病気として、ビタミンD不足からかかる、「くる病」という病気ではないかという説もあります。「くる病」は骨が柔らかくなって変形する病気で、カルシウム不足も原因です。人間の身体に必要なビタミンDは日光によって体内で生成されるため、極端な日光不足がこの病気を引き起こします。
家の中で厚いカーテンに遮られ、ほとんど監禁状態のようなクララが、アルプスで日光に当たり、カルシウムが豊富で良質のタンパク質やビタミンを含むヤギの乳を飲むことで元気になったということからもあり得そうなことです。最後は、作品中の医者の意見にあったように、精神面から捉えた見方をあげることもできそうです。
歩けない=自立できないクララが、自分も誰かの役に立ちたいと願ったとき、奇跡が起こります。クララは暗い屋敷で、長いあいだ従順を強いられてきました。周囲の反対を押し切り、アルプスのハイジのもとへ出向くことは、これまでの生き方との決別でもあり、その結果自分で楽しく自由をつかむのです。物語後半の主役はハイジではなくクララなのでしょう。
参考サイト:「アルプスの少女ハイジ」HP
参考文献』:※『アルプスの少女ハイジ』(ちばかおり&川島隆共著/河出書房新社刊)
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