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2025年10月

2025年10月24日 (金)

ミルクティーから実験計画法確立の統計学者

始まりは「紅茶の違いがわかる婦人」の存在

1920年代末のイングランドはケンブリッジ、ある夏の午後のことだった。大学教授たちとその夫人、それに数人の客から成るグループが屋外のテーブルを囲み、アフタヌーンティーを楽しんでいた。そのとき、ある婦人がこう言い出した。紅茶にミルクを注ぐのとミルクに紅茶を注ぐのでは味が違うのよ、と。

科学者を自負する男性たちは、それはまったくナンセンスだと一笑に付した。なにが違うというのだ? 彼らにしてみれば、紅茶とミルクが混ざってしまえば科学的な違いなどあり得なかった。一人の痩せた背の低い男がその問題に身を乗り出した。「その命題を検証してみようじゃないか」。興奮しながら、彼はさっそく実験を概説し始めた。ティーカップをずらりと並べ、いくつかには紅茶にミルクを注ぎ、残りにはミルクに紅茶を注いで、二つの違いを主張する婦人に飲んでもらうことにしたのである。

読者の中には、これは取るに足らないある夏の午後のお戯れとして、さっさと片づけてしまえばいいと思う方もいるに違いない。「婦人に違いが分かったところで、どうということもないだろう?」と聞きたいだろう。「この問題は重要ではないし、科学的に優れた価値もない」とあざ笑うだろう。「偉い人たちはそのすばらしい頭脳をもっと人類のために使うべきだよ」と。

そう、ケンブリッジの陽光まぶしい夏の午後だった。かの婦人は紅茶の淹れ方について正しかったのか、正しくなかったのか。その婦人が正しいかどうか判断する方法を見つけることをおもしろがって、どうしたら決着がつけられるかと髭の男を中心に話し合い始めた。彼らの多くが髭の男と共に熱心に実験準備に加わった。

ほどなくして、婦人に見えないところで紅茶が2つの違った淹れ方でカップに注がれた。やおら胸を張り、髭の男は最初のカップを婦人に差し出した。彼女はちょっとすすって、それが紅茶にミルクを注いだものだと断言した。男は説明を省いてその答えをノートに書き留め、また次のカップを差し出した。結果はどうなっただろうか? 

この髭の男は当時30代後半のロナルド・エイルマー・フィッシャー(後にナイトの称号を受けロナルド・フィッシャー卿に)で、1935年『実験計画法』を著し、その第二章で紅茶を飲む実験について記している(実験結果については明記なし)。しかし、その場に居合わせたスミス教授らによると、婦人はどれも一つ残らず正確に言い当てたそうである。

※以上『統計を拓いた異才たち』(デイヴィッド・サルツブルグ著/日本経済新聞社刊)

英国王立科学協会が2003年に発表した「ミルクティーの牛乳と紅茶の関係」

1杯の完璧な紅茶の淹れ方」というウイットに富んだプレスリリースから

牛乳は紅茶の前に注がれるべきである。なぜなら牛乳蛋白の変性(変質)は、牛乳が摂氏75度になると生じることが確かだから。もし牛乳がお湯の中に注がれると、それぞれの牛乳滴は牛乳としてのまとまりから外れ、確実に変質が生じるだけの時間を紅茶の高温に取り囲まれる。もしお湯が冷たい牛乳に注がれるならば、このような状況は遥かに起こりにくい。

※『統計学が最強の学問である』(西内啓著/ ダイヤモンド社刊)

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2025年10月16日 (木)

サツマイモのスイーツは進化している!

なぜ1013日が「サツマイモの日」なのか?

この日を「サツマイモの日」に命名したのは、サツマイモ愛好家が集まる埼玉県川越市の「川越いも友の会」。この会によると、10月に旬を迎えるサツマイモは「栗(九里)より(4里)うまい十三里(じゅうさんり)」と、地元で言い伝えられてきたらしい。江戸時代、川越はサツマイモの名産地で、江戸から13里(約52キロ)の地点にあったことにも因むと。

サツマイモ人気は別次元に

サツマイモを使ったスイーツは進化している。約1年前(20241114日)、川崎市の等々力緑地での「超芋まつり」には。全国から6万人を超える来場者が集まった。この「まつり」には、全国から出店した15の専門店が開くブースに、焼き芋やサツマイモを使った団子やタルト、ジェラートがすらりと並んだ。家族連れや女性客でにぎわったという。

茨城県鉾田市の「小太郎物産」が売り出したのは、地元産のべにはるかと牛乳のみで作った「飲む焼きいも」(税込み500円)。物産販売所に併設するカフェでは月に1千杯は売れ、リピーターも多い。持ち帰りのパウチ入りもあり、ポタージュなどでも楽しめるという。会社によると「食物繊維も豊富で女性に人気がある。高齢のお客さんでも飲みやすいと。

東京都台東区のさつまいも専門店では、焦し砂糖で表面がカリカリカリになったカスタードクリームのバニラアイスをのせた焼き芋ブリュレが人気だと。異業種から参入したという会社によると、2年前から地元特産のサツマイモを使って挑戦。元パティシエの店長は、「芋のほっこりする甘さを大事にしている。SNS映えもあり、若い人にも人気」と。

農水省によると、国内のサツマイモ栽培は、芋焼酎や芋けんびなどの原料に使われ、ほのかな甘みとほくほくした食感がある「コガネセンガン」が長年トップで、「芋の王者」とも呼ばれていた。しかし、最近はねっとりして甘みが強く、焼き芋に使われる「べにはるか」が増え、2022年産の栽培面積は7055haで、コガネセンガンの6613haを逆転した。

焼きいもブームの歴史

日本における焼きいも商いの歴史は300年間で、この間4回の焼きいもブームが起こった。

第1次ブーム:文化・文政期(1804年)~明治維新(1868年) 江戸時代後期は砂糖が貴重品で、甘くて安い焼きいもは老若男女、貧富を問わず大人気を博した。

第2次ブーム:明治時代~関東大震災(1923年) 明治維新以降、東京の人口急増と安い値段によって、焼きいもの需要が増大した。それに応えるために焼きいも専門店が現れる。この時代の焼きいも屋は冬期間のみの商いで、夏場はかき氷屋なども兼ねていた。

第3次ブーム:1951年~大阪万博(1970年) 1951年に「石焼き芋」の技術が開発され、「引き売り屋台」が東京に登場する。石焼きいもの大ブームは、高度経済成長期とほぼ軌を一に。1970年の大阪万博を境に、ファストフードの進出もあって衰退の道をたどる。

第4次ブーム:2003年~現在 2004年に入るとある食品会社が、東京・銀座三越に焼き芋専門店を出店し、当初、1本1200円の高値で販売。スイーツのようにおいしく、カラフルな包装袋もお客を魅了した。同社のもう一つの功績は、焼き芋の嗜好の潮流がほくほく系からしっとり・ねっとり系に移行しつつあることを感知し、新市場を開拓したこと。

参考文献:『めん文字で楽しむ 今日は何の日』(「今日は何の日?」編集委員会編/誠文堂新光社刊」

参考雑誌:『野菜情報 201511月号 焼きいもブームの歴史とその背景』(一般財団法人いも類振興会編)

参考媒体:2024115日『朝日・夕刊』「飲む焼きいも」・カリカリのブリュレ……

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2025年10月10日 (金)

ミステリーの「語源」「定義」「形式」

ミステリーの語源

「ミステリー」の語源は、ギリシャ語のmusterionです。これは遡ると「両目や口を閉ざす」もしくは「秘伝や奥義を授ける」という意味のmueinから派生しています。いまでも英語のmysteryには、キリスト教をはじめとする宗教にかかわり、秘儀や祭式にまつわる意味もありますが、日本では一般に、神秘や不可思議、そして推理小説を指しています。

ミステリーの定義

ミステリーは一般に、「謎を論理によって解明する操作をおもな筋とする小説」と定義されています。さらに犯罪やその捜査を取り扱ったもの、という要素が加味されることもあります。だが広義では、論理的捜査以外にスリルとサスペンスを含んだものや、探偵が登場するもの全般を意味し、怪奇、幻想小説や、スリラー、冒険、スパイ小説も含むことも。

ミステリーの形式が誕生を遅らせた

ミステリーは特殊な例外の除き、時間軸には一定の共通点があることが多い。それはミステリーの大前提が、まず「時間を遡って考える」という行為にあること。このことから、ミステリーは変則的な構成を持った小説ということになり、その発生は通常小説よりも後れを取ることになった。世界初のミステリー作品登場は19世紀も半ばになってからのこと。

世界初のスリラー小説とは

世界初のミステリーと目されるのはエドガー・アラン・ポー(18091841年)の『モルグ街の殺人』(1841年)。この作品はその大胆さ、今までに例を見ない斬新さで世界を瞠目させた。フランスの高名な作家・評論家であるゴングール兄弟は「新しい文学の世界、20世紀文学の兆候」「病的にしてしかも明晰なる文学」という言葉でその驚愕を表した。

スリラー本翻訳は45年後(明治22年:読売新聞)に

『モルグ街の殺人』を最初に日本に紹介したのは、小説家であり、劇評も手掛けた饗庭篁村。彼は明治201887)年、『ルーセルグの人殺し』の邦題で、『読売新聞』1214232730日にわたって分載した。意訳に近い翻訳が多かった時代に、この作品は丁寧に原作の筋をなぞっていた。なお、ポー作品は1月前に『西洋怪談 黒猫』が紹介されていた。

江戸のシャーロック・ホームズは半七

『修善寺物語』などで知られる岡本綺堂には『半七捕り物帖』がある。この作品執筆動機を「丸善で、ジャーロック・ホームズのアドヴェンチュアとメモヤーとレターンの3種を買い、一気に3冊読み終えると、探偵物語への興味が油然と沸き起こった」と。ちなみに、第一編『お文の魂』に、「半七は江戸の隠れたシャアロック・ホームズであった」とある。

世界の3大スリラー作家と登場する名探偵

世界の三大名探偵とは❖シャーロック・ホームズ:イギリス出身の探偵で、エドガー・アラン・ポーの作品に登場。 ❖エルキュール・ポアロ:ベルギー出身の探偵で、アガサ・クリスティの推理小説に登場。 ❖エラリー・クイーン:アメリカ出身の探偵だが、フレデリック・ダネイとマンフレッド・ベニントン・リーが探偵小説を書くために用いた筆名の一つ。

『日本ミステリー小説史』による日本の3大探偵

1人目は横溝正史の❖金田一耕助。2人目が江戸川乱歩の生み出した❖明智小五郎(明智の登場は金田一よりかなり早いが、雰囲気が次々変わることから2人目に)。そして3人目は現代ではあまり知られていないが、高木彬光が生み出した超人的天才探偵❖神津恭介(かみずきょうすけ)。その卓抜した頭脳、華麗なる経歴、洗練された容姿が眩しい。

参考文献:『日本ミステリー小説史』(堀啓子著/20149/中央公論新社刊)

参考WebWikipedia  &  https://search.yahoo.co.jp/search?p

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