アニメとゲームソフトで同窓会を考察 『同窓会に行けない症候群』(鈴木信行著/日経BP刊)より
この本の前文に「今、日本には、2種類の人間がいる。同窓会に行ける人と、行けない人だ」と。その背景を「同窓会に行けない事情」として4章に分けて解説している。
第1章「会社で出世しなかった」 第2章「起業して失敗した」 第3章「『好き』を仕事にできなかった」 第4章「『仕事は何か』が見つからなかった」
「はじめに」より「同窓会崩壊」を国民的アニメに例えて考える
『ちびまる子ちゃん』から、昭和の時代と今の同窓会の参加状況をイメージしてみます。通巻発行部数3000万部以上、テレビアニメ資料率1位(39.9%、1990年10月28日)という空前のヒット作品の土台は、作者である故・さくらももこ氏の小学生時代の体験にあると言われ、舞台となる「入江小学校3年4組」には個性豊かな生徒たちが多数登場します。
彼らの同窓会は盛り上がったのか、閑散としたのか
仮に、3年4組の仲間が現在70代の「昭和世代」(3年4組在籍時は昭和30年代と仮定)だとすれば、同窓会は「参加はまる子ちゃん以下8名、不参加4名」となります。これが、仮に3年4組の仲間が現在50代以下の「平成世代」(組在籍時を昭和50年代の仮定)であれば、「参加は2名、不参加はまる子ちゃん以下8名、保留2名」に変わります。
「昭和の同窓会」では70%近かった参加率が「平成の同窓会」では20%以下に下落し、「まる子」や「たまちゃん」をはじめ、中核メンバー(まじめで普通の子、おとなしい子)がごっそり消えてしまいます。なぜかといえば、「平成の30年間の経済環境の変化」が、日本の同窓会のありようを大きく変えたばかりか、崩壊へと導いたからです。
「平成の30年間の経済環境の変化」こそが、同窓会を崩壊させた元凶と言えるでしょう。そしてこの経済環境の変化は、同窓会を取り巻く諸事情のみならず、近年世間をにぎわす「狂暴老人」「高学歴貧困」「社会的孤立」といった様々な社会問題の温床にもなっていることが、研究を進めれば、さらに鮮明になっていくはずです。
昭和時代の参加要因「出世」は『ドラクエ』の‶レベル上げ〟に譬えられる
会社に入ってリーダー(同窓会への参加比率が高い)となっていくには、仕事人としてのレベルアップが欠かせません。もっとも、昭和の時代に必要とされたレベルアップは、誤解を恐れずに言えば、シリーズ累計7600万本以上という国民的ヒットになったゲームソフト『ドラゴンクエスト』の‶レベル上げ〟のようなものでした。
冒険しながら世界に闇をもたらす悪の魔王を倒す、というのがドラクエの基本コンセプトですが、強い敵を倒すにはキャラクターのレベルを上げねばなりません。そのためには、相次ぎ出現するモンスターを倒し、経験値とゴールドを手に入れることが必要です。経験値が増えれば戦闘能力が上がり、ゴールドが貯まればより強力な武器や防具が手に入ります。
ただしこのゲームの大きな特徴は、途中で強いモンスターに倒されても、ゲームオーバーとはならず、経験値やアイテムはそのままの状態で再スタートが切れることでした(ゴールドは半分に)。このため、ゲームが苦手な人でも何回も諦めずにプレイし、ひたすらモンスターを倒し続けて行けば、そのうちレベルが上がり、多くの人は目的を達成できたのです。
参考文献:『同窓会に行けない症候群』(鈴木信行著/日経BP刊)
