クレーム対応のフィードバック手法、その他
☆事実フィードバックと感情フィードバックと要約フィードバック
【事実フィードバック】は相手の話している事実をとらえ、その事実を相手の言葉通りに返していくことです。事実を確認し、相手の話を促進する役目を持ちます。
【感情フィードバック】は、相手が話しているときに生じている感情をとらえ、その感情を自分の言葉で返していくことです。相手の気持ちを理解していることを伝える役割やお互いの心の絆を強める役割をします。
【要約フィードバック】は相手との会話内容を自分の頭の中で要約し、これを事実・感情のフィードバックの後に、会話のまとめとして相手に伝えることです。要約することでそのことで内部を修正する回路が形成され、外部に対してより正確な状況把握ができるようになります。
☆クレームに対する3つのフィードバック事例
- 「お宅を信用して今まで商品を買ってきたのに!」
【事実フィードバック】
「私どもを信用してくださっていただいておりましたのに…」
【感情フィードバック】
「△△様のご期待を裏切ってしまい、誠に申し訳ございません」
【要約フィードバック】
「長年、私どもを御贔屓いただいてきたにもかかわらず、この度は△△様のご期待に沿えませず、誠に申し訳ございませんでした。つきましては・・・」
☆クレーム対応に有効な「オープン質問(左)」と功罪半ばの「クローズ質問(右)」
「どのようなことがあったのでしょうか?」⇔「荷物が届いていないのですか?」
「状況を教えていただけますか?」⇔「商品にひびが入っていたのですか?」
「いかがなさいますか?」⇔「「AとBのどちらにしましょうか?」
「どのようにさせていただきましょうか?」⇔「今からお伺いしてもよろしいですか?」
オープン質問は相手に自由な回答を促す質問。答える幅が大きく、多くの情報を収集することが可能なため、何らかの新たな話題のきっかけを探すことに向いている。一方、クローズ質問は確認のために使用する質問で、誘導性が高く、時間短縮や引っ込み思案なタイプの人との会話には向いている。しかし、使いすぎると会話が不完全燃焼の危惧も。
☆会話を「ドッチボール」ではなく「キャッチボール」に
会話はキャッチボールによくたとえられます。相手の話をよく聞き、相手の質問に的確に答えながら、自分の話をするのがキャッチボールです。双方向のコミュニケーションを成立させるということです。これに対して、一方的に自分の意見、要求をぶつける(対抗戦で、相手チームメンバーをコートから除外するために投げる)のがドッチボール。
「送ってもらった商品が不良品だ」のクレームに「その商品を送ってください。新しいものに交換します」はドッチボールのボールのぶつけ合いに近い。しかし、「申し訳ございません。お手数ですが、商品をこちらまで、送っていただけますでしょうか。到着を確認次第、すぐに新しいものをお送りさせていただきます」となると、キャッチボールが成立。
※参考文献:『クレーム応対 聞く技術 断る技術』(玉本美砂子著/ぱる出版刊)
『頭がよくなる! 要約力』(斎藤孝著/筑摩書房刊)
| 固定リンク