マニュアル対応だけでは難しい近年事情
『クレーム対応以前の「お客様対応」お怒り対応マニュアル』(川合健三著/ダイヤモンド社刊)より
これまでは、マニュアルに沿ってお客様対応をしていればよかったかもしれません。しかし今は〝イライラ〟〝モヤモヤ〟を含め、お客様の要望(要求)がわかりにくくなっているため、従業員もどう対応していいのか困るケースが急増しています。中でも一番多いのが、「お客様がお怒りになっている(けれども、何にお怒りなのかがわからない)」ケースです。
このケースがやっかいなのは、対応する従業員だけでなく、お客様本人も自分がなぜ怒っているのかよくわからないという点です。このような、やっかいなクレームへの対応は、マニュアル通りにはいきません。「お店のマニュアル通りにクレーム対応したのに、お客さまを怒らせてしまった」このような経験は、みなさんもご記憶にあるはずです。
お客様の感情は、返金や返品だけではおさまりません。それどころか「お気持ち対応」せずに「クレーム対応」だけをしてしまったことで、「カネの問題じゃないんだ!」とお客様のお怒りが増幅するケースもあります。なぜでしょうか。これは、お客さまが怒っているという〝問題〟に対応しただけで、お客様の〝感情〟に対応していないからです。
『クレーム対応 最強の話し方』(山下由美著/ダイヤモンド社)より
近年、お客さまのクレームや怒りのありようが複雑になっている。まず挙げられるのが、情報の広がりのスピード化。ツイッターなどのSNS、口コミサイト、掲示板などで、商品やサービスに関する情報を一般人が気軽に発信できるようになったことで、「こんな対応をされた! ひどい!!」という情報を拡散し、『炎上』が簡単に引き起こせるようになっている。
また、社会全体が豊かになったことで、「『お客さまは神さま』なのだから、自分を尊重してほしい」という権利意識や、「感動させてほしい」という願望が高まり、要求されるサービスの水準が高まっていることも大きい。サービスへの期待が高い分、それが叶わない場合の「期待外れ」からくる怒りも増幅する。
地域の関係性が薄くなり、わがままな振る舞いも増えている。そして高齢化の問題もある。体力や気力の低下に伴いストレスが溜まりやすく、怒りに繋がりやすい。加えて、現役を引退したことで承認欲求を満たす場がなくなり、「役に立ちたい」との思いが暴走しがち。こうした複雑化しつつある顧客心理に対し、柔軟性乏しいマニュアルはとても通用しない。
クレーム対応時に助けとなる日本の法律『必ず黙らせる「クレーム」切り返し術』より
制止も聞かずに大声を出し続けるのは、威力業務妨害罪(刑法234条)に該当。執拗に「どうしてくれるんだよ!」と迫り続けるのは脅迫罪(刑法222条)。「10万円で許してやる」などと迫れば恐喝未遂罪(刑法250条)。それでお金を得たのであれば恐喝罪(刑法249条)。また、無理やり謝罪文を書かせたりしただけでも強要罪(刑法223条)になってしまう。
土下座を強要された場合
単に「土下座しろ」と要求されただけでは、強要罪も強要未遂罪も成立しません。
強要罪が成立するためには、「土下座しないと、大変なことになるぞ」と脅されたり、肩を掴まれて、無理やり土下座させられたような場合です。また、土下座をしなくても脅迫や暴行によって土下座させられそうになった場合は、強要未遂罪が成立します。
『改訂版 事例でわかる 自治体のための組織で取り組むハードクレーム対応』(横山雅文著/第一法規株式会社/2024年12月刊)より
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