コールセンター関連書籍から③ 〝アナウンサー風の話し方〟を〝芸名〟でするコールセンターのオペレーター
前2回の『督促OL』からは、なまなましい現実が伝わってきました。督促のようなアウトバウンドは大変ですが、事前の準備は可能です。それに対し受信のインバウンドは誰からどのような内容でかかってくるかわからない不安があります。そこで今回は、沖縄が舞台の小説『インバウンド(※1)』から、受信業務の一端を紹介します。
話し方をアナウンサーみたいにする、2つの理由
「何でバスガイドみたいな話し方をするんですか」の新人の質問に応えて、元琉球放送のアナウンサーだったという先生が答えます。「まず第一に、電話の向こう人が聞きやすいように。第二は、感情が相手に伝わらないようにするためなんです」「いわば、声の仮面です。ただし恐ろしい仮面じゃないですよ。美しく優しい仮面です。」
オペレーターが他人の名前(ビジネスネーム)を名乗る3つの理由
「名前を変える理由のひとつは、沖縄には同じ名前が多いので、苗字だけで区別をしにくい。次に、電話担当者の名前がきちんと伝わらないとお客が安心できないので、名乗ったときに相手にわかりやすい名前を使う。そして最後に、オペレーターはクライアントの代理を演じる仕事で、本当の自分として電話に出るのではないから。」
電話の向こうでお客様が怒っている。電話のこちら側にあなたがいる
「私たちの仕事は、電話を通じてお客さまのお怒りの矢面に立つ仕事のように見えます。ですが本当は違います。お客様と対応する役割を持った誰かの代わりに、まるで、その人であるかのように、その会社の人として、お客様と接する。そういう仕事なんです。だから、むしろあなた自身であってはいけない。そのことを忘れないで。」
●コールセンターのインバウンドのオペレーターさんの役割が、元琉球放送のアナウンサーという教育担当のお言葉によく表現されていると思いました。ことほど左様に、コールセンターのオペレーターさんはストレスのたまりやすい感情労働に従事しています。そんな皆さんに、職場でも手軽にできるストレス発散法を伝授しましょう。
『スタンフォードの自分を変える教室』から感情労働者のストレス発散法(※2)
呼吸のペースを遅くすると(1分間に息を止めずに4回から6回までに抑える。12回までなら心拍数は確実に上昇する(口をすぼめ、ストローから息を吐き出すつもりで練習すればたいして難しくはない。たいていの人には息を吐くのを遅くするほうが簡単なので、ゆっくりと完全に息を吐くことに意識を集中しましょう)そうです。
最もストレスの多い職業人を対象にした心拍変動のトレーニング・プログラム
この練習を定期的に行えば、ストレス耐性の強い意志力の保有量も増えることが研究によってわかっています。警官や証券トレーダーや顧客サービス窓口のオペレーターなど、最もストレスの多い職業の人びとを対象に、自己コントロールの向上やストレスの緩和を目的に実施されているそうです。わずかな時間でできるのがナイスですね。
※1:『インバウンド』(阿川大樹著/小学館)
※2:『スタンフォードの自分を変える教室』(ケリー・カクゴニカル著/大和書房)
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