コーチング・リーダー研修

2023年11月15日 (水)

医療におけるティーチングとコーチング

『超ホスピタリティ おもてなしのこころがあなたの人生を変える』(鎌田實著/PHP刊)によると、医師は患者さんを治療するとき、専門家としていろいろな方法を指導します。そのとき、具体的な方法論をティ―チするだけでは患者さんの身につきません。例えば、糖尿病の患者さんに、カロリーの計算だけ教えても挫折することが多いでしょう。

そこで大切なことは、まずその方法論が患者さんになぜ必要なのかを十分理解してもらい、動機づけを行うことです。なぜカロリー制限をしなければならないのか、なぜ運動が必要なのかを納得してもらった上で、カロリー計算や運動の仕方をコーチして覚えてもらうのです。途中で失敗しても、失敗するのが人間ですと、腕のいいコーチャーは言います。

患者と医師の相性はとても大切 鎌田實著『言葉で治療する』(朝日新聞出版刊)に、東京のある大学の糖尿病の専門外来の女医に診察を受けていた76歳の女性からの手紙が紹介されていました。

患者「月末に生活雑感をまとめて知人に送っています」

女医「あら。送られる人は迷惑しているでしょう」

患者「肺活量を高めるため、歌をうたいながら土手の上を歩いています」

女医「あら。ご近所様は迷惑ね」

患者「毎日、3キロほど泳いでいます。クロールは握りこぶしで水をかき、バタフライはビート版を足に挟んで、手のかき方も練習しています」

女医「あら。ちょっとやりすぎね。そんなに強迫観念にかられて頑張っていると、あるとき、突然、何もかもいやになって全部投げ出すようになるのよ。食事療法もみんなほっぽって、しまいには、ここがおかしくなるの」

その女医は、机の上のカルテから目を離さず、自らのこめかみを指して言った。

「笑い」は糖尿病等の病の特効薬 糖尿病に関する書籍や情報は身近にあふれ、対策はしているものの、効果があまり出ないという悩みを抱える患者が多いようですが、そんな方にお伝えしたいのが『生命のバカ力』という本に出てくる実験例です。糖尿病患者が先生の対策講義を聞いてから食事すると、ガッと血糖値が上がり、吉本興業の漫才を聞いてからだとあまり上がらなかった。

なおこの本には、「笑は自然な大笑いや微笑みだけでなく、作り笑いや思い出し笑いでも病気の治療効果がある」と書かれています。似たようなお話はアメリカにもあって、有力雑誌の編集長だったノーマン・カズンズ氏が自らの体験をもとに書いた『笑いと治癒力』(岩波書店刊)という本があります。この本はベストセラーになりました。

著者は慢性的な激痛を伴う膠原病におかされ、生存の可能性はほぼゼロという厳しい診断を受けましたが、絶望せず、あるヒントから「笑い」を唯一の治療薬とした自発的な闘病を始めました。すると、少しずつ効果があらわれ、そのうち10分間腹を抱えて笑うと激痛を少なくとも2時間は抑えられるようになりました。

そして、笑いの鎮痛効果が薄らぐと、またお笑いネタ満載の映像のスイッチを入れました。

また、カントにも「笑い」に対する解説があります。彼は『純粋理性批判』の中で、大声の笑いは「腸と横隔膜を動かすことにより体が健康であるような感覚を生み出し、病気に対する医師の的確な処方箋の役目を果たしてくれる(投稿者意訳)」と書いています。

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2023年5月29日 (月)

新書『「みんな違って、みんないい」のか?』より

この本の著者(*)は、「正しさは人それぞれ」といって他人との関係を切り捨てるのでもなく、「真実は一つ」といって自分と異なる考えを否定するのでもなく――考え方の異なるもの同士が共に生きていくために、「正しさ」とは何か。それはどのようにして作られものなのかを、さまざまな学問を概観し考える、と表紙カバーに記しています。

526日からのTwitterシリーズのタイトルは「みんな違って、みんないい」で、第1回はアドラー心理学から「世の中に絶対的に正しい価値観は存在せず、何を大切にしたいかは個人の自由だ。そして、みんな違って、みんないい。誰に強いられることなく、自分の大切にしたいものを大切にする。だからこそみんな幸せに生きられる」を紹介。

そして第2回で金子みすゞ作「わたしと小鳥とすずと」を取り上げました。 私が両手をひろげても/お空はちっとも飛べないが/飛べる小鳥は私のやうに/地面を速くは走れない 私がからだをゆすっても/きれいな音は出ないけど/あの鳴る鈴は私のやうに/たくさんな唄は知らないよ 鈴と、小鳥と、それから私/みんなちがって、みんないい

この詩には私(速く走れる)と、小鳥(空を飛べる)と、鈴(きれいな音を出せる)が登場。それぞれに得意なこととできないこと――その違いが説明され、最後に「みんなちがって、みんないい」と結ばれます。この詩が詠まれてから100年近く経ちますが(19303月没、享年26歳)、そのみずみずしさと多様性を先取りした内容には敬服です。                               

アドラー心理学からの当該部分と、金子みすゞ作「わたしと小鳥とすずと」は、いずれも「みんな違って、それでいい」の肯定ですが、冒頭の書籍『「みんな違って、みんないい」のか?』は「人や文化によって価値観が異なり、それぞれの価値観には優劣がつけられない」という考え方を相対主義とし、別の考え方があることを提示しています。

それは普遍主義で、さまざまな問題について「客観的に正しい答えがある」という立場をとるものです。この場合のよくある答えは、「科学的に判断すべきだ」ということです。科学は「客観的に正しい答え」を教えてくれると多くの人は考えています。探偵マンガの主人公風に言えば、「真実は一つ!」という考え方といってもよいかもしれません。

前出著者は、最近、「正しさは人それぞれ」と並んで、「どんなことでも感じ方しだい」とか、「心を傷つけてはいけない」といった感情尊重の風潮も広まっています。しかし、学び成長するとは、今の自分を否定して、今の自分ではないものになるということです。これは大変に苦しい、ときに心の傷つく作業です、と語っておられます。

参考文献:新書『「みんな違って、みんないい」のか?』(*山口裕之〈徳島大学総合科学部教授〉著/筑摩書房刊/

『「コーチング脳」のつくり方』(宮越大樹著/ぱる出版刊)

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2018年2月 3日 (土)

「ほめる」と「叱る」のメカニズム

先日、地元の柏商工会議所様にて『コーチングを活用したコミュニケーション術』セミナーを担当させていただきました。セミナーでは、「ほめる」のパートで「強化学習」「恐怖学習」についてお話しました。今回はおさらいの意味も含めてそれらについて書きます。コーチングの7大要素のひとつに「承認」があります。本来、承認(アクノレッジメント)は、「あなたがそこにいることに気付いているということ、受け止めたという言明」ですが、一番分かりやすいのは「ほめる」行為でもあります。しかし、「目は口ほどにものを言い」の「語らずとも察する文化」で育ってきた日本人にとっては、この「ほめる」は、なかなか難しい領域かもしれません。中には「ほめる」の真逆である「叱る」のほうが、更に難しいと悩んでいる方も多く見受けられます。

叱られたときとほめられた時では異なるメカニズムが働く
人は、ほめられると快感をつかさどる脳内物質であるドーパミンの分泌を促します。このことから良いことをしたらほめる。この作業をこまめに繰り返すと、良いことができそうな条件がそろっただけで「よし、頑張ろう!」という前向きな気持ちになりやすいです。それは、ほめられる前からドーパミンの分泌が始まり、快感の前倒しが始まるからです。

ほめるは正に「強化学習」である
つまり、ほめるという報酬(刺激)を繰り返し与えることで、再びほめられたいと感じ、より一層良いことをする(反応)ようになります。こうして「刺激」と「反応」の呼応を強めることを「強化学習」と言います。ただし、いたずらにほめ続けると快感が薄れていきます。そして、脳はまたほめられるんだと期待してしまいます。ほめてもらえるのではないかと期待した時にほめられないと、ドーパミン系の活動が止まり、時には怒りに転化することもあります。

ほめる報酬を間引いてセロトニンの分泌を促す
これを防ぐためには、より高いレベルの行動ができたときだけほめるなど、ほめる回数を間引いていくといいです。報酬が適度に間引かれると、セロトニンという脳内物質の分泌が増え、落ち着きや満足感をつかさどり、報酬を待つことが出来る忍耐力やすぐに結果が出なくても諦めない心を育てます。

叱り過ぎは「恐怖学習」になる
では、叱られた時のメカニズムとはどうなのか?叱られると「すくみ反応」が生じます。これは恐怖のあまり行動を抑制してしまう反応です。この原理を使った学習を文字通り「恐怖学習」と呼びます。動物がある場所で何度か餌が取れると、次も行きます(強化学習)。ところが、ある日ライオンに襲われそうになったら二度と近づきません。これが「恐怖学習」です。

●強化学習は一歩一歩進んで成長していきますが、恐怖学習は一発で強烈に学習しますから叱り過ぎはトラウマになる危険も伴いますね。いすれにしても「ほめ過ぎ」「叱り過ぎ」は、弊害を伴うようです。何事も程々が良いのでしょう。

参考文献:『日経トップリーダー』 2013 11月号

2018年4月6日(金)~明日から現場で活かせる!自ら考え動く、自律型のビジネスパーソンへ!『やる気と気づきを引き出す「新入社員研修」』(株式会社アークブレイン様主催公開セミナー)

2018年3月9日(金)『知っているつもりから脱却!信頼とチャンスを掴むリーダーのビジネスマナー実践講座』(株式会社アークブレイン主催公開セミナー)

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2016年9月18日 (日)

落ち込んでいる時こそ褒める!  高橋みなみさんのコミュニケーション術(6)

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高橋さんも当初はみんなに好かれたいと思いましたが、それではチームはまとまりません。そのことで悩んでいた頃、秋元氏に「たかみな、嫌われる勇気を持ちなさい。誰からもいい人だと思われる人は、それはある意味どうでもいい人だ、だったら恐れずに自分の意思を曲げずに伝えればいい」と言われ、それが大きな支えになったそうです。

★「キレる」ことと「叱る」ことは違う
ただ自分のマイナスな感情を爆発させるのは「キレる」で、「キレる」ことと「叱る」ことはまったく違うと高橋さんは言います。叱るときは、「これがダメで、こうだから私は叱るんだよ」と、「どうして叱っているか」を冷静に伝えました。仲良しこよしで、その子の「今」を笑顔にするだけでは意味がないというのが彼女の考え方なのです。

★落ち込んでいる時こそ、褒める!
人を褒めることが得意だという高橋さんですが、彼女が本気で褒めるときは、相手が本当に落ち込んでいるときなのだそうです。何を悩んでいるかをわかったうえで、今までのあなたがやってきたことは間違ってない、ちゃんとわかっている人はわかっているよと、褒めてあげる。そして尊敬の気持ちを持って讃えてあげるのだと。

★どこかで誰かが傷ついていることを忘れない
多くの挫折を目にした高橋さんは、そのうちのほんの一部しか救ってあげられなかったことに心を痛めています。ステージの真ん中で起こるものばかり注目していると、袖で起こっている物語に目が行き届かないので、視野をぎりぎりまで広げ、つねにアンテナを張り、どこかで誰かが傷ついていることを忘れないようにしていたそうです。

☆リーダーがしてもらって嬉しいこと
リーダーとしての仕事は決して楽しいものではなく、気苦労が多くて体力もいる地道な行動の積み重ねなのですが、高橋さんは自他ともに認める頑張りを見せました。その原動力になったのは、みんなが幸せになって、みんながいい気持ちでパフォーマンスできる、そのことが気持ちいいからだと彼女は回想します。

さすがの高橋さんも、「どうして自分ばっかりが……」「なんのために、自分を犠牲にしてまで……」と時には心が折れかかってしまうこともあったそうです。でも、そんな迷いを吹き飛ばしてくれる魔法の言葉がありました。それはメンバーからの「ありがとう」でした。この一言で「誰かのためになっていたんだ」と何度も救われたそうです。

参考文献:『リーダー論』(高橋みなみ著/講談社/2015年12月24日刊)
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2016年9月15日 (木)

叱る時は逃げ道を作ってあげる  高橋みなみさんのコミュニケーション術(5)

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高橋みなみさんは、たくさん叱られてきたそうです。当時「怖いな」と思っていた大人が初期の頃のAKB48にはたくさんいて、今日の礎を築きました。叱ってくれる人がいることは財産だと回想する彼女は、大成功を収め、叱ってくれる人が少なくなってしまった所属団体への危機意識から、自らがその役割を担うことを決意したのでした。

★コミュニケーションの基本は「やまびこ」
とかく見栄の張り合いになりがちですが、そうではなく弱さの見せ合いをすることが大事だと高橋さんは書いています。メンバーに注意しなければならない場面では、「この間のライブの冒頭で、振りをミスっちゃってさ。気づいた?」といった感じで、自身の失敗談から始め、相手の気持ちをちょっとくすぐってから話し始めるそうです。

このように弱さの見せ合いっこをすると、最初は恥ずかしい気もないではありませんが、お互い同士がすごく優しい心持になれることがあります。自分の気持ちが相手に移って返ってくる。その往復運動を意識していれば人に優しくなれ、冷静でいられる。こうしたことから、高橋さんはコミュニケーションの基本を「やまびこ」に例えています。

★ひとりに注意したいことも100人に向かって言う
プライドが高くて自分なりのこだわりも強い若いメンバーを、集団としてまとめるためにリーダーとして言わなければならないことがあります。本当は一人に言いたいことがある時でも、高橋さんはグループ全体で円になった状態で、100人に向かって発言するような感じの注意をするように心がけたそうです。

しかし、発言中に、本当に注意したいメンバーをチラッと見ました。そうすると、そのメンバーは「私のことだ」と意識し、直接は叱られていない人たちも、「あの人はメンバーみんなのことをよく見ている。叱られないようにしよう」との思いを抱いてくれるだろうとの意図があったといいます。

★叱る時は逃げ道を作ってあげる
叱る時にむずかしいのは、前項に書いたような全体に向かって注意する方法では、フォローしきれないようなケースだと高橋さんは言います。滅多になかったそうですが、そういう時は一対一で注意するしかありません。そのような場合では、高橋さんが注意した後に、きちんとケアしてくれる人材を必ず確保していたそうです。

ある時チームの若手を厳しく注意しなければならないことがありました。その際、彼女は副キャプテンに、「きっとあの子は落ち込んであなたのところへ来ると思うから、フォローしてあげてね」と事前に声をかけておきました。どのような状況下であれ、「逃げ道」をちゃんと作っておき、その後もしっかり見守ることにしていたそうです。

参考文献:『リーダー論』(高橋みなみ著/講談社/2015年12月24日刊)

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2016年9月11日 (日)

大丈夫センサーで変化に気付く  高橋みなみさんのコミュニケーション術(4)

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今回、AKB48入り直後の高橋みなみさんがどういうタイプの女の子だったかの一端が明らかにされる箇所があります。そこから思い起こすと、周囲が認める立派なAKBの総監督は、弱かった自分を徐々に克服し、その上で、苦しかった当時の自分を忘れることなく、後輩に思いやりを持って接してきたことがよく伝わってきます。

★「大丈夫センサー」で変化に気付く
メンバーは若く気分の波が激しいそうですが、「今日は大丈夫だ」「今日はダメだ」の気分のバロメーターは挨拶したときのテンションでわかるそうです。その変化に気付いた後は、その子が「話を聞いてほしい」「気付いてほしい」と思っているのか、「今は触れないで」「今はそっとしておいて」と思っているのかで対応を変えたそうです。

しかし、何れの場合も声がけには難しい判断が伴うのだとか。それは「大丈夫?」と口にして、心に触れてしまったなら、その人とガツンと関わらなければならなくなるからです。関わることには労力を伴い、また、人の感情に揺さぶられやすい性格の高橋さんにとっては、とても勇気のいることでした。

かつての自分を思い起こし、勇気を奮って「大丈夫?」の声がけをする
でも、「大丈夫?」の一言が、相手の心を軽くすることも確かです。悩んでいる子は、目立つ場所は避け、楽屋の隅っこでひとり塞ぎ込んでいたりしますが、そんな自分に気付いてくれたら嬉しい(かつての高橋さんがそうだった)だろうと思い、邪魔者扱いされる怖さがあっても、声をかけるかどうか迷ったら言う! を貫いてきたそうです。

★アドバイスとは、選択肢を増やすこと
高橋さんは立場上、悩みを相談されることが多かったそうです。でも、「こうしたほうがいいよ」という言い方は絶対しませんでした。そうしたアドバイスは、可能性を広げもするけれど、狭めもすると思ったからでした。このため彼女は、「こういうこともあるんじゃない?」と、選択肢をひとつ増やしてあげる表現を心がけたそうです。

★悩んでいる子は〝答え〟より〝理解者〟を求めている
若いメンバーは結局、アドバイスが欲しいと言いながらも、自分の話しを聞いてほしいだけなんだと気付いた時から、高橋さんは〝答え〟を示すよりも、〝理解〟を示すことに切り替えたそうです。そのために必要なことは、相手と目線を合わせて、悩みを一緒に共有するスタンスで応じてあげることでした。

参考文献:『リーダー論』(高橋みなみ著/講談社/2015年12月24日刊)

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2016年9月 8日 (木)

「ありがとう」を口癖にする  高橋みなみさんのコミュニケーション術(3)

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高橋さんは、リーダーにとって必要なコミュニケーション(たかみな流コミュニケーション)を15の項目にまとめています。前回紹介した★「ひとりひとり」が集まって「みんな」になる が最初で、その次が★ヘラヘラしてコミュニケーションの壁を低くする でした。それ以降の13項目(★)を今回から順に紹介していきます。

★相手の名前を読んで距離を縮める
ちゃんと相手の名前を呼ぶことは、「私はあなたのことを知っています、気にかけています」というシグナルになります。例えば、あるメンバーがダンスの立ち位置を間違っていて声をかけたい時に、「〇〇ちゃん」と名前を読んでから「立ち位置がね」と言葉をつなげると、コミュニケーションがスムーズになります。

挨拶をする時も、ただの「おはよう」ではなく、「〇〇ちゃん、おはよう」と名前をつけることで、さらに距離が縮まります。新しく入った人はメンバーに限らず名前をなるべく早く覚えて、名前を呼ぶようにしていたそうです。ドライバーさんや音響さんなど、スタッフさんと仲良くなると、不思議と現場が回るようになるのだそうです。

★「ありがとう」を口癖にする
「ありがとう」「ごめんね」という感謝表現を、相手の目を見てしっかり伝えることで、関係性が豊かになる(ポジティブな言葉を言い合っているチームは、必ず強くなる)と思った高橋さんは、疲労から心に余裕がなくなった場合でもギスギスした関係にならないよう、普段から「ありがとう」や「ごめんね」を口癖にしてきたのだとか。

★メンバーのグチは問題解決のヒント
グチの中には、その人を理解するための情報がたくさん入っていると高橋さんは考えました。「この子はあの子に対してモヤモヤしているんだ」「でも、あの子はこう思ってるって前に聞いたぞ」というふうにグチとグチを突き合せていくことで、絡まってしまった人間関係をほどいてあげることもできるのだそうです。

★一度でいいから、「本音」を聞く
本音を伝えることが苦手なため、根っこにある真面目さが理解されずに孤立気味の子がいたそうです。そのような場合高橋さんは、自ら歩み寄り、声をかけるだけでなくシグナルを送り続けました。そして、彼女と気の合いそうなメンバーを絡めて警戒心を解き、彼女の中にある本音をがっつり聞かせてもらえるようになったそうです。

●高橋さんが卒業を発表したとき、その彼女から長い長いメールが届いたそうです。そこには、これからのAKBの未来に対する本音が綴られていたそうです。リーダーの思いやりと、それに応えて成長してきた後輩の関係はすばらしいですね。

参考文献:『リーダー論』(高橋みなみ著/講談社/2015年12月24日刊)

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2016年9月 4日 (日)

ひとりひとりの理解者になる  高橋みなみさんのコミュニケーション術(2)

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リーダーの仕事の中でも、大部分を占めているのがチームのメンバーひとりひとりとのコミュニケーションだと高橋さんは書いています。個人との信頼関係の積み重ねがいいチームを作り上げることにつながり、そして、これはメンバー同士の関係性にも応用でき、チーム全体のパフォーマンスを高めることにもつながっていくのだと。

★「ひとりひとり」が集まって「みんな」になる
チームのメンバーにとって、いいリーダーとは、どういう人か。それは、「自分のために」何かしてくれる人。「チームのために」頑張ってくれる姿ももちろん立派ですが、それだと他人ごとになってしまう。「自分のために」頑張ってくれているんだ、「自分を見てくれているんだ」という信頼感がないと、いいリーダーとは思われない。

良いことをしたならば、誰よりも早く褒めてあげたい
でも、ダメなところを見つけても、その人といい関係性を築いていないと、「ここはこうしたほうが…」とは伝えられない。それが前後すれば、「なんでこの人に言われなきゃいけないの」と反発されてしまう。「この人が言うなら、正しいんだろうな」と聞いてもらえる関係性を日ごろから作っておかなければ、伝わるものも伝わらない。

悩んだり、不安で押しつぶされそうになった時
この人を頼ればきっと助けてくれると感じられる関係性がひとつでもあれば、頑張る原動力になるでしょう。そうでないと、リーダー側から頼み事をしなければならない時に、受け入れてもらえません。いい関係を築くためには、時間も気力も必要ですが、ひとりひとりとの関係性が良くないと、みんなとの関係性もよいものにはなりません。

★ヘラヘラしてコミュニケーションの壁を低くする
ひとりひとりとの関係性を築くためには、肩書(「キャプテン」「総監督」など)が邪魔になることがあります。AKB48に入ったばかりのメンバーでしたら、そんな肩書の人に声をかける勇気はないかもしれません。こうした配慮から高橋さんは、楽屋ではなるべくヘラヘラして、後輩たちが言葉を発しやすい環境を意図的に作っているのだと。

雰囲気を作るときは関西弁、規律を守るときは標準語
雰囲気づくりに役立つのが関西弁(本人曰く エセ関西弁)だと高橋さんはいいます。使い始めたきっかけは単純で、「関西弁てかわいい」と思ってマネし始めたら、癖になったとか。発音のうさんくささも合わさって、「この人は、イジってもいい人なんだ」と思ってもらえる効果があるのだとか。ただし、叱るときは絶対に標準語だそうです。

参考文献:『リーダー論』(高橋みなみ著/講談社/2015年12月24日刊)

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2016年9月 1日 (木)

AKB48初代総監督のリーダー論  高橋みなみさんのコミュニケーション術(1)

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AKB48を卒業した高橋みなみさん(略称・たかみな)の『リーダー論』が、たしか半年前位に新聞の書籍ランキングに再登場しました。単行本が文庫本に生まれ変わるときにはよく見られる現象ですが、この本は最初から新書でした。きっと内容が素晴らしいからだろうと思い図書館に申し込んだところ、半年後にやっと手元に届きました。

リーダーの5つの仕事
AKBのチームAの「キャプテン」、そして48グループの「総監督」を務めた高橋みなみさんは、その役割をリーダーとしての活動と位置づけました。では「リーダーの仕事ってなんだろ?」と、自分のこれまでを振り返った結果、5つの項目(段階)に分けることができるのではないか、と思うようになったそうです。

メンバーのことを理解する・・・AKB48はたくさんメンバーがいて、特別な個性があり、得意分野や将来の夢、悩みなどもそれぞれで、当初はどうやってまとめるかを悩みました。そして行き着いた結論は、確りメンバーと向き合い、一人ひとりを理解すること。信頼関係を築かないと、どんな言葉も相手の心に響かないとの悟りからです。

ほぐして、つなぐ・・・女の子は、小さな集団をつくりがちな生き物だというのが高橋さんの認識。その小さな集団のことを、彼女は“ダマ”と呼び、この“ダマ”がチームの一体感を邪魔すると看破しました。メンバーの力を一つの方向にまとめるには、チーム内の“ダマ”を取り、ほぐして大きな丸をつくる必要があるといいます。

導く・・・高橋さんにとって、みんなの気持ちを導く手段のひとつが、スピーチでした。AKBでは、総選挙のスピーチやコンサートの締めのコメントなど、喋ってまとめる機会がたくさんあります。太文字になる言葉をイメージする、“声のトーン”で聞くテンションを作り出すなどは、彼女自身が纏めた「スピーチ7か条」に由来します。

手本を示す・・・リーダーであれば誰かを叱らなければならない時が必ずあります。その時のために、日常をきちんとしておくべきと高橋さんは考えました。夢を語る時も、キレイ事だけを連ねても、誰もついてきてくれないからです。努力と行動が伴っていなければいけない。絶対にブレたらダメなんだ、というのが彼女のスタンスなのです。

任せる・・・リーダーの最後の仕事とも言えるのが、「任せる」ことだと高橋さんは思い当たりました。「自分でやったほうが早い」と思っても、グループ全体を考えれば後輩たちに任せて、育てていくべきなのだと。このように意識し始めたのは、彼女がAKBを卒業する2~3年前(21・22歳の頃?)だったそうですから驚かされます。

参考文献:『リーダー論』(高橋みなみ著/講談社/2015年12月24日刊)

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2016年8月18日 (木)

プレッシャー対処の10大要素  

IHHP(健康・潜在能力研究所)がある評価法(E1360)で、アメリカ陸軍・海軍、クレディ・スイス、ジョンソン&ジョンソンなど、世界25か国の組織や企業で働く人びと1万2256人を査定したところ、上位10%の人びとに特有の明確なパターン(10要素)があり、それがプレッシャーへの効果的対処を可能にしていることがわかりました。

プレッシャーのもとでのパフォーマンスと深く関係している10大要素
その要素とは以下のとおりですが、これらは統計的に見て、どれもパフォーマンスに対して高い相関を示しています。データ間の相関とは、データ同士の関連の深さをはかる尺度で、統計学で最もよく使われている尺度はピアソン相関です。これら10の要素のピアソン相関は0.405から0.519であり、統計的に見て有意と考えられます。

・批判に対してムキにならない
・プレッシャーを受けても平静でいられる
・失敗や挫折にうまく対処する
・不安、ストレス、怒り、恐怖を受け流しながら目標を追求する
・批判などのフィードバックを成長の糧とする
・前向きである
・ユーモアのセンスを失わない
・別の視点から考えようとする
・自分の行動が周囲に及ぼす影響を認識している
・うまくガス抜きできる

昇進する人に共通する3つの要素
前出の研究では、ハイプレッシャーな職場環境での昇進に関係する行動についても調査しました。その結果、昇進(ほとんどが1年以内での昇進)を予測する有効な手がかりとなる3つの行動が判明したのです。
・早まった判断をせずに人の話を聴く
・自分の感情を把握している
・過ちを率直に認めることができる

この研究による興味深い発見は、自分の行動やパフォーマンスに対する自己認識や自己評価が当てにならないことでした。自身のパフォーマンスをきわめて高く評価している一方で、上司からはきわめて低い評価を下されるという例が散見されたのです。つまり、自己評価とパフォーマンスとの相関がきわめて小さかったのです。

参考文献:『プレッシャーなんてこわくない~誰でも本番で勝てるメンタル強化術』(ヘンドリー・ウェイジンガー著/早川書房)

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