マナー研修

2017年8月18日 (金)

バイト敬語「〇〇様でございますね」話法 日本語のあれこれ(6)

複数のファミレスでも禁止用語になった「〇〇様でございますね」、これは本当によく耳にしますね。電話応対研修や接客・接遇研修ででロールプレイングをすると、80%ぐらいの受講者が必ずと言っていい程この言葉を使っているのに驚きます。しかし、学んだことがなければ分からないのは当然ですし、彼らなりに丁寧に言わなければと思う気持ちはよく伝わってきます。では、なぜ「〇〇様でございますね」は間違いなのでしょうか?

「ごございます」 → 「ある」の丁寧語
「いらっしゃいます」→ 「いる」の尊敬語

下記、山本が研修でよくする例え話
「ペンでございますね」は言いますが、「ペンでいらっしゃいますね」はおかしいですよね。物のあとには「ございます」、人のあとには「いらっしゃいます」を活用しましょう。もし「いらっしゃいます」が出てこなかったら、「です」も、立派な丁寧語なので「〇〇様でございますね」ではなく、「〇〇様ですね」で表現しましょう。

しかし、自身の名前を言う際には、「山本でいらっしゃいます」は使いませんよね。尊敬語を自身に使うのはおかしいですし、物のようにへりくだって謙虚に言うので、「山本でございます」となります。

お寿司屋さんの水槽の中の魚たちを見たときは
お寿司屋さんで水槽を見て「あ~、鯛がいる~」は言いますが、「あ~、鯛がある~」は言いませんよね。しかし、スーパーマーケットの魚売り場で陳列されているパック入りの鯛を見ると「あ~、今日はイキのいい鯛があるわね~」となります。決して「あ~、今日はイキのいい鯛がいるわね~」とはなりません。生き物は 「いる」、しかし、生き物が物体に変化すると 「ある」になります。

生き物には 「いる」を使いますが、「鯛がいらっしゃいます」は言いませんのでご注意ください。

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2017年8月12日 (土)

バイト敬語「~のほう」話法 日本語のあれこれ(5)

皆さんはどうでしょうか?つい名詞のあとにバイト敬語の代表格である「~のほう」が口癖になっていませんか?気が付かないだけで意外に使っているのがこの言葉です。接客接遇研修でのビデオ撮りや電話応対研修での応対録音で実際に応対の言葉を聞いてもらうと「え~、こんなに使っていたなんて」という場面が多くあります。受講者が最も気づく口癖のひとつかもしれません。以前にも本ブログで書きましたが、敢えておさらいです。

~のほうをつけると丁寧に聞こえる?
「私のほうが説明させていただきます」と丁寧な表現として使っていると仰る人もいます。「お席のほうへご案内します」「のちほど担当のほうからご連絡先いたします」「ご住所のほうを教えていただけますか」「お支払いのほうをお願いします」「鈴木のほうは外出しております」など、あげればきりがありません。これだけ使っていると、「~のほう」は丁寧語だと認識しているのではないかと思ってしまうほどです。

でも、違和感がある人も多いのです
上記のような例では、本来使わなくてもよい言葉ですから、聞き手が拒否反応を起こします。また、「〜のほう」の多用は自信のなさをアピールしてしまっているようにも聞こえるので、要注意です。使わなくていいものを活用しての曖昧な表現はわかりにくく誤解を生むこともあります。明確な言葉を使うよう心がけけましょう。

それでは、どんな場合に「~のほう」を使ってもいいのか※
小林作都子著『そのバイト語はやめなさい』の中には広辞苑よりとして下記の事柄が書かれています。
①方角、向き 例:東の方
⓶ある部分、分野 例:体力のほうでは負けない
③並べていくつか考えられるもの 例:そばよりうどんのほうがいい
④話題のものをぼかしてその部面であることを言う語 例:設計のほうをやっている
⑤物事をする仕方

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2017年8月 2日 (水)

バイト敬語「~でよろしかったでしょうか」話法 日本語のあれこれ(4)

木の葉ブログは今回で700回です。これもご愛読くださっている皆様から愛情溢れるアドバイスや叱咤激励をいただき続けているおかげと、心より感謝申しあげます。本当にありがとうございます。情報のストックが無くなったこともあり、今年から週1回程度の投稿になりましたが、なんとか700回まで参りました。これからもお役に立てる情報を発信し1000回を目指します。今後とも木の葉ブログをよろしくお願いいたします。

今回はバイト敬語の「~でよろしかったでしょうか」についてです。今やバイト敬語の代表選手のように扱われているこの言葉ですが、北海道や東北など一部の地域の方言が伝わった可能性があるとされる説もあるようです。 もし、この説が正しいとしたらやはりその方言を知らなかった地域の人たちは違和感を覚得るのも無理のないことですね。山本もそのうちの一人です。

若い人たちはバイト語が沁みついていて抜けない
新入社員研修やマナー研修、接客接遇研修で言葉遣いについてやってみると、若い人たちからも正否について時々質問があります。使っているご本人たちも気になっているのでしょうか。しかし、学生時代のアルバイトで、癖になってしまっており正しくないと分かっていても修正が難しく、そのまま活用してしまっている社会人も見受けられます。

過去形にすると丁寧に聞こえる?
使っている人の様子を見ると、丁寧語として認識しているようです。「よろしかった」のように過去形にすると、話し手と聞き手の距離が遠くなり、謙虚さを出すことはたしかにできます。しかしビジネスでは過去形を使っても、謙虚とは感じてもらえません。謙虚さは他の言葉にして、現在形で明確に表現するほうがいい印象を与えます。※1

「コーヒーでよろしかったでしょうか」はなぜ不愉快になるのか?
国立国語研究所の上席研究員吉岡泰夫氏は、「確認の敬語」として広がったと見ている。「よろしかったでしょうか?」は確認の敬語であり、「よろしいでしょうか?」は許可を求める敬語である。客が不愉快になるのは店員が許可を求める場面で、確認を求めることになるからだ。※2

●確かに、改めて「コーヒーでよろしかったでしょうか?」と尋ねられると、既に頼んで受けているはずなのに、聞いてなかったのか?と突っ込みを入れたくなるところですね。また、人によっては「現在」の話をしているのになぜ「過去形」で言うのかと思う人もいるでしょう。いずれにしても社会人としては、わざわざ過去形にせず相手を不愉快にさせないコミュニケーションを活用するようにいたしましょう。

※1出典:『そのバイト語はやめなさい』(小林作都子著/日本経済新聞社)
※2出典:よろしかったでしょうかー文芸マガジン(ウエブ電藝)

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2017年7月25日 (火)

バイト敬語「~になります」話法 日本語のあれこれ(3)

7月12日の朝日新聞朝刊に「こちら、コーヒーになります」飲食店で注文を持ってきた店員から、こんなふうに言われたことはありませんか。当欄には「目の前におかれたものがこれからコーヒーに変わるようだ」といった違和感を訴える読者の声が多く届きます(「ことばの広場」校閲センターから(板垣茂))の欄より)と書かれています。

言葉の表現も時代の流れと共に変化していく
接客・接遇研修やビジネスマナー研修では、「先生、~になります、や、~と言う形になります、これは正しいのですか」と、よくいただくご質問です。確かに違和感があります。ヒヨコがニワトリになるのなら分かりますが、コーラーやピザが席に到着してから別に変化しませんからね。しかし、よく耳にします。それは、若い人たちが接客業全般で使うようになったからです。

「バイト敬語」「コンビニ言葉」「ファミレス敬語」
その他には「マニュアル敬語」などと言われていますが、今回の「~になります」を含めバイト敬語はいくつかあります。マニュアルに記載されていたりするので、若い人たちから世の中に広まっていきました。しかし、バイト敬語はコンビニやファミレスでは見直したり、禁止などもするようにした組織もあります。例:ロイヤルホストでは2003年から「5大禁止語」を設定した。翌年にはデニーズも。※5大禁止語とは、「千円からお預かりします」 「以上でよろしかったでしょうか」 「お飲みのほうは~」 「こちら〇〇になります」 「〇〇様でございますね」

接客業だけでなく広く使われるようになった
接客業に限らず、テレビでも「テーマはこちらになります」と使われ「ことばの広場」では、「です」と断定するのは強すぎ、「ございます」だと、かしこまり過ぎと感じるのでその間を狙っている、と分析します。世代や場所に限定されない新しい丁寧な表現として定着しつつあるのかもしれません、とあります。

●あまりにも「~になります」の多用が見られると耳障りな気がしますので、シンプルに「です」、「ございます」も活用いただきたいですね。しかし、頻繁に世間で使われるようになったということは市民権を得た!のでしょうか。言葉の表現も時代と共に移り変わるのですね。

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2017年4月 7日 (金)

明るい表情は会社の危機をも救う

このところ着慣れないスーツを身につけたフレッシュな新人さんたちを街でよく見かけます。山本も先週から新入社員研修の季節に突入しています。新人さんたちがすぐに取り組めること、それはヒューマンスキルを活かした明るい表情での元気なあいさつや、キビキビとした動作などで活動することではないでしょうか。今回は山本がよく活用する事例、明るい表情が会社を救ったストーリーをご紹介します。

お値段以上、ニトリ!の似鳥昭雄会長(当時社長)は奇想天外
2015年の4月の日本経済新聞私の履歴書の連載、似鳥昭雄会長(当時社長)の奇想天外な生き方は毎回面白くて明日はどうなるんだろうか?と多くの読者の方もそうだったように私も楽しみに新聞に目を通しておりました。数ある中の奇想天外なお話の中でヒューマンスキルの凄さが窺える場面が多数ありました。

2号店出店成功の陰には“満面の笑顔”ありだった
似鳥会長(当時社長)は2号店出店のため融資先を求めて銀金融機関を渡り歩きました。しかし、全く相手にしてもらえずある時鏡に映る自分を観ると悲壮感が漂っていたのでした。こんな顔にはお金を貸すはずもないと思い頬紅を塗り満面に笑みをたたえて地元の信用金庫に出向きました。そして、見事に融資を取り付けたのでした。

メーンバンクと主幹事が破たんしたことで3日以内の返済を迫られることに
1997年11月にニトリのメーンバンクである北海道拓殖銀行が破たんし、主幹事である山一證券までが続いて破たんしました。その時似鳥会長(当時社長)は海外で視察中だったのですが、「スイス銀行が3日以内に50億円(CB)を返済するように伝えてきました。そうしないと会社は倒産します」と、経理から連絡が入り急いで日本に戻ったのでした。

明るい表情での対応が倒産の危機をも救った
帰国後、残り2日しかなく手元の現金も資金も乏しく50億円を用立ててくれる金融機関は見つからなかったのです。そこでわずかばかりの取引しかなかったのですが、もうここしかない!と住友信託銀行へ。この時も身なりを整え、眉毛を描き、顔には頬紅、にっこり笑って面会に臨み、また見事融資の交渉に成功したのでした。

●上記の事例からもわかるようにやはり暗い顔では幸運はやってこないようです。
新人さんたちは大いに明るい表情で、新人ならではのフレッシュな風を組織に吹き込んでくださいね。新人の皆さん、笑顔で大いにご活躍ください!

※参考文献:日本経済新聞私の履歴書(2015年4月連載)

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2015年12月24日 (木)

「母と息子のクリスマスプレゼント(iphone)利用契約書」(2)

前号の続きです。

〇ポルノは禁止。ウェブではこっそりではなく、一緒に見ても差し支えないような内容のものにしなさい。

〇むやみに沢山の写真やビデオを撮らないこと。まずは実際に自分で体験してみなさい。それによってあなた自身に記録として永久に刻み込まれます。

〇時々携帯を家に置いて出かけなさい。携帯は生き物ではないし、あなたの身体の一部でもありません。それなしにやって行くことも学んでほしい。

〇目を上に向け、あなたを取り巻く世界に何が起きているかを見てみましょう。窓外に目を転じ、鳥の鳴き声を聴いてみましょう。外を歩きましょう。見知らぬ人と言葉を交わしましょう。グーグル検索から離れ、自身であれこれ思索してみましょう。

以上が、ホフマンさんが電子新聞「ハフィントンボスト」(米国版=2012年12月28日付)、に寄せた本人のブログのあらましです。

そのうえでホフマンさんは「何か問題を起こしたら、携帯は取り上げます。ここに掲げた項目の多くは、iphoneに限らずこれから生きていくうえでも大切なこと。あなたはこれから、めまぐるしく絶え間なく変化していく世界の中で成長していく。それはどんなにか面白く、魅惑的なことか。

世の中でこれから出会うものごとについては、できるだけ単純に受け止めてほしい。そしてどんな文明の機器よりも、まず自分自身の強い気持ちとおおらかな心を信じて歩んでいってほしい」と、この「契約書」を結んでいます。

「iphoneの利用契約書」はブログに登場するや、数カ月の間にフェイスブックで10万にのぼる「いいね!」を集め、米ABCをはじめとするテレビ、新聞、雑誌などで盛んに取り上げられました。

「新しい『文明』の利器に、世の中のごく当たりまえの良識や常識、さらにはこれまで培われてきた身の回りの『文化』でもって、懸命に対応しようとする母親の熱心な姿勢が、多くの人々の共感を呼んだのでしょう。」と著者は結んでおられます。
今年のクリスマスが皆さまにとって幸せな記憶となることをお祈りいたします。

※年末のお休みをいただきまして、次回は1月3日から掲載をスタートさせていただきます。
本年もご愛読誠にありがとうございました。

参考文献:『本の底力』(高橋文夫著/新曜社)

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2015年12月20日 (日)

「母と息子のクリスマスプレゼント(iphone)利用契約書」(1)

これは、本ブログ500回特集の「文明と文化」をまとめる際に参考にさせていただいた書籍の中の一冊、『本の底力』の中に出てきたものです。素晴らしいお話なので、どうせならクリスマスの時期に紹介するのがよいだろうと手元で温めておりました。年頃のお子さんをお持ちの親御さんへのクリスマスプレゼントになれば幸いです。

「13歳の息子と交わしたiphoneについての利用契約書」
2012年のクリスマス、米国の母親ジャネル・ホフマンさんが息子のグレゴリー君にプレゼントとしてスマホ「iphone」を贈るときに、その使い方について18項目にのぼる約束を取り交わした、として話題を呼びました。

ホフマンさんは米東部マサチューセッツ州に住み、グレゴリー君は5人兄弟の長男で当時は13歳。グレゴリー君にプレゼントされたスマホは、あくまでも母親が買い求めて貸与したものであり、月々の支払いも母親がおこない、パスワードの管理も母親がおこなうことを前提にしています。

「規則が守られなかった場合、使うことを禁止します」という約束のあらまし
もしスマホが鳴ったらちゃんと出ること。これは電話なのだから。そして「ハロー」ときちんと応対しなさい。ママやパパからの電話だとわかっても無視することなく、手に取ること。

学校がある日は午後7時半に、週末は午後9時に携帯を親に手渡すこと。夜間は電源を切り、つけるのは朝7時半を回ってから。もし相手の親が出るかもしれないから固定電話にはかけないというのなら、その相手とはスマホでも電話したりチャットしたりしないこと。

スマホは家に置いて学校に行くこと。チャット相手とは直接話をしなさい。

〇落としたり、壊したり、なくしたときの費用や修理代は、自分で負担すること。

〇携帯を使って人に嘘をついたり、バカにしたり、だましたりしないこと。

〇面と向かって言えないようなことや相手の親がいるときには言えないようなことを携帯でチャットやメールをしたり、言ったりしないこと。
(次号に続く)

参考文献:『本の底力』(高橋文夫著/新曜社)

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2015年3月19日 (木)

江戸人が使った「死んだら御免」  “江戸しぐさ”番外編

東京大学医学部救急医学分野教授・矢作直樹氏著『おかげさまで生きる』に、思いがけず“江戸しぐさ(思草)”に関する記述がありましたので、番外編で取り上げます。氏によれば、「お互いさま」「おかげさま」の精神の発露ともいえる二つの相互扶助の仕組み(農村の「結:ゆい」と町の「講:こう」)が大きな役割を果たしたのだと・・・。

江戸の庶民から生まれた作法「江戸思草(しぐさ)」は、相手を思いやる気持ちを行動として表している代表例です。思草の思は思慮、草は行為を示します。
「肩引き」「傘かしげ」、混んでいる席をこぶしひとつ分詰め合う「こぶし腰浮かせ」など、公共の場での行動マナーには、お互いさまの精神があふれています。

この「江戸思草」は現代でも生きています。例えば電話をかける時には相手と対面している心で応対するので、感謝の気持ちを表現する場合、受話器を持ったまま見えない相手にお辞儀をしているのではないでしょうか。本人が無意識の内に発している感謝の念が、受話器の向こう側の相手にもきちんと伝わります。

江戸の文化は、脈々と現代にも受け継がれている
初対面の相手に年齢、職業、地位などを聞かない「三脱の教え」、命を頂戴して自分が生きることへの感謝を述べた「いただきます」、そもそも有ることが難(かた)い
という言葉から生まれた「ありがたい」(ありがとう)、相手の仏心(または希望)にしっかり対応できない時の「あい澄みません」など、挙げるときりがありません。

ちなみに江戸の人々は口約束を重視しました。そこで生まれた言葉が「死んだら御免」。とにかく約束したことは絶対に守る、でも自分が死んでしまった時はその約束を御免こうむるという意味です。御免は謝罪であり、相手の許可を求める言葉でもあります。

証拠がないとか紙に書かれていないからと、現代人はいとも簡単に口約束を反故にしますが、口からいったん出た言葉には大きな責任があるのです。それは下手な約束、失礼な言葉を決して口にすべきではないという意味であり、「言霊(ことだま)」を重視してきた先人たちの叡智です。言葉や行動には、その国の歴史がそのまま出ます。

自分が生まれ育った故郷を離れて違う土地で暮らす時でも、その土地の習慣や作法を学び(郷に入っては郷に従え)、節度ある行動を取るのが日本人だと著者は書いています。また、そうした精神構造を最も端的に具現化しているのが「あいさつ」であり、それらが習慣から文化のレベルに昇華したのが“江戸しぐさ(思草)なのだと。

参考文献:『おかげさまで生きる』(矢作直樹著/幻灯舎)

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2015年3月15日 (日)

“江戸しぐさ”女性編  また会いたい人になるための「江戸しぐさ」(5)

封建社会だった江戸時代は、女性には厳しい時代だったと思われがちですが、意外とそうでもなかったのではと、思われる記述が参考文献のあちこちに出てきます。このシリーズの最終回は、女性に関する「しきたり」だけを集めてみました。一断面かもしれませんが、女性への思い遣りに満ちた社会であったことが窺われます。

江戸は決して、男尊女卑の精神で凝り固まった封建社会ではなかった
寄り合いなどでは、男性は早く来ても、上がり框(かまち)から一尺(約30センチ)ほど離れたところに履物を脱いで座敷に上がったそうです。後から来た女性の裾が乱れないようにとの気遣いからでした。江戸の町では、「女は人のはじまりのこと」と言われ、女性は今のわたしたちが想像する以上に大切にされていたようです。

美しい女性の条件は「ゆかしさ」
江戸時代の美女の条件は、もって生まれた容姿プラス自分の努力で身につけた「おくゆかしい雰囲気」でした。たとえ美人だからといって、しゃしゃり出ず、目立つことは避け、自然に振る舞うことが求められました。そして、ちょっと一歩引いて、相手を尊重するしぐさが、ますますその女性を魅力的に見せることになったのです。

◎じだらくしぐさ
駅のホームで小間物屋を広げている若い女性を目にすることがよくあります。小間物屋を広げるとは食べたものを吐くという意味です。また、電車の中で、眉毛を描いたりまつ毛をカールさせたりなど、人目を気にせずお化粧するのも、さしずめ「じだらくしぐさ」と言えるのではないでしょうか。

◎横切りしぐさ
人の前を横切ることです。急いでいるとき、つい、人の前を横切ってしまうことがあります。急いでいても、さっと左右を見渡して、目の前の人が通り過ぎてからすっと通過すれば、迷惑をかけることはありません。ちなみに、江戸時代、大名行列の前を横切っていいのは、唯一、出産に駆けつけるお産婆さんだけだったそうです。

参考文献の「おわりに」より“江戸しぐさ”とは
お互いに気持ち良く暮らすための心構えを形にしたものだそうです。江戸人はこの心構えをマナーでなくセンスとして身につけました。“江戸しぐさ”の基本は、自立した人々が対等に誇りを持って生きていくということでした。江戸の共生は互角に向き合える、言い合える、付き合えるということだったようですね。

参考文献:『入門 江戸しぐさ』(越川禮子著/教育評論社)

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2015年3月12日 (木)

ビジネスしぐさ  また会いたい人になるための「江戸しぐさ」(4)

今回紹介する「ビジネスしぐさ」は、参考書籍に15のしぐさが書かれています。その中で非言語コミュニケーションと考えられるものが7つありました。本文ではそのうちの4しぐさ(上の4つ)を紹介していますが、江戸時代にこれらのコミュニケーション手段が“しぐさ”として定着していたことは新しい発見でした。

◎お愛想目つき、おあいにく目つき
江戸の商人は買い物に来たお客様をことばだけではく感謝の心をこめたお愛想目つきでお迎えしました。一方、おあいにく目つきとは、せっかく来て下さったのに目指していた商品がなくて帰るお客様に対し「ご用意していなくてすみません」というお詫びの心を目つきにこめてお見送りすることです。

◎「腕組みしぐさ」と「足組みしぐさ」
腕組みをしている人は、なんとなく人を寄せつけない気配が漂っています。口をへの字に結んでいると威張っているように見えます。江戸人たちは、商人が腕を組むのは衰退の印として戒めたそうです。よい店とは、すっと入ってすっと出てこられるお店のことを言いました。また、人と会っているとき、足を組むのも失礼と考えました。

◎あいづちしぐさ
“江戸しぐさ”は「あいづちしぐさ」とも言われました。話す人の目を見て、ほほえんだり、うなずいたり、今どきふうに言えば、ジャムセッションとでもいったような雰囲気で、打てば響くようにやり取りをしたそうです。“江戸しぐさ”が「商人しぐさ」「繁盛しぐさ」といわれる所以がここにあります。

◎六感しぐさ
見る、聴く、匂いを嗅ぐ、味わう、触れる の5つの感覚以外の、何かを直感的に感じる心の動きを六感と言います。江戸では、この六感が働かないと生きていけないといわれ、知識だけでなく感覚の働きを研ぎ澄ますことを心がけていました。ただし、六感は研ぎ澄まされた五感の働きが元になければ出てこないセンスなのです。

◎のんきしぐさ
「のんびり」と言うと、だらだらとルーズに時間を費やしていると受け取る方もいるでしょう。しかし、この「のんきしぐさ」はそうではありません。たとえ今はうまくいってなくても、そのうち必ず……と、ものごとを陽にとらえて焦らない考え方を表しています。このしぐさのおかげで江戸市民は魂の安静が保てたのかもしれません。

参考文献:『入門 江戸しぐさ』(越川禮子著/教育評論社)

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