従来型採用(ヒエラルキー型)の抱える問題点 Googleに学ぶ(補足資料)
「人材は会社の最も重要な資産」というのは言い尽くされた言葉ですが、そう口にするだけでは資産と呼べるだけのスマート・クリエイティブのチームはつくれません。メンバーを採用する仕組みを見直す必要があります。さいわい、仕組みの見直しは誰にでもできます。本シリーズの最後は、Googleの委員会型採用についてです。
経営者は「自分より優秀な人材を採用すべきだ」とよく言うが・・・
現実は、なかなかそうはいきません。「コイツは優秀だから採用しよう」という合理的な判断は、「コイツが入社したらオレが無能に見えて昇進できなくなり、子供には負け犬と思われ、妻は愛想を尽かしてカフェのイケメン店員と駆け落ちし、オレはすべてを失うんじゃないか」という面接官の感情的な思惑の前に敗北するからです。
だからGoogleはヒエラルキー型でなく、委員会によるピア型採用を選んだ
グーグルの創業者たちは初めから、最も優秀な人材を採用しつづけるには、産業界ではなく学術界のモデルを見習う必要があることを理解していました。大学は通常、教授に採用した人間を解雇しないので、専門委員会を立ち上げ、教員の採用や昇進の検討に膨大な時間を費やします。
ポストがないのに優秀なら採用する(Googleではよくあるケース)
グーグルが採用はヒエラルキー型ではなく、委員会によるピア型が望ましいと考えたのはこのためで、候補者の経歴が空きリストに合致するか否かにかかわらず、とにかく優秀な人材を採用することに集中します。エリック(CEO)は、ある女性候補者にふさわしい仕事がないにもかかわらず、採用のオファーを出しました。
しかし、優秀な人材なのでヘッドハンティングも後を絶たない
ほどなく彼女は法人営業チーム(彼女自身がつくったポスト)の立ち上げを担当することになりました(彼女はその後フェイスブックのCOOに)。このようにピア型の採用プロセスで重要なのは、組織より人なのです。ポストを埋めることより、スマート・クリエイティブを採ること、マネジャーの思惑より会社全体の利益が大切なのです。
採用の方法は、時代に合わせ、企業に合わせいつでも変えられる
ここまで述べてきた変革のなかには、既存企業がすぐに実行するのは難しいものもありますが、採用の方法はいつでも変えられます。問題は、きちんと採用するには多大な労力と時間がかかることを認識して取り組むことです。ですが、これほど価値のある投資はないとの著者からの指摘には説得力があります。
参考文献:『How Google Works』(エリック・シュミット&ジョナサン・ローゼンバーグ&アラン・イーグル共著/日本経済新聞出版社)
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