稀有な存在(イサム・ノグチ)に思いを馳せる 緑のプレゼンテクニック(5)
本稿を書いている最中に、しきりとイサム・ノグチ氏のことが思い出されました。氏は、昭和の時代に多方面で活躍した人で、一般的には彫刻家として知られています。しかし、氏には、パリ・ユネスコ本部に日本庭園の作品があり、札幌市にある広大なモエレ沼公園もデザインしています。まさに大地の彫刻家を目指した人だったのです。
「閑(しず)かさや 岩にしみいる 蝉の声」(松尾芭蕉)
これは『奥の細道』に出てくる山形の立石寺で詠まれた有名な句です。この句の影響もあるのですが、筆者は石の彫刻を虫目線で見てしまいます(イサム・ノグチさんごめんなさい)。これに対して氏の日米の2つの美術館と、パリ・ユネスコ本部の日本庭園は魚目線。そして、札幌市のモエレ沼公園を鳥目線で眺めているように思います。
イサム・ノグチの日米の2つの美術館
香川県高松市牟礼町に(氏が1969年から20年間にわたりアトリエにしていた場所)イサム・ノグチ庭園美術館があります。展示物は150点余りの彫刻作品。自ら選んで移築した展示蔵や住居イサム家、晩年制作した彫刻庭園など、全体が一つの大きな「地球彫刻」あるいは「環境彫刻」となっています。
ニューヨークのクイーンズには、やはりイサム・ノグチ氏が自ら構想し作品の配置まで行ったという貴重な美術館、ノグチミュージアムがあります(ここもノグチ氏のアトリエのあったところ)。そこは独特の癒しの空間となっており、日本人観光客はもとより、ニューヨーカーもよく訪れる名所の一つになっています(氏の母親は米国人)。
イサム・ノグチ氏の遺作「モエレ沼公園」が2002年のグッドデザイン大賞
札幌市東区にあるモエレ沼公園はイサム・ノグチ氏が亡くなって17年後(1995年一部開園、2005年に全面開園)に完成しました。188.8haの広大なスペース(東京ドームの40倍の広さ)にはガラスのピラミッド、サクラの森、モエレビーチなどが見事に配置されています。この公園が2002年度のグッドデザイン賞に輝いたというのは驚きです。
●今回のブログシリーズはプレゼン資料を作成するうえで参考になればと『緑のプレゼンテクニック』を取り上げましたが、自然がテーマだったからでしょうか、発想があちこちに拡散し、思いもかけぬ方向にペンが向かってしまいました。
イサム・ノグチ庭園公園のHPに「この地が未来の芸術家や研究者、そして広く芸術愛好家のためのインスピレーションの源泉になることをイサム・ノグチ氏が強く望んでいた」とありますが、まさに自然や質の高い芸術は人の心を揺さぶるようです。
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