マーケティング・その他

2024年5月21日 (火)

抗菌力など、人を癒す「木の7つの力」

人類(とくに日本人)は木材を利用してきた。日用品や住宅資材など生活の中でありとあらゆるものに木材を利用し、「森と木の文化」を育んできた。なかでも日本には豊かな森林に恵まれ、最も身近なものとして木材があった。そして、豊富な樹種に恵まれたことから木の特性を理解して上手に使い分け、無駄なく利用し、何度も再利用してきた。

 

調湿性・呼吸している木(抗菌性に優れる)

住環境の快適さを左右する要素は温度、風速、湿度の3つといわれる。住宅の内装材に木材を用いた場合とビニールクロスを用いた場合とを比較すると、後者の住宅では1日周期で大きな湿度変化を繰り返す。対して木材の住宅では湿度が50%前後で一定する。これは木材が室内の湿度調節(高ければ湿気を吸い、低ければ吐き出す)を行っているから。

湿度は人間の衛生面とも深い関係がある。病因となる細菌類、カビ類、ダニ類といった微生物は、彼らに都合のよい湿度のときにほこりなどを栄養源として繁殖していく。調査によると、空気中のほこり1グラム当たりに一般の細菌数が64千個、大腸菌が4800個、黄色ブドウ球菌が2700個、セレウス菌が2800個、緑膿菌が210個も発見されたという。

これら浮遊菌は、湿度が高いときや湿度が低い状態では長い間生き続けることができるが、湿度が50%前後では短時間で大半が死滅してしまう。同じようにカビ類は、湿度が80%以上にならなければ増殖を防ぐことが可能となり、ダニ類は湿度が70%以下になるとほとんどいなくなる。壁などの内装に木材を使えば、健康的な生活が保証されるようだ。

 

断熱性・熱が伝わりにくい木

人間の皮膚の表面温度は、環境によって敏感に反応する。コンクリート、塩化ビニールタイル、木材の3種類の材料の床に立った際の足の甲側の皮膚温の変化を測定すると、皮膚温の低下はコンクリートが最も大きく、木材が最も小さくなる。長時間立って作業する台所などでは、足の冷えを防ぐため木材の床が最適といえる。

 

吸音性・人間の耳に優しい木

室内で発生する音は、住宅の内装材で吸収することができる。木材や畳は音を適度に吸収してくれるが、コンクリートでできた部屋では、音が吸収されずに、いつまでも室内に残ってしまう。このように室内の吸音力が小さいと、反射音が大きく、音が響きすぎて耳障りに感じてしまう。反対に吸音力が大きすぎても音が聞きづらく不快感を与えてしまう。

 

緩衛性・衝撃を和らげる木

ただ歩くだけでも、足の裏は膝、腰などに衝撃を受けており、その程度は床の材料によってかなり違ってくる。割れやすいガラスの玉に砂を詰めて落下させ、どのくらいの高さから落としたときにガラス玉が割れるかを調べた実験がある。木材の上に落とした場合は3540㎝だったが、プラスチックの場合は20㎝、大理石では15㎝で割れてしまった。

 

視覚特性・目に優しい木

光の感じ方には、色相、明度、彩度といった要素が関係している。木材の色は種類によってそれぞれだが、一般に黄赤系の暖色と呼ばれる色が多く、暖かいイメージがある。明度は物の重量感が影響するが、黄色っぽい木材は一般に明度が高く軽快ですっきりしたイメージ。赤っぽい木材は明度の低いものが多いことから重厚で深みのあるイメージになる。

 

触感性・歩きやすい木の床

摩擦の度合いを表す数字には、静摩擦係数(止まっている物体が動き出すとき)と、動摩擦係数(滑っているとき)がある。これらが大きすぎると疲労が増え、少なすぎると滑りやすくなり、両係数の差が小さいほど歩きやすく感じる。ヒノキやカエデの床では、摩擦係数が適度に大きく(両係数ともほぼ同じ)が、塩化ビニールタイルの床では差が大きい。

 

芳香性・快適さを感じる香しい木

木材の成分を抽出したものが精油。一つの木には50以上もの種類の成分が含まれる。ヒノキやヒバ、トドマツの精油は、アンモニアでは90%以上、亜硫酸ガスでは100%の脱臭率を示す。脱臭に加え、樹木成分には、殺ダニ効果にあり、屋久杉の精油は3日後までに90%以上を、桜の成分のクマリンは1日で全滅させる効果がある。

※参考文献:『恵みの森 癒しの木』(矢部三雄著/講談社刊)

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2024年5月13日 (月)

詩歌に詠みこまれた「母の日」の記憶

『角川 現代短歌集成 第2巻 人生詠』20091130日初版発行 角川学芸出版刊より

◆家族 「母」 327341頁 329首中 「母の日」が詠み込まれている短歌は6

八十五の翁となれど母おもへば

ただになつかし今日は母の日  窪田空穂『木草と共に』(64年)

「なまみづ」や「なまきず」という音感と

ゆらゆら棲みぬ母の日きのう  米川千嘉子『たましひに着る服なくて』(98年)

 

母の日も母の姿は常のごと

茄子畑の草這うやうに引く  今野金哉『究竟頂』(00年)

母の日のバラの花首萎えたれば

五月の風に吊るしておくなり  黒沼春代『ゆりかごのうた』(03年)

 

母の日に母なかりしよ一木に

添いてゆうらり草の風鐸  百々登美子『風鐸』(05年)

ははの日を祝う母無しふらここの

夕べ緑の風に軋みぬ  吉濱みち子『春灯』(09年)

 

『秀句350 34 「母」』 伊藤敬子編 199441日初版 蝸牛社刊より

「Ⅰ 春」より「母(はは)の日」の登場する12句及び「母(はは)」の登場する6句

母の日や母亡く母と呼ぶ子なく 山下直子

母の日や息子が造る手巻き寿司 皆川貞子

母の日の母連れて来ぬ百花園 北澤瑞史

母の日の母を饒舌たらしめむ 佐久間慧子

母の日の島を遠目に足浸す 吉田鴻司

母の日や何もせずとも母とゐて 大橋敦子

 

母の日や大きな星がやや下位に 中村草田男

母の日や紡ぐごとくにハープ弾く 赤松蕙子 

母の日に亡き母と聞くほととぎす 広瀬釣仙

母の日や大方の母けふも疲れ 及川 貞

母の日や何もせずとも母とゐて 大橋敦子

母の日に提げてごくらくいろの花 長谷川双魚

 

春著着し母の外出に目ざとき子 稲畑汀子

もう誰もははを叱らず桐の花 菅原鬨也

やや派手を母にすすめて花衣 中村明子

手のひらに母の温もり蓬餅 内藤 豊

傷舐めて母は全能桃の花 茨木和生

立春や母の小包日の匂ひ 柴田左田男

 

2024512日にXに投稿&stand.fm(vol.94)の 葉 祥明作『母親というものは』学習研究社刊より3

嬉しいことがあった時 一番先に 知って欲しいのは 母さん

悲しいことがあった時 一番初めに 知って欲しいのも 母さん

 

大きかった 母さんが 小さくなり 小さかった 私が 大きくなった

でも

こころの中の 母さんは今でも大きくて 私は 小さな子どものままです

 

母さんが いなくなったら 故郷(こきょう)に帰る 理由がなくなりました 

母さんの いない故郷になんか 帰る気がしません

「故郷」って 母さんのことでした!

 

※参考文献:『角川 現代短歌集成 第2巻 人生詠』(角川学芸出版刊)

『秀句350 34 「母」』(伊藤敬子編/蝸牛社刊)

『母親というものは』(葉 祥明作/学習研究社刊)

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2024年5月 2日 (木)

運命の本に出合うための図書館の活用法  探している本に出合うのは難しい⁉

100万回死んだねこ 覚え違いタイトル集』(福井県図書館(講談社)という本があります。これはネットで話題になった図書館関係者の「覚え違いタイトル」の実例を集めたもの。たとえば、タイトルにある「100万回死んだねこ」ですが、正しい本のタイトルは『100万回生きたねこ』。ロングセラーとして有名な絵本です。

近年、タイトルの長い本の出版が増えていますが、その典型といえるかもしれない例が同書籍に紹介されています。それは「『年だから解雇よ』みたいな本…」ありますか?」です。これだけの情報をもとに図書館司書が行き当たったのは、『トシ、1週間であなたの医療英単語を100倍にしなさい。できなければ解雇よ。』だったとのこと。実に奥深い。

検索は「全文ひらがな」と「助詞抜き」がオススメ  福井県立図書館の場合、司書が検索するとき、タイトルならば基本的に全文ひらがなで入力するとのこと。図書館の検索システムはGoogleなどの検索エンジンとは仕様が違うため、正しくはひらがな表記のところを漢字にしてしまうとヒットしないらしい。ところが、ややこしいことに、著者名は逆に漢字で検索したほうが見つかりやすくなることがあると。

たとえば福井県立図書館の蔵書検索で開高健の著作を探すときに間違って「かいこうけん」と入力しても見つかるが、図書館によっては正しく「かいこうたけし」で検索しないとヒットしない場合があるとのこと。このあたりは導入している検索システムによって異なるので、レファレンスカウンダ―でその図書館のシステムの確認はしておきたい。

それからもうひとつ〝助詞の罠〟にも注意。『NHK出版から出ている、「感性と哲学」はないですか?」の問い合わせに、福井県立図書館では、「かんせい てつがく」と間にスペースを入れて検索する。検索システムが「てにをは」を間違っているとヒットしないためで、助詞を抜き、複数のキーワードから探すと正しい『感性の哲学』に到達する。

なおGoogleで調べる場合、検索対象が多く、「かんせい てつがく」ではなかなか書籍情報にたどり着けないらしい。対して、図書館の蔵書検索は基本的に書籍しか登録されてないため、こうしたやり方が合理的とのこと。Google検索をよく使う人ほど勝手の違いから戸惑いは大きいようだが、図書館検索術を身に付けるとヒット率は格段に向上すると。

上記以外の勘違い問い合わせ例  「手術はしたけど首から下が動きません」という本を探しているんだけれど…このようなケースでの図書館司書の利用者へのレファレンス・インタビューは「どんな話ですか?」「どこで本の存在を知りましたか?」「日本の本ですか?」「新しい本か古めの本か、わかりますか?」。レファレンスにおいてはこの過程がとても大事だとか。

このケースでは、「そういえば、以前この図書館の闘病記コーナーに置いてあった」との情報を手掛かりに、「手術はしたけど首から下が動きません 闘病」をGoogleでも検索。その結果『命の授業 30万人が泣いた奇跡の実話』に行き着いたそう。なお、この本の帯に「手術はしたけど首から下が動きません」と似た文言の記述があったとのこと。

※参考文献:『100万回死んだねこ 覚え違いタイトル集』(福井県図書館編/講談社刊)

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2024年4月18日 (木)

椅子の良し悪しで人生が左右されるかも

テレワークをはじめた人の多くが悩むのが、長時間作業による腰や肩、首などへの負担。背板や座面が固い椅子を利用している場合はなおさら。そこで有力な選択肢となるのが、オフィス家具メーカーの椅子。オーソドックスなオフィス向けのほか、長時間の利用を想定し通気性に優れた素材にこだわった製品、著名なデザイナーによる高級製品もある。

その設計には通気性のある素材の採用、エルゴノミクス(人間工学)に基づいたデザインなどの工夫が施されている。機種によっては、マッサージ機能を備えたものや、休憩や仮眠時には背もたれを倒してほぼフラットになるもの、オットマンやフットレストがついたものなどがある。長時間作業をしたままでも疲れにくいと、テレワーカーの間でも評判。

フロイト椅子へのこだわり  ナチスから逃れるための逃避行時に携行が許されたのはひと家族でスーツケース一つ分の必需品だった。しかし、このときのフロイトの持ち物は椅子だった。彼の娘マティルデによると、フロイトはいつもの姿勢、つまり「両足を片方の肘掛からだらりと垂らし、上体を後ろに傾けて本を上に掲げて」座っているときに、最もくつろいで見えたそうだ。

彼は、背もたれと同じように肘掛けも二重構造にした特別な椅子を、職人につくらせていた。超現代的な見た目の椅子だ。人間は一人ひとりが特異であり万人が使えるものなどない、というフロイトの思想がよく表れたエピソード。当時、精神病患者には標準化された治療が一律に施されたが、彼は患者の病歴、生活環境、性格を考慮に入れた治療を用意した。

椅子の座り方(非言語情報)だけで自在に感情表現  タモリさんの「いいとも!」を思い出すと、彼はゲストを紹介し、ゲストの着座後、プロフィールを質問してみたり、現状について質問したりします。入り方のパターンは多彩ですが、ほぼ共通しているのは(相手との面識が薄いときは特に)、柔らかい口調で、ゆっくり話すこと。また、椅子にもたれてゆったり座ることが多かった。これは、自分がリラックスしていることを示し、相手にも緊張せずに話してもらいたいから。

そして、話が展開していくうちに、「ここだ!」という場面では、斜めにのけぞったり背筋を伸ばしたりしながら、高く強い口調で興味を示す。柔らかく平静な状態から変化を見せるので、相手はハッと集中する。ただ、必要以上にハイテンション表現を続けない。

そのため、視聴者には大げさではない自然なやりとりに観える。さらに盛り上がって大きく笑う時は、相手側に前のめりになってから大きくのけぞって笑ったり、体をまわしながら観客席を見て笑ったり。客席を見るのは、みんなを笑いの共感に巻き込みたいから。若手芸人のようにバタバタとは動かないが、ポイントとなる場面で大きく体を動かす。

また、必要に応じて手の動きも入れ、立ち上がって動作をマネたりも。様々なパターンがあり飽きさせない。このように、ごく自然に雑談を交わしながら、相手を乗せて視聴者まで楽しませる。そのために、いろんなノンバーバル(非言語)テクニックが取りこまれている。それがごく自然なので、あまり気づかれない。これが、タモリさんのすごさ。

※参考文献:『テレワーク大全』(小林暢子著/日経BP刊)

『天才はしつこい』(ロッド・シャドキンス著/CCCメディアハウス刊)

『タモリさんに学ぶ雑談の技術』(難波義行著/こう書房刊)

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2024年4月11日 (木)

さまざまな美術館(展)とその楽しみ方

《パックマン》はなぜMOMAに所蔵されているのか

このゲームは、1980年に現バンダイナムコエンターテインメントから発売されたアーケードゲームです。プレーヤーは、迷路のなかでパックマンを操作し、「ゴースト」を躱わしながら「クッキー」を食べ尽していきます。世界中で一大ブームを巻き起こし、発売から7年間も増産されるなど、最も成功した業務用ゲーム機の1つとして知られています。

美術館はこのゲーム全体、つまり「コード」を所蔵しており、ある展示では、このゲームが実際にプレイできる状態で展示されていました。1920年に野心溢れる3人の女性たちを中心に設立されたMOMANY近代美術館)は、近現代美術専門の美術館だが、この作品の収蔵にはイギリス、アメリカの有名ジャーナリズムから批判があったという。

これに対し、このゲームの所蔵に携わったキャリア25年の学芸員は、「率直なところ、私はビデオゲームや椅子がアートかどうかという議論にはまったく興味がありません」と切り返し、さらに「デザインというものは、人間の創造的表現の中で最高の形式の一つだと考えています。偉大なデザインを有するものならそれで十分すぎることなのです」と。

モネの《睡蓮》にカエルが描かれているか?

岡山県にある大原美術館(倉敷の実業家大原孫三郎による日本で最初の西洋・近代美術館として1930年に開館)で、4歳の男の子がモネの《睡蓮》を指差して、「カエルがいる」といいました。さて、この絵にカエルは描かれているか。描かれてはいません。それどころか、モネの作品群である《睡蓮》には、「カエル」が描かれたものは1枚もないのです。

では、男の子はどこにカエルを見たのでしょうか? たまたまその場にいて、カエルが描かれていないことを知っている学芸員が、「えっ、どこにいるの」と聞き返したところ、その男の子は「いま水にもぐっている」とこたえました。これもひとつのアート鑑賞のあり方との解説が『13歳からのアート思考』という本に紹介されています。

世界的建築家のベースとなった栃木の2つの美術館

広重美術館が2000年に海外で話題作となりました。設計を担当した建築家の隈研吾氏は、地元の職人と一緒に作ると決めて、和紙は、地元の和紙職人が手漉し、石は、地元の石切り場で採れるグレーの地味な石を使いました。木はもちろん裏山のスギです。屋根もすべて地元産のスギを使い、徹底的に地元を大事にすることで完成したのが広重美術館です。

非常にアクセスの悪いこの美術館をCNNが取り上げ、世界中に放映されました。もう一つは石の美術館(ほとんど無報酬で、御歳70歳の二人の石の職人さんと五年をかけて竣工)。この石の美術館は、イタリアの「石の建築賞」を2001年に受賞。こうした予想外なことが重なり、隈氏は海外からコンペやコミッションなど多くの依頼を受けるように。

名画にこの過激とも思えるコピーはありか 

美術展でゴヤの「二人のマハ」が展示されたときの、着衣のマハの絵に、きわめつきのこのコピー「私をこのまま帰す気?」が。マハの目線で訴えたわけ。確かに、寝そべる美女にそう言われては、黙っているわけにはいかなくなる。要件をしっかりアピールし、ちょっとセクシーで、クスッと笑いも起きる。これぞプロのコピーというものだろう。

※参考文献:『13歳からのアート思考』(末永幸歩著/ ダイヤモンド社刊)

『隈研吾という身体』(大津若果著/ NTT出版刊)

『日本語の技法 読む・書く・話す・聞く―4つの力』(斎藤孝著/東洋経済新報社刊)

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2024年3月20日 (水)

ただ眠るのでなく、いかによく眠るか

「ひらめき」と「思いつき」は違います 睡眠中には、起きているときに解けなかった問題が解ける「ひらめき」の機能があります。知識を詰め込んで詰め込んで考えが詰まったときに、関係ない分野のヒントで、すべての知識がつながって解決するのが、ひらめきです。睡眠は、脳の中の資源をフル活用して、記憶を質的にも変化させているのです。

睡眠中の情報処理によって、前日の経験は「使える記憶」に作り替えられます。ところが、睡眠の質が悪いと、記憶を整理するために必要な神経の活動が見られなくなってしまいます。ただ眠ればよいというわけではないのです。では、睡眠の質を高める方法とは? 

質の良い睡眠に重要なのは、実は夜ではなく、昼間の過ごし方なのだそうです。

「隠された規則」が「ひらめく」と非常に楽に解ける数学の問題を3グループで実験

第一のグループ…まず朝に問題を考え、8時間ほかのことをして、夜に再度考える。

第二のグループ…夜に問題を考え、8時間睡眠をとってから、朝また考える。

第三のグループ…夜に考えて、そのまま徹夜して、朝また考える

その結果、第一のグルーブと第三のグループでは、「隠された規則」に気付く割合は、大差ありませんでした。しかし、第二のグループだけ、「規則に気づいた人の割合」がほぼ2倍に跳ね上がったのです。この結果から、「規則に気づく(ひらめき)」のに睡眠が役立ったのは、単に「寝不足を解消したから」ではなかったことが分かりました。

ぐっすり深く眠れる波の音のゆらぎパワー 揺らぎとは、完全な規則性と完全な不規則性のちょうど中間にあると考えられています。このゆらぎは、脳の視床下部に作用し自律神経のバランスを整えます。自然の中で波の音に耳を傾け、そよ風を頬で感じていると、心は落ち着き癒されます。その原因の一つが、波やそよ風が持つ1/fのゆらぎなのです。

1/fのゆらぎとは、波のそれぞれの周波数成分(パワースペクトル)が、周波数の逆数、つまり1/fに比例するという性質です。導体に電気を流す実験を行なったところ、抵抗値が一定ではなく不安定にゆらいでいることから発見されました。その後、さざ波や風など、自然界の音の中の様々な現象に1/fのゆらぎが認められることも判明しました。

睡眠中の人の心拍数は70前後 バッハの『G線上のアリア』は60拍で、これを聴くと次第に気持ちが落ち着き、心拍数も下がり、脳波中のα波が増え、やがてθ波も増加して眠気を催します。これが「心が休まる状態」。反対に、120拍以上のダンスミュージックのようなテンポの曲は、活発な精神状態を優位にするβ波が脳波中に増えてしまいます。

神経の緊張を緩める4000Hz(ヘルツ) モーツアルトには、この高周波音周辺を多く含む楽曲が多いことで知られています。2つの関連サイトを検索したところ、各推薦10曲の中で共通して登場したのは、『ピアノ協奏曲第21番 ハ長調 K.467 2楽章』

『ディヴェルティメント第15番 変ロ長調 K.287 4楽章』の2曲でした。   

※参考文献:『あなたの人生を変える睡眠の法則』(菅原洋平著/自由国民社刊)

『「脳力」を伸ばす快適睡眠術』(吉田たかよし著/PHP研究所刊)

『あの人の声はなぜ魅力的なのか』(鈴木松美著/技術評論社刊)

『仕事脳を強化する記憶HACKS』(佐々木正悟著/技能評論社刊)

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2024年3月 6日 (水)

出番少なくもハートに響くコインの物語

マー君の「大きな十円玉」

生まれながらの障害をもっていたマー君は不登校でしたが、四年生に上がる頃、両親が話し合い中学生になるまで全寮制の養護学校に預ける事に。先生が一対一で主要教科を一年生にまで遡り丁寧に教えると、マー君は。その日習った事を、毎日毎日母親に電話で報告していました。覚えた漢字も沢山になると、少し難しい本も読めるようになりました。

 

マー君をずっと教えていた先生が、ある日お金の問題を出します。『ここに、五百円玉、百円玉、十円玉があります。どのお金が、一番大きなお金ですか?』。すると彼は「十円玉」と答えます。先生が「五百円なのよ」と、教え直しても答えは変わりません。そこで理由を聞くと「十円玉は、電話が出来るお金。電話をするとお母さんの声が聞ける」からと。

 

大震災の命綱となった「コイン」

元日の能登半島地震から思い起こされるのは29年前の阪神淡路大震災。能登半島地震はこれから「ご馳走」を楽しもうという1640分頃に激しい揺れに襲われたが、阪神淡路大震災は127日の未明、546分だった。このため、ほとんどの被災者は寝床で激しい揺れに襲われ、家屋の倒壊直前に、着の身着のまま家を飛び出した。

 

命拾いはしたものの、能登半島ほどではないにせよ、真冬の夜明け前は寒さも応える。そして能登と同じように電気も水道も使用不可。そのような悲惨な状況の中で、ドリンク自販機が横倒しになっても利用可能なものがあったという。これで飲み物が…と思いきや、群がった人の中にコイン保持者は皆無。眼前にドリンクがあるのに眺めているだけ。

 

中には、腹立ち任せに自販機を蹴とばす人も出る惨状を、たまたま視察中の日銀神戸支店長(遠藤勝裕氏)が目撃する。彼はその瞬間「このままでは暴動も」との危機意識から急遽銀行に戻り、銀行協会と調整の末、百円玉9枚と十円玉10枚を入れた千円の袋を4千個用意。この袋を抱え避難所に出向き「銀行協会からの義援金です」と渡して歩いた。

 

こうしたきめ細やかな被災者支援の傍ら、遠藤氏は生活者&企業支援にも乗り出す。支店長判断で、通帳や判子がなくても身分証、免許証を提示したらお金が借りられる、半焼けの紙幣は普通の紙幣と交換する、といった金融特例措置を独断で、震災当日に実行。加えて、遠藤氏は、損壊を免れた日銀神戸支店内に、各金融機関の窓口開説の便宜を図った。

 

戦後を象徴するコイン「五円玉」

五円玉の表面のデザインは、左から右に、穂をたれている稲穂で農業を、穴の周りの歯車で工業を、「五円」の文字の背景の線は水・波を表し漁業(水産業)の、戦後の産業を表している。裏には、日本の神木のヒノキの双葉がデザインされている。双葉は「新生」「再生」「復興」を意味し、表と裏のデザインで、戦後の荒廃からの復興を願ったとのこと。

 

明治政府は1869年(明治234日)に金銀銅の円形貨幣を鋳造する円貨の制度を定めたが、五円玉はこの範疇を超えた黄銅貨で、銅が6070%、亜鉛が3040%で、重量は3.75g、直径2.2㎝となっている。その理由が今日ではとても意味深で、五円玉は戦後使われなくなった砲弾や薬きょうを溶かし、平和を願ってつくられた硬貨なのです。

 

※参考文献:『心に残るとっておきの話〈第1集〉』(潮文社編集部編/潮文社刊)

『1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書』(藤尾秀明監修/致知出版社刊)

『社会科教師のための「言語力」研究』(片上宗二著/ 風間書房刊)(1431字)

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2024年2月22日 (木)

大きく転化しつつある「歌舞伎ことば」

『知識ゼロからの歌舞伎』(松本幸四郎監修/幻冬舎2022年刊)より

「黒幕」

現代:自分は表に出ず、人を操って影響力を行使する人。

歌舞伎:背景幕として夜を表す幕のこと。また、歌舞伎では「黒は見えない」という約束事があるため、不必要なものを隠す幕のこと。「消し幕」も黒幕の一種。

※歌舞伎の「黒」は見えないという記号。この「見えない」が「怖い」から「悪」と変換され、「腹黒い人物」というマイナス面の意味を持つようになった。

「差金」

現代:陰で人を操ること。

歌舞伎:黒く塗った竹の棒の先に針金をつけ、蝶や鳥などを操る小道具のこと。

「大向こうを唸らせる」

現代:優れた技巧で、多くの人から人気を得ること。

歌舞伎:劇場の後ろのほうの値段が安い席に何度も足を運ぶ芝居通や向う桟敷(2階席)の通を感嘆させること。

『歌舞伎ことばの辞典※』(服部幸雄監修/赤坂治續執筆/講談社刊)より

「捨てぜりふ」

一般に、「別れ際にいう、相手を脅迫・軽蔑する言葉」をいう。

本来は、歌舞伎の用語で、台本に書いてないせりふを臨機応変にいうことで、現代演劇のアドリブである。歌舞伎の捨てぜりふは、退場の時にいうとは限らないし、脅迫的・軽蔑的な言葉を吐くとも限らないが、「捨て」は「言い捨てる」の意で、一方的にいうことから、「立ち去るときにいう言葉」という意に転じた。

「肚(はら)藝」

一般に「言葉や態度を表に出さないで、腹で何かを企むこと」「言動によらないで、物事を処理すること」をいう。

藝能用語の「肚(腹)藝」は3つある。①歌舞伎の用語で、「派手な科(しな)や音楽的な台詞術を用いずに、扮している人物の肚(役の性根=胸中)を表現する技術」、②仰向けに寝た人の腹の上で演じる曲藝」、③腹に顔などの絵を描いて演じる藝」

肚藝の①は、明治の九代目市川團十郎が活歴(動きの多い出し物)で用いた演技で、心理描写を重んじる一種の写実的な演技のこと。抑制して地味に演じたことから、「態度を表に現わさないこと」を意味する一般語になった。

上記2冊とは別に、『歌舞伎を楽しむ本』(主婦と生活社刊)に「御馳走」が紹介されている。

歌舞伎で「御馳走」となればな、幕間に楽しむ「幕の内弁当(俵の形をしたおにぎりに数種類のおかずが付いたお弁当)」を想起しがちだが、豈図らんや、歌舞伎の「御馳走」は、「格の高い役者が、本来はやらないような端役を演じ、観客を喜ばせること」

この「御馳走」と、上段の「大向こうを唸らせる」は、いずれも観客を喜ばせるサービス精神の発露といえそう。その反面、ネガティブ・ワードに転化した例も少なくない。「世に盗人の種は尽きまじ」は『白波五人男』、「月も朧に白魚の」は『三人吉三』、「しらざぁ言って聞かせやしょう」は『弁天小僧』。これら人気の裏家業の出し物が影響したかも…。

ネガティブ・ワードの代表格は「黒幕」であり、「捨てぜりふ」か。

「黒幕」は、舞台の不必要な部分を隠す幕のことで「見えない」の意味合いが、一般語になったときに、「怖い」から「悪い」に転化され、「腹黒い人物」の意味を持つように。

また、「捨てぜりふ」は、役者が台本にない台詞を、場の雰囲気を生かすために咄嗟にいうアドリブ的なものが、別れ際に相手を脅迫・軽蔑する言葉になってしまった。

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2024年1月23日 (火)

海軍カレーの都市伝説とカツカレー物語

日本のカレーは海軍発祥の説が広く語られているが、どうやらこれは都市伝説のひとつらしい。というのは、明治5年(1872年)に刊行された『西洋料理指南』というレシピ本に、すでにカレーが登場していることと、翌年(明治6年)には陸軍幼年学校でライスカレーが昼食に供されていたとの記録がある。これかのことから海軍説には疑問が残る。

明治時代、白米中心の食事をとっていた日本海軍では、ビタミンが欠乏して起こる脚気が深刻な問題となっていた。 そこで栄養改善のため導入されたのがイギリス海軍で提供されていたカレー風味のシチューにとろみをつけたカレーであった。

とはいえ、カレーの普及には海軍が大いに貢献していることは間違いなさそう。伝えられるところでは、明治時代、白米中心の食事をとっていた日本海軍では、ビタミン欠乏に起因する脚気が深刻化した。そこで栄養改善のため導入されたのがイギリス海軍で提供されていたカレー風味のシチューにとろみをつけたカレーであったのだ。

そのカレーの具がたまねぎ、にんじん、ジャガイモ、肉と相場が決まったのは、東郷平八郎がイギリスに留学中ビーフカレーを大いに気に入り「肉じゃが」を考案した。その後、海軍のシェフがカレーに何を入れていいか分からず「肉じゃが」を応用した。元水兵たちが料理屋を開いたり自宅で作ったりして、〝海軍のカレー〟が世間に広がったらしい。

発祥が不明確なカレーに対し、「カツカレー」には元祖を名乗る3店があると、20231225日『日本経済新聞 夕刊』が、「なるほど! ルーツ探検隊」で〝カツカレー発祥に3つの説〟を報じている。この記事によると、開発時期は異なるが、浅草、銀座、新宿にそれなりの根拠(常連客に著名人)を持った老舗が存在するとしている。

 まずは、常連に渥美清氏、永六輔氏が登場する浅草寺裏の河金で、「元祖かつカレー河金丼」を店頭に大きく掲げている。店主の河野貴和さんは誕生について「カツレツやカレーライスなどの洋食屋台として始めたのが大正7年(1918年)。お客さんから「さっと食べられるようにカレーにカツをのせてくれ」と頼まれ、創業時からメニューにあったと。

次は、常連に石原裕次郎氏、歌手のKANが登場する、1947年(昭和22年)創業の老舗洋食店・銀座スイス。この店でのカツカレー誕生のきっかけは、元プロ野球選手・千葉茂氏の一言「カレーとカツを一緒にしてくれ」だったそう。銀座スイスの創業日は222日で、この日を「カツカレーの日」として記念日登録し、認定されているとのこと。

最後は、常連に三国連太郎、柴田錬三郎氏が登場するのは、1921年(大正10年)新宿に創業で「昔ながらのあたらしい味」を掲げるとんかつ店「王ろじ」。店主は「とんかつ」という名称は「うちが最初に使ったとフレンチシェフだった父は言っていましたが、カツカレーを出したのは昭和30年代前半だと思います」。また「とんかつ」の名称も元祖だと。

※参考資料&文献:Wikipedia「海軍カレー」

『ニッポン「もの物語」』(夏目幸明著/講談社刊)

『日本経済新聞』(20231225日夕刊)「なるほど! ルーツ探検隊」

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2024年1月16日 (火)

「ありがとう」は「スペシャルワード」

某大手生保が、3095人を対象に「あなたを笑顔にしてくれる言葉はなんですか?」というアンケートを以前実施した。すると、第1位「ありがとう」48.4%、以下「大好き」9%、「愛している」25%、「がんばっている」2.3%だった。また、NHK放送文化研究所の調査によると「日本人の好きな言葉」の第1位も「ありがとう」が67%だった。

大ベストセラーとなった『水は答えを知っている』の著者、江本勝氏は、著書のなかで水を入れたコップに向かって「ありがとう」と声をかけた場合と、「ばかと声をかけた場合とでは、顕微鏡で見た水の決勝の形が大きく変わっていたという事実を発見した。ちなみに、わたしたちの身体は、体重の6070%が水分でできています。

実験では「ありがとう」と声をかけると雪の結晶のようなきれいな形になり、「ばか」だと結晶が崩れた形になっています。ほかにもプラスの言葉をかけるときれいな結晶になり、マイナスの言葉をかけると結晶はぐちゃぐちゃに崩れてしまいます。体重の6070%が水分なので、キラキラのきれいな結晶のどちらがいいか答えは決まっている。

「ありがとう」という言葉の最大の効果は、相手がこの言葉を聞いてから3秒以内に販促活動時間が得られることらしい。人間は嬉しいことがあると、脳の深層部から快感ホルモン「ドーパミン」がにじみ出る。ドーパミンは体全体を幸せな気分に包んでくれるが、その効果は3秒間しか持続しないので、「鉄は熱いうちに」打たなければならない。

ストローク理論は、米のエリック・バーンらによるコミュニケーション理論。タッチされると、私たちはその相手に好感を持つが、最近はセクハラにもなりかねないので、相手の「心」に触れることがより望ましい。そのためには、心のこもった「一言」が有効。基本は、「ありがとう」の感謝の言葉と、「おはよう」「こんにちは「」さようなら」の挨拶。

昨年末の30日に急逝した八代亜紀さんには『あなたにありがとう』(あ・うん刊)という著書がありました。また、歌手生活50周年コンサートは~ありがとうを 私から~でした。八代さんは、コロナで外出や家族との面会も難しくなったお年寄りを喜ばせようと、月に1回オンラインコンサートを病気療養に入る昨年9月まで続けておられました。

松田聖子さんのアニバーサリーコンサートのことがある本に紹介されています。聖子さんは最後の曲の前に、客席に向かって「ありがとうございます」と感謝の言葉を述べ、最後の曲のイントロが流れ始めたとき、わざわざバンド演奏を中断し、客席に向かって涙ながらにこう言いました。「もう一度だけ言わせてください。皆さん、本当にありがとう」。

100%好かれる1%の習慣』(松澤萬紀/ダイヤモンド社刊)

『もうひとつの幸せ論』(小林正観著/ダイヤモンド社刊)

『自分をよろこばせる習慣』(田中克成著/すばる舎刊)

『プロフェショナル 電話力』(恩田昭子著/日本実業出版社刊)

『「できる人」の話し方&コミュニケーション術』(箱田忠昭著/フォレスト出版刊)

『図解 意のままに人を引き寄せる心理戦術』(内藤誼人著/KKベストセラーズ刊)

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