コミュニケーション研修

2023年4月17日 (月)

言葉の「言葉遣い」「言い換え」「文字表現」

最初は「言い回し」です。結婚披露宴のスピーチでは、離婚を想像させる「(縁が)切れる」「別れる」などは、忌み言葉として使ってはいけません。何度も結婚することを想像させる重ね言葉、「皆々様には…」「ますます…」もNGです。では、結婚披露宴などで、以下のような意味のことを話そうとするとき、どのように言い換えればいいでしょうか。

*「本日はお忙しい中…」→「本日は、ご多用中の中…」(「忙」の字の「りっしんべん」は「心」を表わします。「忙しい」は「心を亡くす」の意味になるので。

*短い時間ではありますが→つかの間ではございますが/*冷めないうちにどうぞ→温かいうちにどうぞ!/*ケーキをカットします→ゲーキに入刀します

*スタートを切ることになります→スタートラインに立ちます/*実家を離れてから→一人暮らしを始めてから/*試合に負けたとき→試合に勝てなかったとき/*受験に落ちてしまい→受験がうまくいかず/*忘れないでください→お心にとどめていただけますよう/*くれぐれもよろしくお願いいたします→今後ともよろしくお願いいたします。

次は「言い換え」です。「ご苦労さまです」と「お疲れさまです」について、『president2023414日号に言語学者の金田一秀穂先生の「日本一わかりやすい『日本語』の取扱説明書」中にこれに言及する箇所がありました。その内容は、これまでの研修講師としてマナー教育で語ってきたことに、修正を加える必要を感じさせるものでもありました。

該当箇所は以下の通り。「実際によくある敬語の間違いを紹介しましょう。たとえば目上の人に対して『ご苦労さまでした』というのは厳禁です。『ご苦労さま』が失礼だとわかる人が『お疲れさまでした』と使うケースもありますが、それも不適当です。目上の人に対して、労ったり慰めたりすること自体が敬意を欠いています」。

最後は、日常で使用頻度の高い「ください」の仮名表記と漢字交じり表記の違いにつてです。この二通りの書き方に大きな違いがあることを教えてくれる好事例があります。たぶん昭和生まれの方には馴染のある、飴の専門店・榮太樓本舗での実話です。このお店は新商品の認知度を高めるためにSNSも活用したキャンペーンに取り組みました。

そんな折、Twitterに書き込みがありました。それはカタログやSNSに「是非ご賞味下さい、と漢字で『下さい』と書くのは、お客様に対して上から目線の書き方だ。江戸の老舗菓子店が使う言葉ではない」というものでした。榮太樓本舗では、このご指摘を真摯に受け止め、即座にカタログをはじめすべての媒体表現を「ください」に変更しました。

公益社団法人日本広報協会によると、漢字を使う場合は、「飲み物をクダさい」といった実質動詞(「くれ」の尊敬・丁寧表現)の場合は、「下さい」と漢字書きにします。仮名書きにする場合は、「お飲みクダさい」といった補助動詞(何かをお願いするときや、敬意を表す尊敬・丁寧表現)の場合は、「ください」と仮名書きにします。

参考文献:『相手のことを思いやる ちょっとした心くばり』(岩下宣子著/三笠書房刊)

『愛されるマーケ嫌われるマーケ』(日経クロストレンド編/日経BP刊)(1336字)

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2023年4月10日 (月)

心理的安全性にまつわる4つの不安と4つの思考

心理的安全性を阻害する4つの不安

「無知への不安」:こんな単純なこともわからないと思われそう  

「無能への不安」:こんな簡単なこともできないのかと思われそう  

「否定への不安」:反対して、人間関係や自己評価に傷をつけたくない  

「邪魔への不安」:自分だけ悪目立ちして、仲間はずれになりたくない

 

心理的安全性を壊す4つの思考 

「完璧主義」:他者のすべての行動に完璧を求めたい  

「コントロール欲求」:他者の思考や行動を自分の統制下におきたい  

「過度の所属欲求」:同じ価値観や意見を持ち、一体感ある仲間でいたい  

「犯人探しの本能」:悪いことが起きると、犯人を探して非難したい

 

グーグルが発見したチーム成功要因5要素の1番目は「心理的安全性」

グーグルは、大半が同じメンバーで構成されている2つのチームの活動成果から、興味深いデーターを検出した(集団的知性〈Collective Intelligence〉の発見)。両チームには共通してハイパフォーマーなメンバーが多く含まれており、個人能力の総和に大きな違いはない。にもかかわらず、チームの生産性には大きな差が発生していた。

これらの実験結果の考察から、個人生産性の合計とチームの生産性は相関関係が少なく、チームの生産性の向上のためには「集団的知性がいかに生まれるか」という視点が重要であることがわかった。この研究の成果は、研究結果である「心理的安全性の重要性」とともに、ビジネス界に世界に大きな影響を与えることになった。

これらを総合的に考察して、グーグルは「心理的安全性がチームの生産性を高める」と結論づけた。ここでいう「心理的安全性」とは、「チームメイトなどまわりの評価に怯えることなく、自分の意見や想いを発信するために必要となる要素」のことで、メンバーからの評価や人間関係のリスクを感じないチームこそ生産性が高いのだと。

 

グーグルの実験結果から、5つの「チーム成功因子」

①心理的安全性:メンバーは「他のメンバーに対して対人関係の不安」を感じない。自分の過ちを認めたり、質問したり、新しいアイデアを披露したりしても、誰も自分を馬鹿にしたり罰したりしないと確信できる。

②相互信頼:メンバーは「クオリティの高い仕事を時間内に仕上げる」という相互の信頼関係を持っており、問題が起きた時にも責任を転嫁しない。

③構造と明確さ:仕事で要求されていること、その要求を満たすためのプロセス、メンバーの行動がもたらす成果について、すべてのメンバーが理解している。

④仕事の意味:仕事そのもの、またはその成果に対して目的意識を持てる。仕事の意味は属人的なものであり、経済的な安定を得るなど、人によってさまざまであるから。

⑤インパクト:自分の仕事には、組織において、社会において意義があるとメンバーが主観的に思える。個人の仕事がどのようなインパクトをもたらしているのかを可視化する。

参考文献:『だから僕たちは、組織を変えていける』

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2023年4月 3日 (月)

活躍中の日本大学理事長・林真理子さんの近著から

ご馳走してもらう時のワイン選び方 「山梨のワイン大使をやっているので、山梨のワインをお願いします」と言うように。山梨ワインなら高くても一万円台で済み、ちゃんと故郷の山梨も立てられるから。もし山梨のワインを置いてないお店なら、「ナパバレーのワイナリーに行ってからはまっているので、カリフォルニアワイン(外国産ワインでも安い方)でお願します」とリクエスト。

宮尾登美子さんの気遣い 1983年(昭和58年)の『NHK紅白歌合戦』の審査委員を務めた時のこと。当日、審査員控室でやはり審査委員だった宮尾先生にご挨拶をしました。紫色の着物をお召しになっておられましたが、審査委員の一人だった女優さんも同じく紫色の着物であることに気づくと、宮尾先生はスーッと姿を消されました。

しばらくすると、何事もなかったかのように違う色の着物に着替えていらっしゃったそうです。色がかぶってしまう事態に備えて着物を二枚用意していらしたのです。その気配りと立ち居振る舞いを見て、「わぁ、なんて素敵なんだろう」と、若き日の林真理子理事長は、いっそう憧れの気持ちを強くしたそうです(交友関係はその後長く続く)。

WBC栗山監督の全選手との3時間の個人面談 「気遣い」につての話に触れたところで日本中、いや世界中の野球ファンの心を揺さぶった、侍ジャパンの栗山監督のことに触れておきたいと思います。一人ひとりと3時間の個人面談といっても、代表選手は30人で、故障による交代の2人を加えると32人。時間にすると面談時間だけで96時間となります。

面談は自分の都合だけで成立するものではありませんし、ときとしては海外にも足を運ばれたはず。国内でも長距離の移動もあり、どう少なく見積もっても96時間の3倍。300時間は最低でも必要だったと思われます。1日の稼働時間を10時間とすると、休みなしで丸1月を個人面談にだけ費やしたことに。想像を絶する取り組みだったはずです。

そして、研修講師として最も驚嘆させられたのは、その面談3時間のほとんどを栗山監督は聴くことに徹したことでした。今回の侍ジャパンのメンバーは若手が多く、良い成果を出すためにはチームコンセプトの共有を優先し、自らの考えを伝えることに重点が置かれてしかるべきところを、選手を知るために、自分のことを話してもらったそうです。

秋元康氏の「なぜ嫌いか」で自分が見える 【閑話休題】さて、秋元氏によると、俯瞰力は、人を謙虚にさせてくれたり、時に励ましてくれたり、物事を長い目で考えさせてくれると。そして自己愛は、バッシングされたり落ち込んだりした時に、たとえ根拠のない自信であっても自分を力づけてくれるのだと。

ちなみに秋元氏の場合、誰かからバッシングされると「なぜ、この人は自分のことを叩きたいのだろうか」と考えると、いろいろなことが見えてくる。また、氏は年に一回、自分が凄く嫌っている人とわざわざ食事をするのだと。すると、自分という人間が見えてくるそうです。その人を嫌いなのは、自分と似たところがあるせいだと気づかせてくれると。

参考文献:『成熟スイッチ』(林真理子著/講談社刊)

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2023年3月27日 (月)

好意は先に伝える、そして言葉は短めを心掛ける

照れくさい気持ちもあるかもしれませんが、やはり好意は後出しではなく、先に伝えておく。先に自己開示しておくことで、30分なり、1時間なり同じ時間を一緒に過ごすにしても、ゼロからスタートしてひとつずつギアを入れていくステップを踏まずに、三段飛ばしでよい印象を持ってもらえることもあります。

「そもそも人は飽きやすい。その興味をそそり、持続させるのはなかなか大変」。どんな状況でも、最初に耳に飛び込んでくる一文が長すぎると、人は「わかりにくい話」と判断し、理解することをやめてしまう。SNSなど、気軽に触れられる「短い尺のもの」が好まれている中、私たちは「長尺の何か」に対してどんどん耐えきれなくなっています。

短い一文で始めれば、「これからこんな話をしますよ」という全体像を相手に掴んでもらいやすくなります。相手も「そんな話をするんだな」と聞く準備ができて、続く話の内容を受け取りやすくなります。しかも一文一文が短い話であれば、「まあ、あと少し聞いてもしんどくないか」と「聞く耳」を持ってもらえるのです。

オンライン会議では、話している人の邪魔にならないように自分の声を「ミュート」するのがマナーですが、話し手としてみれば、まったく聞き手のリアクションが返ってこない状況は不安になります。そこで、声で「なるほど」とあいづちを打ちたくなったポイントで大きく頷いたり、相手の話に合わせて自然と湧いた感情を素直に表情に出してみます。

ゼロから意識的に「顔を作ろう」とすると、わざとらしくなって逆効果ですが、相手の話で引き出された感情を5割増しぐらいで上乗せすると、画面越しでもしっかり相手に伝わりますし、不安にさせません。こうして視覚的な〝あいづち〟を重ねていくと、話している相手はそれが後押しになり、自信を持って自分のペースで話を進めてくれます。

生活の中で意識的に声を使い分けてみると、職場や家族の関係にもうれしい効果があります。相手が疲れている様子なら、頃合いを見ながら落ち着いたときに、いつもの自分の声より少し低めの声でゆったりとしたテンポで話しかけます。「そういえば…」と先ず前置きしましょう。ワンクッション作ることで相手の受け入れ態勢も変わってきます。

途中のプロセスにおいて、「?」と思ったときこそ、言葉にして確認する。あらゆるトラブルにおいて「言った」「言わない」は永遠の問題ですが、結局お互いの思い込みが食い違いの「火種」となります。指示を受ける側も、「つまり…」「だったら、このように…」と前向きに提案しながら、自分と相手の頭の中のイメージを言葉で形にしていきましょう。

出典:『なぜか聴きたくなる人の話し方』(秀島史香著/朝日新聞出版刊)

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2023年3月13日 (月)

ユーモアは人間心理と行動に重大な影響を及ぼす

米国の世論調査で、「最近の出来事」の記憶とその情報源を調べると、新聞やお堅いニュース番組より、バラエティ―番組のような「ニュース番組」との回答が多かった。また、「ストーリーにデータを効果的に盛り込む方法」という講義を笑いながら受講した学生のほうがコンセプトをその後の授業にも応用し、8週間経っても内容を確り覚えていた。

真面目さと陽気さは相反しない。近年のユーモア研究者たちの発見は、それこそ至るところで、「真面目さと陽気さは相反する」という誤った思い込みを覆し、陽気でいきいきとした生活がもたらす大きなメリットを明らかにしています。そうした研究成果が解き明かしたことがあるとすれば、深刻な事態に対処するために、自分自身が深刻になる必要はないということなのです。

ユーモアのセンスは筋肉に似ている。身体と同じように、ユーモアのセンスも定期的に使わないと衰えます。このことは、学生やエグゼクティブ対象の講座で「最近、あなたが腹の底から笑ったのはいつですか?」と質問すると、ほとんどの人が思い出せないことからも裏付けられます。ユーモアは遺伝信号によって決まるのではなく、トレーニングと実践によって強化されるスキルなのです。

仕事上のユーモア、4つの効果(行動科学の研究より)仕事上のユーモア効果は、①パワー:地位が高く知性が優れている人という印象を与え、相手の行動や意思決定に影響を及ぼす。②つながり:知り合ったばかりでも信頼感が生まれ、打ち解けることができる。③創造力:それまで見落としていた関連性に気づきやすくなる。④レジリエンス:ストレスが緩和され、挫折から立ち直りやすくなる。

あるユーモア実験の感想評価から。参加者はいくつかの項目において評価を求められた。すると、ユーモアのある感想を述べた人たちのほうが、「有能である」印象を与えた割合が5%高く、「自信がある」印象を与えた割合が11%高く、「地位が高い」印象を与えた割合が37%高いことがわかりました。コメントの後半のふざけたフレーズによって、評価が大きく分かれたとのこと。

オバマ大統領のユーモアに満ちた2011年の一般教書。大統領は、政府の効率性を向上させるべき分野として次の例を挙げました。「サケが淡水にいるときは内務省の管轄です。しかし、サケが海水にいるときには商務省の管轄になります」。そして、ひと呼吸置いて「問題がさらにややこしくなるのは、スモークされたときです」で会場は爆笑に包まれ、聴取者にはサケに関するスピーチが記憶されました。

『マネー・ボール』著者(マイケル・ルイス)と娘さんのトレーニング体験。8歳の娘を2日間の子ども向けユーモアレッスンに通わせ、彼も大人向けのレッスンを受講した。午前中3時間のレッスン後、昼休みに外に出たとき父親は、もう汗びっしょり。ところが、教室から出てきた娘は満面の笑みを浮かべて、こう言った。「すっごく楽しかった! めちゃくちゃ簡単だった!」と。これが子どもと大人の違いなのかと彼は思った。

出典:『ユーモアは最強の武器である』(ジェニファー・アーカー&ナオミ・バグドナス著/東洋経済新報社刊)

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2023年3月 6日 (月)

3人の大物タレントが制作現場で発揮する人間力

202210月のTwitterツイートから。「朝、上司が『おはよう』と声がけしても無視する部下。考えた末に、上司が『○○君おはよう』と名前を添えてみたところ、その日を境に挨拶を返すようになった」というお話でした。今回は、よい人間関係を築くために、制作現場で見事なパフォーマンスを発揮している3人の大物タレントを紹介します。

一人目は、お笑い・司会者・俳優・映画監督として活躍中のコンビ「ウッチャンナンチャン」のウッチャンこと内村光良さん。関係者の間では有名なエピソードではあるらしいのですが、内村さんは現場で関わる様々なスタッフの「名前」を覚えて呼びます。一見些細なことのようですが、これが実はチームモチベーションにとって効果覿面なのだと。

テレビ収録や舞台で関わるスタッフは数十人からときに100人を超え、全員の名前を記憶することは容易ではありません。その点、内村さんは番組ディレクターなどはもちろんのこと、アシスタントや照明スタッフに至るまで、それぞれのメンバーの名前を覚え、「○○さん、おはよう」「〇〇さん、これってどうですか?」というように話しかける。

リーダーが働く仲間、チームメイトを名前で呼ぶことは、相手の尊厳を尊重する行為とみなされる。そもそも人にとって「名前」とは、あなたがあなたであることを認められる〝アイデンティティ〟の根幹。だからこそ、リーダーがメンバーの「名前」を覚えて呼ぶことは「他の誰でもないあなた」を特定することになり、親愛や敬意の表明に繋がります。

次は、昨年のNHK大河『鎌倉殿の十三人』で主役を演じた小栗旬さん。鈴木奈穂子アナが番組公式インスタグラムで、《100人以上いるスタッフの顔と名前を覚えるなど『どの現場でもいつも通り。自分ができることをしている』とサラッとおっしゃっていたのが頼もしくて。小栗さんのようなリーダー、職場に1人いてほしい!》と興奮気味に投稿。

その一方で、小栗さんは「毎日、出演者やスタッフに配るマスク(小栗さんの遊び心)にひと言メッセージを書いていたそうです。“今日は何が書かれているのかな?”と楽しみにしている人も多かったとか。小栗さんのこのようなスタッフへの気遣いは、ご自身がまだ20代前半のとき、『人の名前はちゃんと覚えなさい』との父親の教えに基づくそう。

最後はこのところ存在感を高めている吉高由里子さん。2023224日(金)の『朝日新聞』朝刊「撮影5分前」に「恋され愛される座長」(番組プロデューサーのコラム記事より)が掲載されました。そのまま引用すると、「現場が恋する人がいる――。ドラマ『星降る夜に』で産婦人科医・雪宮鈴を演じる我らが座長・吉高由里子のことだ。」

「彼女はすべてのスタッフの名前を記憶している。撮影初日からスタッフ表を片手に読みがなを確認する姿に、驚かされた。極寒の過酷なロケで緊迫した時も、あえておどけて現場を笑いに包んでくれる。自分の疲れを見せることはなく、誰かの疲れは見逃さない。それでいてカチンコが鳴った瞬間に涙を流し、息をのむような芝居を見せる。」

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2023年2月20日 (月)

「成績優秀者」は社会で必ずしも成功しないのか?

学業がキャリアの成功を予測する判断材料にならないことは、あらゆる業界調査で明らかになっている。偉業を成し遂げた建築家たちを調査したところ、もっとも独創的な建築家は平均してB評価の成績で学校を卒業していたという。かたや全教科でAを取った建築家たちの多くが、正しさにこだわり、保守的な考え方や慣行を再考したがらなかった。

同様のパターンは、大学を首席で卒業した学生を対象にした調査でも見られたという。「卒業生総代が将来、先見の明がある人物になる可能性は低い」と教育学研究者のカレン・アーノルドは述べている。「そのような人たちは通常、既成システムの一部になり、それを改革することはない」と。IQよりはEQ(心の知能指数)が大事らしい。

学校で優秀な成績を収めるには、たいてい古い思考方法をマスターする必要がある。一方で、素晴らしいキャリアを築くには、常に新しい考え方不可欠だ。ダニエル・ゴールマンは、ビジネスのパフォーマンスを上げるためには、EQが知能指数(IQ)よりも重要であり、経営幹部陣が成功をおさめる要因の「ほぼ90%」をEQが占めると主張している。

ただ聴いてもらうだけで人は安心して素直になれる。親身に、公平な態度でじっと耳を傾ける人と対話することで、人々の不安は軽減され、自己防衛が緩和されることが、複数の実験で明らかになっている。人々は思考の矛盾を避けようとするプレッシャーをあまり感じなくなり、それにより自分の意見を熟考し、心の内のニュアンスに気づき、思ったことを率直に述べられるようになったという。

このような傾聴法の利点は、11の対話に限られるわけではない。グループの議論でも有用とのこと。政府機関、テクノロジー企業、そして学校を対象に、スティックを持つ人だけに発言権が与えられ、他の人は傾聴するというルールでグループの議論を実施する実験を行ったところ、人々の考え方はより多面的になり以前ほど偏ることがなくなった。

心理学者は、気持ちや扱い方を理解するのに困難を感じることがある相手と膝を交えて話し合う時などに、このスキルを使ってみることを勧めている。それは、発言者の主張を正しく理解するように努め、発言者の主張に興味を持ち、そして発言者の主張を遮ることなく数分間、黙って聞くために、それらがきわめて有効だから。

多くの人は話をする時、自分を賢く見せようとします。それに対し、優れた傾聴者が賢く見せようとするのは、自分自身ではなく対話の相手です。優れた傾聴者は、相手が自身の考えを謙虚さ、疑念、そして好奇心を持って掘り下げるように手助けします。そうすると、相手は自分の考えを表現する機会を得た時、新しい発見を見出すことが多いのだと。

※参考文献:『THINK AGAIN 発想を変える 思い込みを手放す』(アダム・グラント著/三笠書房刊)

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2022年12月26日 (月)

日米の少女の問いかけに大人はどう答えたのか?

1897年、近代サンタ史上見逃すことのできない1つの事件が起こりました。

NY西95番地街に住む少女はある日、友達にサンタの存在を否定され、ショックを受けて帰宅。父親に、「ねえパパ、サンタさんているよね?」と泣きつきました。父親は何とも答えられず「新聞社に聞いてごらん」とアドバイス。

こうして当時8歳の少女ヴァージニア・オハロンは、地元新聞ニューヨーク・サン紙に歴史的投書をしたためました。「ほんとうのことをおしえてください。サンタクロースはいるんですか?」。この永遠の難問に回答を寄せたのが、バプティスト教会牧師の家に生れたサン紙のベテラン記者、当時58歳のフランコ・ファーセラス・チャーチ。

921日付の紙面掲載のチャーチのコラムは、8歳の子どもにあてたにしては難しい単語も交えた、むしろ大人たちに向けて書かれた形而上学的サンタクロース論でした。「見えなくても存在するものはいっぱいある。サンタクロースも見えないけど、間違いなくいるんだよ」。このチャーチの社説は大人たちの間に一大反響を巻き起こしました。

サンタのような空想上の存在がここまで認知された背景には、何もサンタが商業主義と結びついたためではなく、このチャーチの「サンタ論」も少なからず貢献していることは間違いありません。ただ、「目に見えないサンタ」の存在を謳い上げたこの論文が広まって以降、皮肉にも米国のサンタはむしろますます目に見える形になってしまいます。

次は日本の少女の話です。ある年の1223日に小学一年生のクラスの女の子が同級生を引きつれ泣きながら担任のところに来て、「先生、サンタのおじさん、いるよねえ」と、訴えるように言いました。後からついてきた子どもたちが、「サンタクロースなんかいないよ」「美穂ちゃん、まだ、いると思ってるんだよ」と口々にはやし立てた。

担任は、どう答えていいか一瞬戸惑った。しかし、ことは重大であり、急を要するものである。そこで担任は「先生は、いると思ってきた。今も、いると思っているよ」と。その日の放課後、担任は文具店に行き、二年生になったら使うことにしている、半分が赤と青の色鉛筆と、20センチの定規、それに封筒をそれぞれ40人分買ってきた。

それからガリ版で『私は、あなたの心の中にいるのですよ。 サンタ』と印刷。それを、買って来た文具と一緒に封筒に入れ、翌24日の夜を待って、生徒の自宅へ40通のサンタの便りを持って23時ごろ、自転車で家を出た。一軒だけ、市街地から外れた家に配り終えたときは夜が白み始めたが、寒さもなにも忘れて、熱いものが込み上げてきた。

翌朝の教室は、いつもより騒々しかった。「先生。ぼくんちにサンタが来た」「先生、夕べ私の家に来たでしょう」「ありがとね。先生」などと言ってきた。母親からの便りには、「封筒を開いてみて、思わず、サンタの居られる学校の方を拝みました」。「このサンタの贈り物は思い出として、子が成人するまで、しまっておきます」と書かれていた。

参考文献:『クリスマスおもしろ事典』/『サンタクロースの謎』/『さやかに星はきらめき(毛涯章平)』

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2022年11月20日 (日)

3通りの「言い回し」と吉牛3語の「並べ順」など

テレビの番組やCMで露出度の高い梅沢冨美男さん。舞台では女形で、歌手としては小椋佳さんの『夢芝居』が大ヒット。その梅沢さんが役者として通用するためには「好きだよ」というセリフを3通りに言い回せなければ一人前になれないと先輩役者からご指導を受けたことがあるそうです。

その「好きだよ」の3通りは、心からの「好き」、半分ではそうでもない「好き」、うその「好き」なのだと。役者さんはこうした使い分けが演技力につながるのでしょうが、私たちの日常でこのような使い分けをされても、その見極めは難しいでしょう。このため人を判断する場合は言葉だけでなく、非言語表現を読み解く力を備えて置く必要があります。

非言語とは「顔の表情」、「声のトーン」、「さりげない手足の動き」、「服装」などを指します。そして「非言語コミュニケーション」とは、こうした挙措から相手の感情を読み取りながら意思疎通を図ることです。もし、非言語コミュニケーションに関心の方は本ブログの「非言語コミュニケーション」のコーナーをご覧ください。

次は前回取り上げた京セラを創業した稲盛さんが大ファンだったという牛丼の吉野家さんのお話です。吉野家さんのキャッチフレーズは「うまい」「やすい」「はやい」。でも1980年、1990年代は「うまい」「はやい」「やすい」だったそうです。「うまい」の先頭は変わりませんが、「はやい」より「やすい」が2000年代には先に来るようになりました。

低成長時代が長く続き「やすい」ことが重視される時代と読み取ったからでしょう。cになみに、バブルの余韻に浸っていた1970年代は「はやい」「うまい」「やすい」でした。「はやい」が最初に来るのは、忙しい時代だったからなのでしょう。たった3つの言葉の並べ替えで変化の激しい時流を巧みに読み取り、繁盛を続けるのはお見事ですね。

最後は英語です。英語で「仕事」を表す場合、主に3つの単語「レイバー(Labor)」と「ジョブ(Job)」と「ワーク(Work)」が使われます。それぞれ、仕事をするときの「心の立ち位置」に違いがあります。具体的にはLabor・・・いやいや言われた業務をこなす。Job・・・普通に業務をこなす。Work・・・にこにこと笑顔で仕事をする。

しかし、リッツ・カールトンでは笑顔だけでは不十分で、そのワンランク上を目指しています。英語表現なら「Play」感覚です。つまり、「レッツ・ハブ・ファン」「レッツ・エンターテイン」を合言葉に、お客様に楽しんでいただくことを考え、ワクワクしながら働く。言い換えれば「遊び心」を持って仕事をするのが、リッツ・カールトンの心情と言えます。

参考文献:『「売り言葉」と「買い言葉」心を動かすコピー発想』/『絆が生まれる瞬間 ホスピタリティの舞台づくり』

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2022年6月 2日 (木)

大谷翔平選手が愛される❤理由

最近読んだ本に、大谷選手が日本でプレーしていた時代の興味深いエピソードが紹介されていました。

どちらかというと野球音痴の山本は、連日マスコミを賑わせる大谷選手の活躍ぶりについて、これまで外野席から眺めていた感じでしたが、大きく見方が変わりました。                                                            本のタイトルは『プロ野球 元審判は知っている』(佐々木昌信著/ワニブックス)です。最初のエピソードは投手と、その投げた球がボールかストライク化を判定するアンパイアとの関係性についてです。

投手としては、大谷選手以上かもと注目されているロッテの佐々木朗希(ろうき)投手とアンパイアとの間にトラブルめいたことが2022年4月22日にありました。このことについては専門家の解釈もさまざまなようで、とても難しい問題なのだということは私のような野球素人にもわかります。でも、こうしたトラブルは起きないに越したことはありませんよね。

トラブルにならないヒントが、大谷投手とこの本の著者である元審判の方の間にあったそうです。大谷選手が投手として登板していたある日のこと、著者の佐々木さんはアンパイアを務めていましたが、その日は四十肩による痛みがひどく、どうしても投げなければいけない場面で(イニング交代時にマウンドの投手に向かって)投げることができませんでした。

すると、そこに大谷投手が駆け寄って来て「肩、痛いでしょうから、ボール取りに来ました」と言ってくれたそうです。著者の佐々木さんは29年審判を務められたそうですが、このような気遣いをしてくれた投手は大谷選手だけだったそうです。ピッチャーとアンパイアの関係がこのようであればトラブルは起こりようがありません。

さて、次のエピソードは二刀流の大谷選手が打者としてバッターボックスに入るときのアンパイアとの関係性についてです。
大谷選手は打席に入るとき「佐々木審判、こんにちは」と、必ず苗字をつけて挨拶してくれたそうです。「こんにちは」と挨拶してくれる選手は他にもいたそうですが、苗字をつけて挨拶してくれたのは読売ジャイアンツからニューヨークヤンキースに移籍して活躍された松井秀喜選手の二人だけだったそうです。

松井秀喜選手といえば、当時のトーリ監督から初めて4番に指名された試合で打てませんでした。その試合終了後にトーリ監督のもとに行き「期待に応えられなくて申し訳ありませんでした」と謝ったそうです。長年大リーグで采配を握ってきたトーリ監督はその人柄に感動し、さらに信頼関係を深めたとの報道があったことも思い出されました。

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