名前を知っていたら? 知らなかったらどうなる? (コミュニケーション チームワーク)
ある職場に勤務態度は問題ないのに、毎朝上司が挨拶しても挨拶を返さない社員さんががいたそうです。挨拶はマナーの基本だと考える上司は、ある朝、試しに「〇〇さん、おはよう」と相手の名前を呼んで挨拶をしてみました。するとその日から挨拶を返すようになりました。
次は共同作業をする際、相手の名前を知っている場合と、そうでない場合の協力関係の違いについてです。カンザス大学の心理学者、ダニエル・バトンは「会話の中で相手の名前を口にする効果」についての実験をしました。被験者を事前にお互いの名前を教えたグループと名前を教えないグループに分け、簡単なゲームをしてもらいました。
すると、事前に名前を教えてあったグループでは、45%が協力的行動をし、そうでないグループは協力的行動がゼロでした。相手の名前を呼ぶことによりアブラムハム・マズローが考案した「マズローの欲求5段階説」の「承認欲求」が満たされ、自分という存在を認めてもらっているという満足感が無意識のうちに得られると考えられます。
名前を呼び続けたり、初対面でも名前を呼んだらどうなる? 初対面の男女を被験者とした実験では、「15分内に6回以上呼ばれると馴れ馴れしさを覚える」という結果が出ています。また、「信頼関係」を築ける人かどうかを見抜く方法のひとつに、初対面で相手の名前を呼ぶ人は、人づきあいがうまく良好な人間関係を築ける!とその道の達人のアドバイスがあります。
名前が似ていると何が起こるか? アメリカの人口調査記録から英国風のよくある性と珍しい性を選び出し、ホットメール・アカウントを元に、それらの性を持つ3000人に、地元スポーツチームのマスコットに関する電子メールを送り、返信の有無を調べた。返信率が一番低かったのは、発信者と受信者が性も名も異なるパターンで、わずか2%だった。
反対に差出人を同姓同名にして送ると、メールの返信率は12%に跳ね上がった。制が同じ場合は6%、名が同じ場合は4%、ただしこれはありふれた性のときで、珍しい性になると結果が変わる。同姓同名の発信者からは届いたメールに27%が返信し、同姓だけでも返信率は13%あった。
今年もハリケーン「イアン」が猛威を振るったが、地名だと何が起きる? 1993年夏ミシシッピ川が氾濫し、中西部の多くの町が大きな被害を受けた。イリノイ州クインシーもその一つだ。その窮状を伝え聞いたマサチューセッツ州クインシーの住民たちは結束して救援物資を送った。名前を共有しているといった、ほんの小さなキッカケでさえ、私たちに他者と心理的な絆を結ばせ、利他的行動をさせることができるようだ。
参考文献:『絶対に影響力のある言葉 パワーワードが人生を変える』/『100%好かれる1%の習慣』/『「できるひと」「できない人」を1分で見分ける方法』/『友達の数は何人ダンバー数とのつながりの進化心理学』/『失敗は「そこ」からはじまる』
| 固定リンク