ライフプラン

2023年1月29日 (日)

「最高齢アプリ開発者」の生き方、考え方に学ぶ

今回は、Appleの最高経営責任者ティム・クック氏に「世界最高齢アプリ開発者」として賞賛された若宮正子さんを取り上げます。若宮さんがスマホアプリを開発したのは82歳のとき。オンライン体験は60歳のときでした。当時はニフティなど通信企業が企業会員、個人会員向けにインターネット接続サービスを始めた直後のことです。

THE 21」という月刊誌の本年1月号に「いつまでも若々しい先輩に学ぶ」というコーナーの第一回に登場でした。その中で、新しいことにチャレンジする心構えについて。若宮さんは、「新しく始めたことがうまくいかなくても、それを挫折だと思って後ろめたさを感じる必要はない。それは挫折ではなく途中でやめたというだけなんだから」と。

若宮さんの自己体験として、習い始めたものの、あまりにもできないからやめた日本舞踊をあげています。でも日本舞踏を途中まで習った経験が、長唄、常磐津、清元など日本の舞踏音楽について知ることができた。それは「世界をひろげられた」ことなのに、挫折というひと言で片づけられてしまうのは、なんてもったいないことなのかと。

次は、とくに賢い人、真面目な人ほどその傾向が強いとされる「将来の不安に焦点を当ててしまって、今の楽しみを見過ごしがち」と前置きし、「将来介護が必要にならないように、体を鍛えておこうと頑張る人がいる。運動することが好きならいいのだが、将来のために無理や我慢をするのは、今という時間をないがしろにしているということ」だと。

それは新しいことを始めるときや、学ぶときも同じ。出世や昇進のためなど、「何かのため」にするのではなく、それをすると今を楽しめそうだからする。そのように取り組むと、学ぶ意欲は衰えない。加齢と共に衰えがちな学ぶ意欲を衰えさせないためには、好奇心を持ち続けること、そして「自分から働きかける」ことをいつも意識していることだと。

最後は、職業人のあり方を若宮さん流に表現した、「フォルダ型人間」ではなく、「ハッシュタグ人間」になりなさいです。フォルダ型人間をとは、「○○会社の○○支社、○〇部の○○課の□□です」というような、組織への帰属意識の強い人のこと。こうした人は、定年を迎えてフォルダから引っこ抜かれたら、たちまちアイデンティティーを失う。

これに対し、ハッシュタグ人間は、仕事に関蓮することを含め、好きなことや興味のあること、趣味などをいっぱい持っている人のことで、こうした人たちはSNSに投稿するとき、自分にペタペタとハッシュタグをつける。人生100年時代には、4050代のうちにハッシュタグをたくさん増やせば、今も、これからの人生もますます楽しくなっていくと。

参考文献:『THE 21』(20231月号/PHP研究所)

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2023年1月15日 (日)

年初に「カレンダー」「余暇」「時間」を考える

スターリン政権下のソビエト連邦(以下ソ連)では、工場を1年中休みなく稼働させるため、カレンダーを書き換えました。19298月、1週間を7日ではなく5日にし、4日働いて1日休むというプランが発表され、労働者は黄、緑、オレンジ、紫、赤の5色にグループ分けし、つねに4つのグループが工場で働いているようにしました。

 ソ連当局によれば、これは労働者にもメリットの大きい政策になるはずでした。休日が増え、文化施設やスーパーマーケットの混雑が緩和され利用しやすくなると。ところが実行してみると、ソ連の一般市民の生活はぼろぼろになってしまいました。作家のジュディス・シュレビッツによると、社交の機会が奪われ、社会が断絶されてしまったためでした。

 グループごとに休みが割り当てられ、夫婦でも同じ日に休みが取れなかったのです。交代カレンダー制は1940年まで継続されたあと、機械のメンテナンスに支障をきたすという理由で廃止されました。しかし、ソ連政府の実験は、時間の価値が量で決まるのではなく、大切な人と過ごせるかどうかにかかっているという真実を図らずも実証しました。

ソ連のこの実験は、私たちに余暇(レジャータイム)の大切さを教えてくれることになりました。ところで、実際に余暇の時間は数十年前よりも増えていますが、その一方で余暇すらも、やることリストのひとつになってしまっていたら問題です。ラテン語で仕事を意味する「negotium」は、直訳すると「余暇がない」という意味になるそうです。

 今回の最後は「時間」についてです。時間を自分の自由に使おうとすればするほど、人生は孤独になっていくと、『限りある時間の使い方(かんき出版)』の著者は書かれています。そしてこれは「制約のパラドックス」と呼ばれるもので、時間をコントロールしようと思うと、時間のなさに人は一層ストレスを感じるのだそうです。

 「人間であることの制約から逃れようと思うと、人生は一層空虚で、不満だらけになる。このままではどこにもたどり着けない。それならば、制約に逆らう代わりに、制約を味方につけたらどうだろうか? 限界を直視して受け入れれば、人生はもっと生産的で、楽しいものになるはずだ。現実を直視することは、ほかの何よりも効果的な時間管理術だ」と。

参考文献:『限りある時間の使い方』(オリバー・バークマン著/かんき出版)

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2023年1月11日 (水)

世界の「頭がいい人」がやっていることの中から

2023年最初のブログは、世界の「頭がいい人」がやっていることについてです。テレビや雑誌でよくお顔を拝見する脳科学者に中野信子さんがいらっしゃいます。その中野信子さんに『世界の「頭がいい人」がやっていることを1冊にまとめてみた』という本があり、年末に恐る恐る手に取ってみたのですが、その中に思いがけない3つのことが…。

著書の中には31項目取り上げられていますが、うち3つは思いがけなくも、凡人の私にでもできそうなことでした。それは「やらないことリストを作る」こと、「流れ星に願いごとが必ずできる」こと、そして「よく寝る」でした。最後の「よく寝る」は私の得意技でもあるのですが、深い解説がありますので参考までに取り上げました。

最初の「やらないことリストを作る」について著者の中野さんは、期限が決められた目標を達成するためには、できるだけ「やること」の数を減らすべきだと書いておられます。「やること」を減らすことで余った時間や労力を、「やるべきこと」に回す必要があると。要は「やること」と「やるべきこと」をキチンと仕分けしなさいと。

やろうと思っていたけれど、挫折してしまって・・・というのは、怠け心からではなく、「やること」がどんどん増えてしまうため、できなくなってしまうのだとも。この解決法としては、1日ごとに、「やるべきこと」「やらないこと」のリストを作り、このリストを日の終わりにチェックすると、「やらないこと」をしないようにする習慣が身につくと。

次は「流れ星に願いごとが必ずできる」です。流れ星に願いごとをすると、その願いが叶うとの言い伝えは、流れ星が願いをかなえてくれるのではなく、いつもそのことを思い続けているから。ところで、流れ星が光っている時間は0.5秒くらいだそうです。願いごとを言おうとして、すぐに思いつかなければ、あっという間に流れ星は消えてしまいます。

 でも、そこでもし、願いごとを言うことができたとしたら、それはいつも自分が「そうなったらいいなあ」と願うことができている証拠。自然と自分がそういう方向に向かっているのです。だから、流れ星に願いごとが言えた時点で気持ちは本気。夢の実現に近づいているわけです。寺社に赴いた際にもしっかりと願いごとをする習慣は大事なのですね。

 最後は「よく寝る」です。アメリカの心理学者の実験で、学習後に睡眠をとった場合、最初の2時間でほぼ半分忘れますが、それ以降はさらに忘れることはほとんどありません。一方で睡眠をとらずに起きていた場合は、最初の2時間で記憶量は3割程度まで減少し、8時間経つと1割程度まで落ち込んでしまいます。

つまり、覚えた直後に眠ったほうが記憶の保持には良いということが明らかになったわけです。「テスト前はちゃんと寝よう」というこれまでの著者の主張が、科学的に裏付けされたとのことのようです。なお、睡眠中に忘れにくいというのは、他の情報が脳にあまり入ってこないので、記憶の妨害がされないためであるといわれているとのこと。

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