発想力

2024年3月14日 (木)

「お財布」に纏わる3つの興味深い物語

大岡越前守の「三方一両損」:ある正直ものが、道で三両入った財布を拾った。男は律儀に落とし主を探し、カネを返そうとした。ところが落とし主は、財布は受け取ったが、三両は拾った男にやると言い張った。どちらが受け取るかで大喧嘩になり、決着がつかず奉行所へ持ち込まれた。このときの南町奉行所の奉行は大岡越前守だったが、果たして…。

桜吹雪のお奉行の裁定は、「それぞれの申し出、天晴である」と評したうえで、奉行が二人に提示したのは「拾い主に、三両の中から一両を奉行に差し出しなさい。そして、落とし主からも一両回収。この裁定だと計四両が必要となり、一両不足するが、その一両はわしが負担しよう。そうすると裁定にかかわった3名それぞれに一両損になる」がどうかと。

財布を落としたときの守り神:ハートフォードシャレー大学の心理学者リチャード・ワイズマンはスコットランドのエジンバラで写真の入った財布をたくさん落とした。落とされた各40個の財布で一番持ち主に戻ったのは「笑う赤ちゃん」の写真で88%、次が「かわいい子犬」で53%、「家族」は48%、「年寄り夫婦」は28%だった。

財布を忘れたときの守り神:ある調査で「誠にすみませんが、家に財布を忘れて出まして、75セントないと家に帰れないのですが…」。これをネクタイなしのスーツのみで1時間、ネクタイ着用で1時間したところ、最初の1時間は7ドル23セントもらい、ネクタイ着用後の1時間では26ドル稼ぎ、中には新聞を買うお金まで都合してくれる人もいた。

財布のトリックから身を守る方法:昔、一人のロンドンの商人が、ある金貸しから莫大な借金をして困っていた。もし借金が返済できない時は、監獄に放り込まれるという時代である。年老いた醜い金貸しは、その商人の美しいティーンエージャーの娘に目をつけて、ある取引を提案した。もし娘をくれるなら、借金を帳消しにしてやろうというのである。

途方にくれる商人と娘を前に、善人を装った金貸しは、運を天に任せようと言って、財布に中に黒白二つの小石を入れるから、娘にその一つをつかみ出せと言った。もし娘が白い石を選んだ時は、借金を帳消しにしてやろうというのである。拒めば、父親は監獄送りになり、娘はたちまち食べていけなくなってしまうので、商人は仕方なしにこれに同意した。

そこで金貸しは、商人の庭の小石を敷きつめた小道から、二つの小石を拾って財布に入れた。ところが、娘は金貸しが財布に入れた石が二つとも黒石だったのを、目敏く見つける。さあ石を選べといって容赦なく迫る金貸しに対し、もしあなたが不運な娘だったとしたら、どうするだろうか? と『水平思考』の考案者エドワード・デボノ博士は問いかけます。

博士のアドバイスは、娘さんが財布から石を取り出した瞬間「アッ!」と叫んで石を落としてしまえばよいと。金貸しが石を拾った小道には白黒の石が入り混じっており、落とした石が白か黒かの判断はつかない。そこで娘さんが「申し訳ありません」と詫び、袋に残った石の色で自分が取り出した石の色が判断できますよね!」と切り返せばよいと。

※参考文献:『瞬間説得 その気にさせる究極の方法』(ケヴィン・ダット著/NHK出版刊)

『ビジネスマン 成功のための服装学』(ジョン・T・モロイ著/ジャテック出版刊)

『問題解決の思考技術』(飯久保廣嗣著/日経ビジネス社刊)

『水平思考の世界』(エドワード・デボノ著/きこ書房刊)

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2024年2月15日 (木)

ダーウィンの偉業と面白エピソード2つ

ダーウィンの最も有名な言葉は、「最も強いものが生き残るのではなく、最も賢い者が生き延びるのでもない。唯一生き残るのは、変化できる者である」といえるだろう。彼は1831年にイギリスのケンブリッジ大学を卒業すると、その年の末にイギリス海軍の測量船ビーグル号に乗船した。乗船期間は当初3年だったが、帰国までには5年を要した。

後にダーウィンは自伝で、この航海で印象に残ったことを三つ書き残している。①南米沿岸を移動すると、生物が少しずつ近縁と思われる種に置き換えられていく様子に気づいたこと。②南米で今は生き残っていない大型の哺乳類化石を発見したこと。③ガラパゴス諸島の生物の多くが南米由来と考えざるを得ないほど南米のものに似ていることだった。

ダーウィンは、南半球各地の動物相や植物相の違いから、種が独立して創られたものではないと考え始めた。そして航海中に読んだ、ライエルの『地質学原理』から、地層がわずかな作用を長い時間累積させて変化するように、動植物にも長い時間の変化の蓄積があるのではないか、大陸の変化に生物が適応しうるのではないかという思想に至った。

また、マルサスの『人口論』から、「食料生産は算術級数的にしか増えないのに人口は等比級数で増えるため、人口増加は食糧増産の限界の問題からかならず頭打ちになる」との予言から、食料供給の限界が常に動物においても発生する以上、環境に適応して変化することが種の存続において重要であるという仮説を得たという。

ダーウィンの『種の起源』は、当初、宗教倫理の観点から批判の対象とされたが、測量船ビーグル号での5年の調査旅行で集積したデータが後ろ盾となり徐々に評価対象に。もう一つ忘れてならないのは、既成概念に捉われない彼の柔軟な発想法があったこと。それを裏付けるような格好の逸話が若年期、老境期にあるので、最後に紹介します。

少年期編:彼は、子どもの頃カブトムシに熱中した。ある日、自宅近くの森を歩き回っていると、コレクションにない種類のカブトムシに出会う。さっそく捕まえようとしたとき、更に大きくて光沢のあるカブトムシを2匹見つけた。どちらもとても大きく片手に1匹ずつしか持てない。どうする? 次の瞬間、彼は3匹目を口に咥え、走って家に帰った。

老齢期編:仕事中毒だった彼は、仕事部屋の中をできるだけ楽に動き回って標本を確認したかった。そこで、ごく普通の椅子の足を切り落として、ベッドのキャスター付きの足を代わりに付け、室内をすばやく動き回れるようにした。ダーウィンはオフィスチェアの概念を変え、のちにデザイナーが彼に倣って、調節しやすく移動しやすいものに進化させた。

※参考資料&文献:Wikipedia

『「変える」は会社の毎日のお仕事』(村尾隆介&森川綵著/朝日新聞出版刊)

『合理的なのに愚かな戦略』(ルーディー和子著/日本実業出版社刊)

『ニュータイプの時代』(山口周著/ ダイヤモンド社刊)

『ジグザグに考えよう』:(キース・ソーヤー著/YAMAHA刊)

『天才はしつこい』(ロッド・シャドキンス著/CCCメディアハウス刊)

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